<プレスリリース>

神戸製鋼所 神戸発電所4号機 営業運転開始に抗議
~G7議長国として気候変動政策の抜本的転換を求める~

2023年2月8日

特定非営利活動法人気候ネットワーク

 2月1日、神戸製鋼所は建設を進めていた、石炭を燃料とする神戸発電所4号機の営業運転開始を公表した。気温上昇を1.5℃に抑え、気候危機を回避していくためには、先進国は2030年までに段階的に廃止することが求められている上、2022年のG7では、2035年までに電力部門の完全又は太宗の脱炭素化の達成にコミットし、石炭火力発電が世界の気温上昇の唯一最大の現認であることを認識し、石炭火力発電のフェーズアウトの加速に具体的かつ適時の取組を重点的に行うことにコミットした。そうした最中、神戸発電所4号機の営業運転を開始したことに対して、気候ネットワークは厳重に抗議する。

 神戸発電所4号機は、神戸製鋼所の高炉跡地に、65万kWの石炭火力発電所を2基建設する計画として2013年から動き始めたものの1つである。3号機は昨年2月に営業運転を開始している。既設の1-2号機(70万kW×2基)および3号機に、今回の4号機を合わせると、神戸市街地に近接する場所に計270万kWの大規模石炭火力発電所が出現したこととなる。想定されるCO2排出量は年間で最大1,300万t-CO2にも及ぶ。神戸製鋼所は、関西電力が実施した火力電源入札に応札、電力需給契約の締結に基づき、2021年度から30年もの長期にわたり、関西電力へ全量を売電するとしている。こうした神戸製鋼所及び関西電力の行為は、パリ協定及びグラスゴー気候合意はもとより、日本の2030年46%削減(2013年比)、2050年カーボンニュートラルとの目標とも整合せず、1.5℃目標の実現を目指す世界の取組に逆行するものである。

 気温上昇を1.5℃を実現するために残されたカーボンバジェットは僅かである。もはや、設石炭火力からの排出を許容する余裕は存在しない。
 政府のGX実行方針では、石炭火力の低炭素化対策としてアンモニア混焼等を推進するとしているが、その削減効果は乏しく、そもそも、混焼技術の実用化には時間がかかり、2030年までの大幅削減に役立たない。また、CCSの具体的計画もない。電力事業者として、再生可能エネルギーへの投資こそ、加速させるべきである。

 5月には広島でG7サミットが開催される。日本は議長国として、新たな石炭火力発電所を稼働させ、実質的な削減対策とはならないアンモニアの混焼といった方策で糊塗するのではなく、石炭火力の全廃時期を明確にし、そこへの道筋をつけることが不可欠である。

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【プレスリリース】神戸製鋼所 神戸発電所4号機 営業運転開始に抗議
-G7議長国として気候変動政策の抜本的転換を求める-(2023年2月8日)

関連声明

【声明】神戸製鋼所 神戸発電所4号機運転開始へ抗議
-住民の健康・気候悪化リスクを高める石炭火力発電所の稼働を容認できない-

(神戸の石炭火力発電を考える会2023/2/1)

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