日本の国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)と大阪ガスが共同出資している企業がフィリピンで推進している「イリハンLNG輸入ターミナル事業」は、フィリピン当局から工事の停止命令が出されており、2022年11月15日、フィリピンと日本の市民団体は、同事業の即時停止と同事業に対する出資の停止をJBICに要請していました。

しかし、それ以降も同事業の建設は継続され、11月27日には同事業の杜撰な工事が原因で道路が崩落する事故がありました。

これを受けて、フィリピンの市民団体であるCEED(Center for Energy, Ecology, and Development)は、12月3日付でプレスリリースを発出(英語原文和訳)し、住民に対する説明不足など事業者の透明性の欠如を批判するとともに、ガス開発事業による悪影響を改めて指摘しました。

さらに、CEEDは12月7日にもプレスリリースを発出(英語原文和訳)し、同事業に対する停止命令を2022年8月に発出した農地改革省に対し、停止命令の執行を求めたことを報告しています。

日本の環境団体4団体も、本日、JBICに対して事業の即時停止と同事業に対する出資の停止を改めて強く求めると同時に、今回の道路崩落事故の原因や再発防止策について、住民に十分な説明がなされるよう、JBICが出資者としての責任を果たすよう求める要請書を提出しました。

詳細は、以下のJBICに対する要請書をご覧ください。

要請書

2022年12月12日

国際協力銀行
代表取締役総裁 林 信光 様

国際環境NGO FoE Japan
気候ネットワーク
メコン・ウォッチ
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)

フィリピン・イリハンLNG輸入ターミナル事業に関する要請及び質問

 貴行が大阪ガス株式会社と共同出資しているAGP International Holdings Pte. Ltd. (以下、AGP)が現在フィリピンで建設中のイリハンLNG輸入ターミナル事業について、私たちは今年11月15日に要請書を提出し、貴行が『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、ガイドライン)に則り、同事業の工事を即時停止するとともに、同事業に対する出資を止めるよう求めました。しかし、その後、建設工事は続行され、現場の状況は改善されるどころか、悪化の一途を辿っています。

現地の報道によれば、11月下旬、バタンガスータバンガオーイリハンーロボを結ぶ国道が、同事業の杜撰な工事が原因で崩落しました。同事業の掘削作業が進められている現場に隣接する道路の下から海水が流れ込み、道路が崩落する様子が映し出されています。また、迂回路が用意されてはいるものの、日常生活に欠かせない幹線道路が崩落したことで、住民の生活にも影響が出ているとのことです。

フィリピン現地の市民団体は、事業者が住民に対する説明責任を十分に果たしていないことについても、懸念を示しています。今回の道路崩落事故が自分たちの日常生活に関わる重要なことであるにもかかわらず、住民は事故の原因等について説明を受けていないとのことです。また、多くの市民が利用する幹線道路であるにもかかわらず、事故の報道が非常に限定されており、市民の知る権利も侵害されていると指摘しています。

同事業は、このような事故が起きる前から、海洋生態系の破壊、地域住民の生計手段への悪影響、ステークホルダーの適切な参加の欠如、複数の国内法の違反等、多くの環境・社会問題が未解決であると指摘されてきました。とりわけ、2022年8月8日には、土地転換に関する承認をフィリピン農地改革省(DAR)から得ないまま開発行為を継続したという理由で、同事業の関係者に対して工事の「停止命令」が発出されています。数々の問題への対処を放置したまま当局の停止命令にも従わず、事業者が工事を続行し、今回の道路崩落事故が発生したことは大変憂慮すべき事態です。

先の要請書(2022年11月15日)でも指摘したとおり、同事業では、ガイドラインで出資の要件とされている国内法の遵守が確保されていません。また、これまで複数回にわたり、環境社会配慮に係る適切な対応が求められてきたにもかかわらず、事業者が必要な対策を怠っていることは明らかです。

従って、私たちは改めて、貴行がガイドラインに則り、直ちに同事業の工事を停止するとともに、同事業に対する出資を止めるよう強く求めます。また、今回の崩落事故の原因や再発防止策について、住民に対する十分な説明と情報提供など透明性が確保されるよう、貴行がAGPの出資者としての責任を果たすよう求めます。

さらに、同事業の今回の道路崩落事故に関して、以下の質問にご回答いただきたくお願い申し上げます。御多忙の折に大変恐縮ですが、1週間を目途にご回答いただけますと幸いです。

【質問】

  1. 今年11月下旬にイリハンLNG輸入ターミナル事業の建設工事現場で起きた道路崩壊事故について、日時、場所、状況、影響等について貴行が入手している情報をご教示ください。
  2. 同事故の原因を特定する調査は行われているのでしょうか。すでに事故原因が特定されているのであれば、結果をご教示ください。
  3. フィリピン農地改革省からの工事の停止命令、また今回の道路崩落事故を踏まえれば、同事業に係る工事を直ちに停止するべきなのは明らかですが、貴行はどのようにお考えでしょうか。
  4. 崩壊した道路の修復作業は、事業者によって行われる予定でしょうか。
  5. 事故地点での道路崩落事故の再発防止対策および近隣道路での同様の事故の防止対策は策定されるのでしょうか。どのような対策が講じられるのでしょうか。
  6. 事故の調査結果および再発防止対策につき、本質問回答時点で事業者が住民に対する説明・情報提供を行う予定はあるでしょうか。

以上

Cc:
財務大臣 鈴木 俊一 様
大阪ガス株式会社 代表取締役社長 藤原 正隆 様

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フィリピン・イリハンLNG輸入ターミナル事業に関する要請及び質問(PDF)

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