【NGO共同声明】日本政府はOECD交渉で石炭事業への公的支援完全停止に向けた
国際的リーダーシップを発揮すべき

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

現在、経済協力開発機構(OECD)の輸出信用部会において、石炭火力発電及び石炭採掘事業への公的支援に関するルール策定交渉が行われている。日本政府が同交渉におけるポジションを検討している中、私たち環境NGO5団体は、日本政府に対して石炭事業への公的支援の完全停止に向けた国際的リーダーシップを発揮するよう要請する。

6月18日にG7コーンウォール・サミットで合意されたG7首脳宣言では、「政府開発援助、輸出金融、投資、金融・貿易促進支援等を通じた、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援の2021年末までの終了に今コミットする」ことが合意された。この合意内容については、日本政府もすでに『インフラシステム海外展開戦略2025』の取組方針に反映させている。したがって、OECD交渉においても、新規石炭火力発電事業への公的支援の一律停止に合意するべきである。

また、G7サミット首脳宣言では、「国際的な公的資金を、2050年より前の温室効果ガス排出ネット・ゼロ及び2020年代に排出量を大幅に削減することの世界的な達成と整合性の取れたものとする」ことにもコミットしている。国際エネルギー機関(IEA)が2021年5月に発表した報告書「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」によれば、2050年までに温室効果ガス排出のネットゼロを達成するには、新規の化石燃料採掘事業へのファイナンスを即時に停止する必要があると指摘されている。したがって、日本政府は、石炭採掘への公的支援停止に向けたOECD交渉を早期に開始することにも合意するべきである。

現在、OECD交渉では、石炭事業支援停止に向けた欧米の提案に対してオーストラリアやトルコが強硬に反対している。日本政府はG7サミット首脳宣言の合意を踏まえて、オーストラリアやトルコを説得するなど、石炭事業への公的支援の完全停止に向けた国際的リーダーシップを発揮するべきである。

本件に関するお問い合わせ先

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
tanabe@jacses.org