日常化する災害と気候変動 求められる防災のかたち

こんにちは、東京事務所の江刺家です。

3月13~18日に宮城県仙台市で開催された国連防災会議。期間中、市の中心部は防災会議一色といっても過言ではなく、あちこちで展示やセミナーが催され、大変な盛り上がりを見せました。

さて、「防災」と「気候変動」…あまり耳慣れない組みあわせですが、実は結びつきの深いものです。「防災」というと地震や津波などの大規模災害をイメージしがちですが、気候変動によって洪水や豪雨の頻度が高まってきた今、こうした日常的に起こりうる災害に対して個人や社会がどのように備えていくのかが問われています。

ということで、市民向け企画「市民防災世界会議」の1つとして、気候ネットワークとピースボート災害ボランティアセンターが共同でシンポジウム「防災・減災をシフトする。~気候変動と社会の変化~」を開催。国内外からゲストを迎え、参加者の皆さんと一緒にこれからの防災を考えました。

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気候変動への適応策はますます重要に

枝廣淳子さんのお話のキーワードは「レジリエンス」。気候変動の影響があらわになりつつあるなか、途上国ばかりでなく先進国でも適応策の重要性は高まっています。イギリスなど各国が適応策を進めるかたわら、日本は今夏の適応計画策定に向けてまだ検討をしている段階で、遅れが鮮明になっています。また、各地域や組織、企業が適応策の重要性を認識し、計画をつくることも重要です。政府にはそれを後押しする政策がもとめられます。

地域が抱えるリスクは、気候変動の影響のほかにもエネルギーコストの上昇や財政難、高齢化などさまざま。こうしたリスクに備え、対処するしなやかな力=レジリエンスをつけていくことが必要です。

社会的課題と密接にかかわる「災害」

つづいて長年(50年以上!)防災分野に携わり、バングラデシュを代表する第一人者であるサイドゥル・ラーマンさん。1991年、バングラデシュを襲った風速240km/時の台風では13万8千人以上が犠牲となりました。これに対して1992年にアメリカを襲ったもっと強い台風(風速270km/時)では犠牲者は15人という事例を紹介。

被害の大きさは、災害の強さよりも社会的、経済的、政治的要因によって決まる部分が大きく、国はおろか同じ地域に住んでいても豊かさによって被害の程度が違います。

貧困層は災害の被害を受けやすく、災害に対して脆弱だと貧困からの脱け出すことも難しいという悪循環がくり返されます。だから「防災」「減災」を考えるときには、「貧困」という社会的課題の解決が欠かせません。サイドゥルさんは、市民社会は社会的・政治的な面で地域が力をつけることを後押しし、災害に強くなる支援をすることが重要だと強く訴えます。

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地域の課題を地域で解決する

2013年に大島を襲った台風26号は、痛ましく甚大な被害を残しました。鈴木祐介さん(大島社会福祉協議会)からは、家屋の泥だしやガレキの撤去のような災害直後の緊急支援、相談援助活動や被災者と支援者のマッチングのように被災者に寄り添う生活支援など、被害から立ち直るために地域が取組んできた支援を紹介していただきました。社会福祉協議会のミッションは「地域の住民の参加を得て、地域住民自身が、地域ぐるみで、地域の課題・問題を解決すること」。支援には行政、ソーシャルワーカー、臨床心理士、保健師、弁護士、 NPO、ボランティア団体、地域の小・中・高等学校など多様な主体との協働が欠かせません。

「気候変動の影響に、そなえていますか?」

合田茂広さん(ピースボート災害ボランティアセンター)は、気候変動の影響によって災害のかたちが変わる一方、地域は高齢化し、消防団のようなこれまでの防災組織のかたちも変化することを余儀なくされていると問題提起。災害や社会のかたちが変われば、防災・減災のあり方も当然変えていかなければいけません。

その後の質疑応答ではスピーカーから参加者の皆さんへこんな質問も。「温暖化の影響は現れていると思いますか?」「ではその備えをしている人は?」

皆さんの回答はいかがでしたか?会場では、一つ目の質問には大半の方が手を挙げましたが、2つ目にはほんの数人です。この質問にはっとした人は、きっと私だけではないはずです。枝廣さんは「意識と行動のギャップを埋めることが重要。関心がある人でも必ずしも行動に結びついているわけではなく、関心がない人ならなおさら。」と指摘します。

「ギャップがある」と自覚することは、行動を起こしていくために必要なステップだと思います(ちょっとショック療法?)。個人や地域、企業、そして国には、どんな備えが必要なのか。のんびりと考えている時間はありません。一刻も早く具体的な行動にうつしていくことが必要です。

<当日の映像はこちらからご覧下さい>
2015/3/14 防災・減災をシフトする。~気候変動と社会の変化~

インターンが見た!NPOで働くことと、高い志を持つこと。

こんにちは。京都事務所インターン生の鈴木です。

損保ジャパン日本興亜環境財団のCSOラーニング制度を活用して、2014年の6月から気候ネットワークでインターン活動を行ってきました。3月末をもってインターン期間が終了になり、今回は約1年弱の活動を振り返っていきたいと思います。

1)COP20@ペルーに参加

私のインターン活動の中で一番のハイライトは、2014年12月にペルーで開催されたCOP20(気候変動枠組条約第20回締約国会議)に参加させて頂いたことです。私自身、国際会議を傍聴する機会は初めてだったので、何から何までがとても新鮮で刺激的でした。世界各国の政府代表団がリマ(ペルーの首都)に一堂に会し、気候変動問題をどのように解決していくのか、という交渉を間近で見る経験は一生の「財産」になりました。

気候変動に関する前提知識がない中で参加した私は、最初の数日間は専門用語の理解をするのに必死でしたが、スタッフの方にサポートして頂き、徐々に交渉の争点が分かるようになり、日本の立ち位置や先進国と途上国の根深い対立関係などについて教科書を読んだだけでは分からない「臨場感」を肌で感じることができました。

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その経験に加えて、何よりも国際社会におけるNGOや市民社会の役割を学ぶことができたのが大きな収穫でした。国際交渉を行う主要なプレイヤーは、各国政府ですが、NGOも気候変動交渉の行方に大きく関わっています。ある会議では「Civil Society(市民社会)」という席が設けられ、NGOが気候変動問題に関して堂々と意見を述べる機会があります。またある国では、政府代表団の中にNGOを入れて、政策決定に大きく影響を及ぼしています。それ以外にもNGO自身が現場レポートを速報で書き、積極的に市民向けの情報発信をしたり、デモやイベントを開くことでより多くの市民とともに気候変動交渉の前進に向けた「うねり」を起こしたりしています。

多種多様なNGOが様々な活動を行っていますが、共通していることは「交渉を少しでも前に進めて、気候変動問題を解決に向かわせる」思いです。現地でインターンとして活動することで国際交渉におけるNGOの役割を自分自身の中で整理することができました。

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2)小学校での温暖化防止教育

インターン活動の中でもう一つの印象的な活動は、京都市内の小学校に赴き、地球温暖化防止の環境教育を行う「こどもエコライフチャレンジ」のお手伝いをさせて頂いたことです。将来の環境問題を解決できる人材を育成するため、地球温暖化についての授業を行い、どのように日々の生活をエコにできるのかということを小学生と一緒に考える活動に参加しました。

地球温暖化の仕組みをわかりやすく小学生に説明することは難しかったですが、それ以上に今の小学生がどんな考えをもっていて、どのように勉強に取り組んでいるのか、という環境という切り口から日本の教育の現場を見ることができたことが貴重な機会でした。まさに小学校の教壇に立たないと知ることができないことを自分の目で見ることができ、大学の机で勉強をするよりも何十倍もの価値がありました。

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3)NPO・NGOで「働く」こと、高い「志」をもつこと

長期間のインターン活動を通して、COP20やこどもエコライフチャレンジに関わっただけでなく、ラジオ出演、シンポジウム補助、アンケート集計、統計調査などNPOの中で「働く」ことの一部を経験することができました。

私自身の意見としては、NPOで「働く」ということは、社会の問題を市民の目線で解決に携わるということだと思います。環境問題であれ、エネルギー問題であれ、様々な社会問題に対して現場で何が起きているのかを把握して、市民一人ひとりがその問題解決の行動し、より良い社会を築いていく。その一翼をNPOが担っているということを深く学ぶことができました。

そして気候ネットワークをはじめ、様々なNPO職員の方々にお会いさせて頂いて、何よりも大切なことは高い「志」を持ち続けることだと感じました。各NPOの規模は小さく、予算も限られていることも多く、普段は地道な活動が中心になります。そして自分たちが政府に対して声を上げ続けても、政府が行動を変えるとは限らず、気候変動に関しては、なかなか問題解決が前進していないのも現状です。

そのような困難な状況でも高い「志」を維持し、その問題の解決のために情熱を失わず、行動をし続ける。一人ひとりの職員が「主体性」をもって、決して悲観的にならずに、様々な人を巻き込み、未来志向で行動していく。高い理想や情熱を持ち、それを実行する強い行動力が必要であることを体感しました。

以上がインターン活動を通して、私が学んだ点です。4月からは私は社会人として働くことになりますが、この経験を広い意味で社会に還元できるように行動し続けたいと思います。

最後になりましたが、気候ネットワークの職員の方々をはじめとして、インターン中にお会いさせて頂きましたすべての方々に心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

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2020年以降の新しい温暖化対策目標~2015年パリ合意の成功のために~

京都事務所の伊与田です。春の陽気が感じられるようになってきましたが、花粉症の方はつらいですね…(実は、温暖化が進むと余計に花粉量が増えるという研究もあります)。

地球温暖化で2040年までに花粉量2倍以上に? 米研究(CNNニュース 2013.03.14)

さて、そんな中、気候ネットワークが事務局を務めている、日本の気候変動NGOのネットワーク”CAN-Japan“はこのところ「あること」に取り組んでいました。

2020年以降の新しい温暖化対策の国別目標案(約束草案)とは?

まずは、新しい温暖化対策の国別目標案(約束草案)について、解説するページを作ることです。

【解説】2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)~パリ合意のために~

これまでの国連気候変動交渉の合意に基づき、先進国と途上国の区別なく全ての国は2020年以降の国別目標案を、(準備できる国は)2015年3月31日までに提出することが求められています。一応、合意文書には「準備できる国は」とありますが、これは温暖化対策の責任も能力も比較的限られる途上国に配慮するものであって、日本が提出を遅らせて良いということにはなりません。

パリ合意を成功させるためには、各国が早期に野心的な目標案を提出し、新しい法的枠組み成立への積極的な姿勢を打ち出すことが必要です。他の先進国はもちろん、新興国と呼ばれる国の対策強化を促すためにも、先進国であり、世界第5位の大排出国でもある日本は、交渉に貢献するためにも期限までに野心的な目標案を提出する必要があります。

CAN-Japanは、IPCC報告や関連する研究、NGOのエネルギーシナリオ提言の議論に基いて、「温室効果ガス排出量を、2030年までに1990年比で40~50%削減する」との目標を提言しています(詳細はこちら)。

2030年に向けた日本の気候目標への提言(2014年・CAN-Japan)

新しい温暖化対策の目標案(約束草案)を整理し、随時更新!

もうひとつは、2020年以降の新しい温暖化対策の目標案について最新状況をアップデートするウェブページをつくることです。

CAN-Japan:2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)の提出状況・一覧

このページでは、すでに目標案を公式に提出した国がどこかわかるように地図で表記しています。今のところ、スイスとEU28ヶ国が公式に提出しているので、合計29ヶ国が期限までに間に合わせています。

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また、各国の目標案のポイント(いつからいつまでに温室効果ガスを何%削減等)や、目標案の原文、関連する様々な分析へのリンクを一覧表にしてまとめています。

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気候変動の国際交渉の動きを見て、日本の役割・課題・可能性について考える参考として、ぜひご覧いただければと思います。

国際シンポジウム「日本の新しい温暖化対策目標を考える~2015年パリ合意の成功のために~」

国別目標案(約束草案)について、世界の最新動向や日本の役割を考える国際シンポジウムを3/20(金)に東京で開催します。

国際シンポジウム  日本の新しい温暖化対策目標を考える~2015年パリ合意の成功のために~

今最もタイムリー(?)なイベントの1つだと思います。世界的に著名な、米国の環境シンクタンク・世界資源研究所(WRI)のゲストも海外よりお招きしています。イベントの冒頭では、在日フランス大使館よりポール・フリアさんからご挨拶をいただけることも新しく決定しました。

気候変動に関心をお持ちの皆様、ぜひご来場ください!

第11回京都・環境教育ミーティング開催しました

こんにちは。環境教育/デザイン担当の岡本です。

京都は雨が降ったりやんだり晴れたり変な天候が続いていましたが、それでも少し暖かくなってきたようですね。

先月の全国シンポジウムの後風邪を引いてしまい、寝ても覚めても咳と頭痛に悩まされていたのですが、2月27日・28日で、第11回京都・環境教育ミーティングが無事終了しました。

第11回京都・環境教育ミーティングとは

京都環境教育ミーティングというのは、環境教育や環境保全活動に携わっている市民をはじめ、学生、NGO/NPO、事業者、教育・行政関係者、環境学習施設関係者が京都に集い、語り合い、課題解決に向けたネットワークを拡げ、これまで出会わなかった人や団体、取り組みなどと繋がり日本や世界を元気にする場づくりを目指して実施してきたものです。

これまで過去10年間にわたって開催してきた「京都・環境教育ミーティング」では、多くの参加者が集い、事例発表やワークショップを通して新たな人や団体、取組とつながる「交流の場」を生み出してきました。

今回は、環境教育の実践者が集い交流するだけでなく、ESDの視点も含め環境教育の現状と課題について議論し、環境教育をより良くしていくための新しい場について考えます。

というのが今回の趣旨。

2日間にわたるプログラムの1日目は、次の3時間ワークショップの二本立てでした。
①環境教育を深め拡げる視点〜日本的自然観〜
②これから求める温暖化防止教育〜評価がもつ可能性〜

この②を私が企画・担当させていただいたので、少し報告を兼ねて現状をお伝えします。

「これから求める温暖化防止教育」とはどういうことか

過日の気候ネットワーク全国シンポジウムの分科会のひとつで、環境教育と消費者教育との連携を取り上げました。

現状、温暖化防止教育は、「全国で実施されている」というには程遠く、環境学習についても地域ごとに大きな差があり発展途上です。その中、全国で温暖化防止教育が進められるよう制度が出来つつあります。

ひとつはこの「消費者教育としての環境学習」。

消費者教育推進法が出来て、これから消費者教育推進という観点から学校へのアプローチが出来るのではないかという可能性が見えます。

消費者教育実践者の課題は、これまで消費者教育があまりに狭い範囲で捉えられているということからの広がりのなさで、今回この推進法ができたことにより、消費者教育の幅が目に見えて広がりました。

今回このワークショップの中では、気候ネットワークが委託で実施している京都市立小学校全校(166校/2014年度)を対象とした温暖化防止教育「こどもエコライフチャレンジ」、京都府地球温暖化防止活動推進センターが実施している「親子省エネチャレンジ」、そして大阪府枚方市で実施されているS-EMS(School Environmental Management System)の実施に関する報告など、3事例を通して新たな視点や、これからの可能性を探るというものでした。

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枚方でのEMSの取り組みについて説明をする田中靖之さん

 

小学校での温暖化防止教育の違いは?

この3つに共通するのが小学校での教育ということ。

京都市のプログラムの特徴は、担い手が学び手と相互すること。教える側や、一緒に参加するボランティア、又は学校の先生が学び手となったり、児童はこの学習を通じて伝え手となる。運営はパートナーシップによって行われていて、行政、NPO/NGO、教育委員会と学校がひとつのプログラムを運営しているというところ。

省エネチャレンジは、範囲が広がり府という単位で実施していて、実施するのはそれぞれ任意の学校を通じて親子での取り組みとなっている。

枚方市の取り組みは、環境管理の中で学校の先生を対象に研修を行い、それぞれのプログラムの中にどう組み込んでいくかという話をするというものでした。

評価することがなにを意味するのか

今回このワークショップで意図していたことは、温暖化防止教育がもっと全国で広がる可能性が溢れているということ。しかし現状は即しておらず、地域コミュニティーやNPOといった担い手はこれまで進まなかった過去の経験から動けずにいるということへの気づき。

そして、この「評価」によって、この気づきがあるのではないかという提案でした。

ただ、今回参加者の方は、学校教育というものへの意見が違ったものが多かったり、温暖化防止教育そのものに対して意見したい方々が多く、なかなか思ったようには進みませんでした。

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意見交換では色んな年齢層の方々から意見が出ました

 

それでも出た意見が面白かったので紹介。

・温暖化教育より国際教育が先だ。

・年寄りは現状をみて失敗したとおもっている。

・「今からしっかりやります!」といっても負の遺産を残したのになにを今更。

などなど、流石環境教育ミーティングの場に集まる人たちの意見。報告なので、ここは嘘をつかずにこういった課題もあるということ、真摯に受け止めたいと思います。そしてこの「評価する」ことによる課題の継続的な模索と解決に向けて今学校が変わる機会があることに注目していくことは必須です。

今回は「環境教育について、環境教育の場について話し合い、議論する」というテーマだった為、色々分かったこともありました。

ESDの視点をふまえる

2日目です。1日目を受けて、これから環境教育の場を考えるにあたり、ESDの視点もふまえて考えるということで、NPO法人ESD-J理事/中部環境パートナーシップオフィスの新海洋子さんからESDの話を聞きました。

皆さん「ESD」はご存知?

持続可能な開発の為の教育(ESD:Education for Sustainable Development)ということで、まずはこれを皆さんの言葉で置き換えて下さいという新海さん。皆それぞれに書きました。

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ESDについて話をする新海洋子さん

 

その中で、新海さんは、社会の抱える問題を自分の生い立ちを通して語ります。

平和活動を見て育った幼少時代、途上国への支援、支援、延々と続く支援の中で、いつになったらこの支援が終わるのかという感覚の中で、新海さんは教育が変わらなければ、ということに至ったといいます。

けれど文科省は、要項になければ入れることはできないという中、環境省で働くうちESDという新たな学校へのアプローチを見いだしました。

これはもう、ESDしかない。そう思い、これまで活動を繋いできたという新海さんに、皆聞き入っていました。

ESDは昨年10年を迎え、岡山で世界大会が開かれました。そのサイドイベントで、愛知県、名古屋ではこども会議が開かれ、全国から選ばれた小学生が集い、ESDの中にある文化、防災、生物多様性、エネルギーなどの現地学習で、様々なことを学び、これからの社会がどうあってほしいかを自分たちで考えました。

その最後に発表されたスピーチがこれです。

 私たちが考える「持続可能な社会」は、「未来を考え、お互いを思いやり、人間だけでなくすべての生き物が共に、幸せに生きる社会」です。

差別も不安もなく、平和で安全に、楽しく生活できる社会にしたいです。

しかし、今、私たちが生きている社会は、資源やエネルギーを無駄づかいし、自然環境を破壊しています。

世界のどこかで戦争がおこっています。

地域の伝統文化を伝えることが難しくなっています。

防災対策をしている人が限られています。

たくさんの問題があって、「持続可能な社会」とは言えません。

そして、こういった問題は、すべて、人とつながっていることがわかりました。

「持続可能な社会」づくりを難しくしているのは、とどまることを知らない人間の欲、自分勝手さ、わがままな気持ち、人々の意識や関心が低く、知識が少ないことなのです。

いろいろな問題の原因をつくっているのは人間ですが、それを解決していくのも人間です。

「持続可能な社会」をつくるために、私たちは、次のことを実行します。

・まだ知らないことがあるので、もっと現状を学びます。調べ、考え、参加します。

・たくさんの人に知ってもらう必要があるので、ESD を学校や地域の人に伝えます。

・身近に出来ることは提案し、行動し、実行します。

・命を大切にし、人と人とのつながりを深め、交流します。

ここで、子ども会議から、大人のみなさんに、次のことを提案します。

・戦争をしないでください。武力で解決しようとしないでください。

・世界の人々が協力して、どの国の人も教育が受けられる環境をつくってください。

・子ども会議のような、学び、考え、話せる場をもっとつくってください。大人もESDに興味を持って参加してください。

・知識も経験もある大人が、もっと私たちに教えてください。

・多くの人にESDを広めてください。ESDの考え方を広めて、今ある法律を変えてください。

・地域の人たちともっと交流をしてください。

・未来に目を向けて考えてください。当たり前のことを大切にしてほしいのです。 子どもができて大人にできないわけがないと思います。

子ども会議の私たちが考える「ESD」とは、「未来を考えて、行動すること」です。 みんながESDの主人公となって、今、これから、未来に向かって、ESDに取り組んでいきます。

ぼくは、リオ・サミットのセバン・スズキさんのスピーチを見ました。 これを見てぼくは、22年前と今が何も変わっていないじゃないか、ということを思いました。

私たちは本気です。

大人のみなさんも、本気になってESDに取り組んでください。ESDは、この世界の未来にとって一番大切なものなのではないでしょうか。

2014年11月12日

ESDあいち・なごや子ども会議

スピーチ(原稿):

http://www.esd-aichi-nagoya.jp/event/event/child/pdf/speech-j.pdf

子供達は純粋に、この学習を受けて必死に訴えかけをしたんだと思います。スピーチを聴いていて泣きそうになりましたが、子供達がすごいからではなく、今まで大人も言えなかったことを改めて子供の立場で代弁させているような気がしてなりませんでした。

大人が出来る議論・私たちに必要な場とは?

もちろん今回の環境教育ミーティングのテーマはESDではなく、ESDの視点もふまえての場についての議論。

集まった40人程の大人がワークショップをテーマで分かれて議論しました。

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それぞれ2030年にどんな環境教育が実施されて欲しいかを書いた

 

分かれたテーマは「2030年に環境教育はこうなっていて欲しい」というのをそれぞれが思い思いに書き、自分たちで似た意見の実行委員の元へ集まり話し合いに。

私の出した紙には「誰もが受けることができる環境教育。担い手も、受け手も楽しい環境教育」

ここに集まったのは年代もバラバラ20代学生から70代までの多様な人々。女性は私だけでしたが。

ファシリテーターをしながら私も話に参加して、このメンバーで初めに出てきた意見の多くは学校に関してでしたが、話をよく聞いていくと、課題は学校教育に今教育が集中しているという懸念が心の奥底にありました。

教育が「学校教育」だけでなく「地域教育」、「家庭教育」、「社会教育」と4つの車輪で動いていくもので、「環境教育」はその駆動である。というような視点を皆で見つけました。

そのバランスが今崩れている。バランスが崩れた理由として、世代間のギャップがあり、このギャップは今の若者が年上に対して感じているだけでなく、これからもずっと続いていく。

そういう観点から、世代間での対話と、話し合える機会やきっかけが必要ということで私たちのグループは場について考えました。

教育の四輪駆動ね。実際1日目大きな話に広がってしまった分、2日目の話し合いでものすごく良い場が持てたんではないかと個人的にすごく良い教育機会が持てたと思いました。

「誰もが受けることができる環境教育。担い手も、受け手も楽しい環境教育」の場がそこにはあったんじゃないか。

これから、環境教育ミーティングの実行委員も私たちが必要にしている場はどんな場なのか、これからどうすれば環境教育が広まり、理解しあえる社会になるのか考える為に、議論は続きます。

もし、環境教育ミーティングに関するご意見や、参加したい!という声があればぜひ実行委員に届けて下さいね。

それでは長くなりましたがこの辺で。

 

マレーシア・イスカンダル訪問〜アジアに広がる持続可能な低炭素地域づくり〜

京都事務所の田浦です。先月初めにマレーシアを訪れてきたので報告させていただきます。

イスカンダル・マレーシアへ広がるエコライフ

みなさん、気候ネットワークが実施している温暖化防止教育「こどもエコライフチャレンジ」がマレーシアへ広がっていることはご存知でしょうか。

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イスカンダルで使用されているワークブック(2013)

マレーシア、イスカンダル地域で昨年は80校で、エコライフチャレンジが実施され、去年に続き優秀校の児童たちが京都を12月に訪れ京都のエコライフチャレンジを体験しました。

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昨年参加校が実施したプレゼンテーションで、優秀校は京都への切符を手にした(2013)

 

その時、現地のソーシャル企業であるアイエム・キコウ(IMKIKO)と気候ネットワークはこどもエコライフチャレンジの実施に関する協力・連携についての「覚書」を締結しました。

2月7日から9日まで、マレーシアのイスカンダル開発地域を訪問し、低炭素スクール展示会への参加、環境未来都市フォーラムへの参加と報告、小学校訪問、こどもエコライフチャレンジ実施に関する会議等を行いました。

低炭素スクールの拡大を目指す

「持続可能&低炭素スクール展示会2015(SUSTAINABLE & LOW CARBON SCHOOLS EXHIBITION 2015)」がマレーシア工科大学(UTM)で開催されました。UTM低炭素アジア研究センターとジョホール州教育局が主催したもので、80の小学校・中学校が参加しました。当日は35の学校がポスター・ブース展示や発表などが行われ、各校のリサイクル活動、省エネ活動、マングローブの植林などの取り組みが発表されていました。気候ネットワークからも審査員に加わり、子どもたちや先生と交流を深めました。

日本内閣府主催の国外初「環境未来都市フォーラム」

ジョホールバルのシスルホテルで、環境未来都市フォーラムが開催されました。日本の内閣府主催で、イスカンダル地域開発庁(IRDA)、UTM等の共催、JICAマレーシアなどの協力のもと、国外では初めての開催でした。

研究者・専門家からの報告に加えて、日本の環境未来都市、環境モデル都市からの報告があり、京都からは、気候ネットワークの他、京都市地球温暖化対策室、京エコロジーセンターが報告を行いました。国立環境研究所の藤野純一氏から、イスカンダル地域の低炭素社会シナリオについて報告があり、研究成果が政策につながっていて、イスカンダルで実施されているこどもエコライフチャレンジが、低炭素シナリオ実現の具体例であると紹介されました。

イスカンダルのこどもエコライフチャレンジ展開

こどもエコライフチャレンジを展開するために、IRDA、UTM、IMKIKO、グリーン・アース・ソサイエティ(GES)との協議を行いました。

今年は、198校全校でエコライフチャレンジが実施されることになります。そのための体制づくりが検討され、IMKIKOが実施主体となります。マレーシアの教育事情等の違いによりプログラムが異なることは想定されますが、IRDAの責任者から「気候ネットワークのDNAを大切にしたい」との言葉があり、うれしく思いました。まずはプログラムづくりを行っていくこととなります。

今後の展開に期待しています。引き続き、ご支援よろしくお願いします。

田浦