プレスリリース

勿来IGCCが営業運転開始 - 気候危機を加速する石炭火力の運転に抗議する

2021年4月23日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

2021年4月16日、福島県いわき市で石炭を燃料とする勿来IGCC発電所(52.5万kW)が営業運転を開始した。本発電所は、石炭をガス化して燃焼させるIGCC(石炭ガス化複合発電)技術を採用している。「世界最高となる48%(送電端効率、LHV:低位発熱量基準)の熱効率」とされるが、石炭火力であることに変わりはなく、年間262万トン(環境アセスメント情報)ものCO2を排出する。気候ネットワークは、2050年温室効果ガス排出実質ゼロ目標に逆行し、脱炭素社会の実現を妨げる勿来IGCCの稼働に厳重に抗議する。

パリ協定の1.5℃目標の達成には、先進国は石炭火力発電を2030年までに全廃する必要があり、新規建設の中止、既存設備も順次廃止が不可欠である。IGCCの石炭火力発電所も例外ではない。しかし、東京電力をはじめとする事業者は、福島県の経済再生を後押しする産業基盤や雇用機会の創出並びに火力発電技術の高度化を目的として、「世界最新鋭の石炭火力発電所プロジェクト」を喧伝してきた。勿来IGCCはその一つとして位置づけられており、さらに、福島県内には同規模・同技術の広野IGCC発電所(54.3万kW、広野IGCCパワー)を計画、2021年に運転開始を控えている。このほか日本各地で今も、複数の石炭火力発電所の建設・計画が進んでいる(下表参照)。これら新設計画による排出量は年間4,000万トンを超え、日本の温室効果ガス総排出の3.4%に相当する。

気候ネットワークは、石炭火力発電事業に関わる事業者に対し、建設段階にあるものを含め、すべての新設計画を中止することを求める。気候危機が高まるなか、今やるべきは、すべての石炭火力発電所の廃止目標年を定め、フェーズアウトへの道筋を具体化し、着実に実行していくことである。

参考:計画中・建設中の石炭火力発電所

以上

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【プレスリリース】勿来IGCCが営業運転開始 - 気候危機を加速する石炭火力の運転に抗議する(2021/4/23)

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