<プレスリリース>

秋田港火力発電所(仮称)建設計画に係る石炭火力開発の検討中止を歓迎
燃料転換ではなく完全な撤退を求む

2021年4月27日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

 2021年4月27日、関電エネルギーソリューションと丸紅クリーンパワー株式会社が共同で検討していた秋田港火力発電所(仮称)建設計画の検討中止を発表した。

 本計画は、秋田港地点における石炭火力発所(65万kW×2基、計130万kW)を建設するとしたもので、2015年以降に環境アセスメントを進めていたが、環境アセスメントの終了後は2019年8月時点で着工の予定が見送りとなり、本日まで公式な発表がされないまま保留となっていた。計画検討中止の理由につき関電エネルギーソリューションはプレスリリース*の中で、「本件の事業実現性を見通すことが困難となったことから、石炭火力開発の検討を中止することとしました」としている。本案件で排出される年間CO2排出量は866万トンと見込まれていた。

 4月16日には、電源開発と宇部興産が同じく2015年から検討していた「西沖の山(仮称)発電所」の新設計画の取り止めを発表しており、石炭火力発電所新設計画の相次ぐ中止となった。秋田港の計画(2基)と西沖の山(1基)をあわせると、日本の温室効果ガス排出量の1.1%に相当する年間1,226万トンのCO2の追加的排出が回避されたことになることに加え、これで日本国内の石炭火力発電所の未着工の新設計画がゼロとなったことは大いに歓迎するものである。

 しかし、秋田港での石炭火力発電所建設検討は中止したものの、バイオマス発電への燃料転換も含めた事業の継続性を検討すると報道されている点については懸念を残す。バイオマス発電の多くは輸入に依存し、持続可能性の観点、CO2排出削減の観点から深刻な問題がある。24日に閉会した米国主催の気候変動に関する首脳会議(気候変動サミット)で、菅首相が温室効果ガスを2030年までに13年度比で46-50%削減する新目標を打ち出したことも踏まえれば、事業者2社がバイオマス発電への検討も中止し、速やかに持続可能でCO2を排出しない再生可能エネルギーへの転換を検討することを期待したい。

 国内でも脱炭素の流れが加速する中、気候ネットワークは、引き続き政府に対して、建設段階にある石炭火力発電計画の見直しを行うとともに、既設発電設備の2030年までの速やかなフェーズアウトを進めることを求めていく。

*関電エネルギーソリューション「お知らせ」http://www.kenes.jp/information/20210427-01.html

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