追加分析資料

政府方針「非効率石炭火力発電100基の休廃止」に関する考察
脱石炭にはほど遠い「石炭の長期延命策」であることが鮮明に

2020年7月6日
気候ネットワーク

7月2日に発表した「石炭火力発電100 基休廃止2030 年度までに~政府方針:非効率型の9割」を受けてに加え、気候ネットワークでは、独自に追加分析資料を作成致しました。

・非効率石炭火力の1割と、高効率石炭火力26基(2018年度時点)の運転を2030年以降も継続し、さらに140基に含まれない2019年度の新規運転分と現在新規建設されている石炭火力発電所を含めると、約3500万kWの石炭火力発電所の運転を2030年以降も容認し続けることになる。

・CO2排出量は推計で約6400万~1億2200万トンの削減(日本の温室効果ガス総排出量の5~10%に相当)となる。
電力構成に対する石炭火力の割合は24~27%程度と、現在の32%よりは下がるものの、政府の2030年の石炭火力割合見通しの26%程度に推移するとみられる。
すなわち本方針は、電源構成における石炭の割合を、現行のエネルギー基本計画の2030年エネルギーミックス方針の26%程度に止めることに留まり、パリ協定の目標に整合的な先進国に求められる水準である2030年にゼロにはほど遠いものである。
また、廃止ではなく休止も含まれ、「休止」では容量市場で費用が支払われる対象となりかねず、2030年に至るまでのそれらの経路も不明である。

今回の方針は、気候変動の危機に立ち向かう上で、パリ協定を締結した政府の行動として、全く不十分であり、以下の対応が不可欠である。

・2030年に石炭火力を全廃にすることを目標に掲げること。
・甚大な座礁資産リスクが指摘されている新規火力発電事業の規制に踏み込むこと。
・2030年までの間に、段階的かつ速やかに廃止する計画を策定すること。
・休止ではなく、明確に「廃止」とすること。
・代替エネルギー源として再生可能エネルギーの飛躍的導入を加速させるために、
政策を強化し、発電側課金などの障害となる仕組みを導入せず、優先接続とすべきこと。

追加分析資料(全文)

【追加分析資料】政府方針「非効率石炭火力発電100基の休廃止」に関する考察
脱石炭にはほど遠い「石炭の長期延命策」であることが鮮明に

1.石炭火力発電所の状況
2.政府の「100基休廃止」の意味
(1)基数と設備容量
(2)各電力会社管内の全設備に関する非効率石炭火力が占める割合
(3)CO2排出量と石炭消費量への影響
(4)エネルギーミックスへの影響
(5)2050年目標への影響
3.政府方針の問題点と改善策
参考資料

関連プレスリリース(2020年7月2日発表分)

【プレスリリース】 「石炭火力発電100基休廃止」報道の「政府方針」に対するコメント 石炭火力は2030年に全廃すべき(2020年7月2日)

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