NGOの期待に応えたノンフロンのダストブロワー工場を見学

東京事務所の桃井です。

先日、姫路にあるスプレー缶の工場に視察に行ったので、簡単に報告したいと思います。エヌ・ケイ・ケイ株式会社は、ダストブロワー(ほこりとばし)のノンフロン化をはじめて実現した会社です。話を聞くにつけ、ノンフロン化の実現にはいろんなドラマがあったことがわかって非常に面白かったです。

本題とは全く関係ありませんが、姫路といえば、大河ドラマの主人公・黒田官兵衛の故郷でもありますね。姫路城は現在改修作業のまっただ中で、白鷺城というより白すぎ城と言われるほど、真っ白になってました。。。

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白すぎ城…??

スプレー缶にフロンってまだ使われてる?

さて、スプレーの話題に戻しましょう。

スプレー缶にフロン類が大量に使われていたのは80年代。殺虫剤から化粧品に至るまでほとんどのスプレー缶にフロン(CFC)が噴霧剤として使われていました。オゾン層保護対策の規制がはじまるのとほぼ同時に、真っ先に消費者の目の前からなくなったのもフロン入のスプレーでした。その代替として、噴霧剤にはDME(ジメチルエーテル)に切り替えられています。DMEは、フロンのようにオゾン層破壊や地球温暖化はおこしませんが、炭化水素で可燃性であるため、多くのスプレー缶に「火気厳禁」の表示がされるようになりました。

しかし、一部のスプレーでは代替フロン(HFC)が使われるようになりました。その代表格がダストブロワー(ほこりとばし)です。精密機械などについたほこりを飛ばすための噴霧剤ですが、静電気などで火花が散って可燃性ガスに着火するリスクがあることから、HFCを使う必要があるとされてきました。ここで使われているフロンの種類はHFC134a(GWP=1300)、HFC152a(GWP=140)です。

家電量販店やホームセンターに行くとPC付属品のコーナーなどで山積みになってダストブロワーが販売されているのを見かけることがあると思います。ただ、家庭用よりは、パチンコ店、電車の改札機・券売機、銀行のATMといった機械の清掃といった用途が全体の7割を占めると言われています。

私たちが、ダストブロワーのフロン問題をとりあげはじめたのは今から10年も前のことです。2003年、気候ネットワークでは、ストップ・フロン全国連絡会と一緒に「脱フロンキャンペーン」をスタートし、そのときにまず最初のターゲットとしたのが、「代替フロンスプレーの購入・使用をやめよう」というものでした。2004年3月3日には、小池百合子環境大臣(当時)を表敬訪問し、キャンペーンについての説明をしています。小池大臣も「こんなところで未だにフロンが使われているとは知らなかった、環境省としてできることを考えたい」と述べられていました。

 ノンフロンダストブロワーへのチャレンジ

今回エヌ・ケイ・ケイ株式会社に伺い、お話を聞いてはじめてわかったことがあります。2004年当時、私たちが環境大臣を訪問し、フロンのダストブロワーを見せて「これが問題だ!」と伝えたニュースを知った彼らは、当時まだフロンのダストブロワーを作っていたため、これをきっかけにしてノンフロン製品の開発をがんばったのだそうです。ノンフロン化を求める私たちの期待に応えてくれたのだということがわかり、その心意気にも感動しました。そして、今では全体のダストブロワーの約半分くらいのシェアを持つようになったのですから、そのご尽力には敬服するばかりです。

ノンフロンのダストブロワー 2つの工夫

ノンフロンのダストブロワーは、DMEと、可燃性をおさえるためにCO2を混ぜているところがポイントです。普段私たちが目にするスプレー缶とは違う2つの工夫があります。

1)特殊吸収体の開発

これがノンフロンダストブロワーの成功の鍵をにぎっているようですが、逆さまにしても液状のDMEが吹き出さないようにパルプを使った特殊吸収体が開発されました。吹き付けた時に液状になって中身が出ると引火の原因になるからです。この特殊吸収体の開発で360℃どんな向きにしても液状にはなるのを防ぎます。

特殊吸収体
パルプでつくった特殊吸収体
2)缶のツーピース仕様

通常のスプレー缶は、スリーピースで、胴の部分を長方形の板を丸めて円柱にし、その後上下に丸い蓋をかぶせるタイプのものがほとんどです。ツーピース缶は、丸い金型をプレスしてつくられます。そのため、筒の横にも上の部分にもつなぎ目がありません。

ツーピースのスプレー缶の制作工程
ツーピースのスプレー缶の制作工程

エヌ・ケイ・ケイさんの実験では、現在使われているHFC152aのスプレー缶の方が可燃性で危険であるという実験結果が出ているという話でした。そして、HFCなどフッ素系ガスは、燃焼したときに毒ガス(フッ酸)などを発生するため、実際に事故も起きているということです。

改正フロン法でのスプレーの用途規制について

現在、ダストブロワー用のフロンについては、現在新たな規制案が検討されているところです。昨年の国会で改正された「フロン回収破壊法」で、フロンを使用した製品にGWP規制がかかることになり、今年4月24日の審議会(産業構造審議会製造産業分科会フロン対策WG)で、「噴霧剤(ダストブロワー)」も用途指定される案が出ています。現在の審議会の案では、2019年にGWPを10とする目標値が設定されています。

これまでの「フロン回収破壊法」では、冷媒に使われたフロン類は回収して破壊することが義務づけられていましたが、スプレー用のフロンは何も規制がなく大きな矛盾をかかえていました。こうした矛盾を解消できたことは一定の前進ですが、5年後と言わず、もっと早くできるはずです。

本物のノンフロンへ

これまで、「グリーン購入法」でダストブロワーについてはGWPが150以下であることを基準としてきたため、HFC152aも推奨されていました。そのため、フロン系のものをつかっていても「ノンフロン」などと偽の表示をしているまで見かけることがあります。これは明らかに偽装表示です。そして、最近ではGWPが4と非常に低いHFC1234zeという新たなフッ素系ガスがスプレーに使われているものが出始めました。これもフロンの一種で、環境への影響や毒性などについても懸念が残ります。

今回の視察内容については、今年度の「ノンフロンレポート(仮称)」で詳細をまとめる予定です。

最後に、視察をさせていただいたエヌ・ケイ・ケイ株式会社の畑中利文副社長をはじめとする姫路工場の皆様に厚くお礼申し上げます。

エヌ・ケイ・ケイの皆さんと
エヌ・ケイ・ケイの皆さんと一緒に記念写真。