【共同プレスリリース】

MUFGへの株主提案の議決結果について (第1次集計)

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
マーケット・フォース
レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)
国際環境NGO 350.org Japan

気候ネットワークおよび環境NGOに所属する個人株主3名は、2021年3月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)の株主として、MUFGに対してパリ協定の目標に沿った投融資を行うための計画を決定、開示することを求めた株主提案を提出しました。6月29日の株主総会で本提案は否決されましたが、議決権を有する株主の約23%の支持を得る結果となりました。

MUFGの機関投資家の議決結果を公開情報から調査した結果、本日までに結果が把握できた69機関・団体のうち、20機関・団体(系列会社による議決権更新の結果を含む)が本提案に賛成、49機関・団体が反対であることがわかりました。日本の機関投資家は28機関・団体が結果を公開しており、このうちアセットマネジメントOne、みずほ信託銀行、野村アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、三井住友 DS アセットマネジメント、東京海上アセットマネジメントの6機関が賛成を示しています。日本の機関投資家の中でも気候変動問題を重視する機関が増えていることは心強い結果と言えます。

賛成 20
反対 49
分裂
棄権

メガバンクに対する株主提案としては、昨年のみずほフィナンシャル・グループ(以下、みずほ)に対する提案と同様ですが、昨年のみずほへの提案を支持していた議決権行使助言会社大手のグラスルイス(Glass Lewis)とインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)から、今年は支持を得られませんでした。二社からの賛成が得られなかったのは非常に残念でしたが、にもかかわらず複数の海外の投資家が株主総会前から本提案に高い関心を示し、結果として23%の賛成を得られたことは、気候変動リスクへの懸念およびパリ協定と整合させた事業経営を行う必要性への認識の高まりを示すものと考えます。

会社提案を支持したISSは、気候ネットワークが株主提案を提出した後にMUFGが気候変動対策を進めたことに対し、株主提案によるプレッシャーが同行の動きを後押ししたとしています。一方で、定款に個別具体的な業務執行に関する事項を規定することは適切ではないとする考えも根強く、本提案がパリ協定の目標に沿った投融資を行うための指標と経営戦略を記載した計画を決定し、年次報告書に開示する条項を定款に規定するよう求めていたことから反対とした機関投資家もいました。気候変動対策を業務と捉えるか、会社の目指すべき方向と捉えるかによって判断が分かれたことが伺えますが、それでもMUFGの方針ではまだ不十分であると考える投資家も多数いることを突き付ける結果と言えるでしょう。

MUFGは総会前の5月17日に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を発表、6月には2050 年までに投融資ポートフォリオにおける GHG 排出量ネットゼロを目指す「Net Zero Banking Alliance(NZBA)」に加盟するなど、株主提案提出後に気候変動対策に関連する指針を相次いで公表しましたが、石炭に対するファイナンスのフェーズアウト(段階的廃止)目標を明示していないこと、パリ協定と整合するために必要な短期・中期の目標が定められていない点について「2030年の中間目標は2022年度に設定・公表する」と表明しているものの内容はまだ不明であることなど課題が残っています。

気候ネットワークおよび連名しているNGO各団体は、MUFGとの対話を継続し、投融資方針の強化を引き続き求めていく所存でおります。

集計結果

MUFGに対する気候ネットワークの株主提案への議決権行使結果(1次集計)(リリース文書PDF)(集計PDF)

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本件の連絡先

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