NO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料産業からの投資撤廃(ダイベストメント)」に参加して

はじめまして、9月から気候ネットワークでインターンをしています、朝日遥子と申します。

気候ネットワークで気候変動交渉関連をメインにインターン中

私は現在、京都大学大学院の修士1年生です。大学院のカリキュラムとして3ヶ月間のインターン研修制度が設けられており、修論のテーマに関係した機関またはプログラムで働くことが義務付けられています。私は気候ネットワークにて国連気候変動交渉関連の業務を中心に、NGO業務について幅広く働いています。

 

NO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料作業からの投資撤廃(ダイベストメント)」

さて、9月19日、20日に行われました、350.org Japan主催のNO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料作業からの投資撤廃(ダイベストメント)」に参加いたしました。2日間朝から夕方までダイベストメントについて、主にワークショップを通じて理解を深めるといったものでした。

まず、気候変動の現状や“ダイベストメント(DIVESTMENT)”について学びました。

気候変動の現状~化石燃料から自然エネルギーへ~

気候変動の原因となる温室効果ガスは、化石燃料を燃やすことで排出されます。危険な気候変動を避けるために、科学者たちは、世界中に埋蔵が確認されている化石燃料資源(石油、石炭、天然ガス)の8割は地中に残しておく必要があるとしています。つまり、今まで依存できた化石燃料資源の使用をやめて、自然エネルギーへ急速に移行する必要があります。

「投資撤廃(ダイベストメント)」とは?

未来のために、ダイベスト!
未来のために、ダイベスト!

そのために「投資撤退(ダイベストメント:Divestment)」という活動があります。これは 不道徳で非倫理的な取引に反対するための戦術の一つで、資産運用者に対し、特定の保有株式、債券、投資ファンドの売却を要求することです。

脱炭素社会を目指す市民団体や学生は、安全な気候をまもるため、そして持続可能な未来を実現するため、公的資金を運用している機関投資家や民間銀行などに対し、化石燃料産業への投資撤退を要求しています。この動きを「ダイベストメント」と呼んでいます。

関連記事:化石燃料を「歴史」にしよう~2月13-14日はグローバル・ダイベストメント・デイ~

そもそも「ダイベストメント」は、1970-80年代に南アフリカのアパルトヘイト「人種隔離政策」に反対する国際的キャンペーンで活用された運動です。当時の大学生が、南アフリカ政府関連企業の保有株式、債券、投資ファンドの売却を要求し、経済的な側面から、人種差別に反対する国際社会からのプレッシャーをかけたのです。米国で始まったこの運動は、1989年には26州、90 都市の大学155校に広がり、アパルトヘイト撤廃の後押しになりました。

気候変動は、アパルトヘイトと同じように、人類にとって深刻な問題です。このため、アパルトヘイトと同じように、化石燃料産業からのダイベストメント運動も世界中に広がっているのです。

すでに、43か国において、430の機関・2040の個人が、2.6兆米ドルもの資産について、化石燃料のダイベストメントを確約しているそうです。

さあ、化石燃料への投資を引き上げよう!
さあ、化石燃料への投資を引き上げよう!

 

ダイベストメント~海外での成功事例~

印象に残ったのは、海外におけるダイベストメントの成功事例が紹介された、ディスカッションでした(インターネット中継でした)。スウェーデン、イギリス、オランダで実際にダイベストメントを成功させた3つの事例について紹介していただきました。

ダイベストメント・キャンペーンの成功事例を聞く
ダイベストメント・キャンペーンの成功事例を聞く

中でも、スウェーデンの事例は大学を対象としたダイベストメントだったのですが、大学の委員会が開かれる時間帯に合わせてダイベストメントを訴えるデモを行う、1年半の署名活動をもとに、ダイベストメントを求めるオープンレター(公開書簡)を大学側へ提出する、メディアを利用するなどの活動を通して、大学の一部の資金に関してダイベストメントさせることに成功したというお話でした。私は大学院生なのでキャンペーン内容についてより身近に感じることができ、非常に刺激を受けたお話でした。

キャンペーンを企画しよう!

ダイベストメントに関する海外事例や実際の化石燃料への投融資額の調査結果をうけて、ダイベストメントのキャンペーンを企画するというワークショップを行いました。まずはキャンペーンにおけるGoalと対象(大学、地方自治体、銀行、保険、年金基金から一つ)を決め、その組織における最高意思決定者が誰なのかを考えました。そして最高意思決定者に影響を与えるキーパーソンやキャンペーン方法について各自で案を出し合い、一つのキャンペーンとして企画した案をグループごとで発表し合い、意見交換をしました。

大学向けに、「ダイベストメント!」
大学向けに、「ダイベストメント!」

ちなみに私たちのグループは“上智大学”を対象としたダイベストメントを企画しました。

ワークショップを振り返って~行動することが大事~

このようなNGOのワークショップに参加するのは初めてだったのですが、参加されたみなさん率先して発言したり、他のNGOでの活動も積極的に参加していたりと、非常に意欲的で行動力のある方たちばかりだと感じました。みなさん、温暖化を解決したいという同じ目標に向かっているのですが、ワークショップを通じて、効果的なアプローチに対する考え方やキャンペーンにおける課題の着眼点の違いなどを垣間見ることができ、非常に興味深く刺激的なワークショップでした。

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また、このワークショップを通じて、積極的に行動することが大事だと実感しました。確かに、温暖化問題にはその影響など不確実なこともあり、またキャンペーンにおいても実行可能性や実現可能性など不透明な部分も多々あるのですが、そこに少しでも可能性があるのならば私たちは行動しなければならないと実感しました。

そのため、私はこのダイベストメントについて、まずは情報を友人等に共有し、ダイベストメント活動に対して認知を高めたいと思います。また自分自身でダイベストメントについてより深く調べ、日本初のダイベストメント実現に向けて色々な活動に参加していきたいと思っております。

 みなさんもぜひNGOの活動に少しでも興味を持っていただいて、調べたり参加したりしていただければ幸いです。まずは、10月10日に京都で開催されるシンポジウム「市民が進める温暖化防止」です。350.org Japanの古野さんも登壇されるので、ぜひみなさんシンポジウムに来てみてくださいね!

イベント:2015年10月10日(土)Climate Action Now!シンポジウム「市民が進める温暖化防止2015 ~パリ会議まで50日!~」[京都]

ワークショップ主催団体”350.org”の紹介

まず、350.orgは国際的環境団体で、気候変動問題に取り組むためアメリカで生まれました。この団体はオンラインツールを駆使して草の根に働きかけ、人々が気候変動問題に対して実際に行動を起こすためのキャンペーンを展開しています。この”350”とは、地球が従来の環境を維持するうえで上限となる大気中の二酸化炭素濃度(ppm)を示しており、多くのイベントを通じて、350.orgは気候変動へのアクションという目的で地域レベルでの新たなつながりを形成しています。

350.orgウェブサイト

ボランティアの集いに参加して―本気で“環境”について考える「環境」にいるということ―

はじめまして、立命館大学に通うインターン生の早川友浩です。アメリカ留学から帰ってきて早々、気候ネットワークのインターンに参加しています。今年の夏は、「学びの夏」になりそうです。

8月21日に行われたボランティアの集い

インターンの活動が始まって早々、学生ボランティアやインターン生の“自主性”と環境問題に取り組む“姿勢”に気持ちが高鳴りました。以前からあることは知っていた勉強会やボランティアの集いですが、その場に実際に参加することでレベルの高さを、身を持って感じました。それは、「話の内容」と「目標に到達するまでの段取り設定」です。では、具体的にどういうことでしょうか。私が感じたことをまとめていきます。 

知っていますか!?電力自由化という言葉!

私は、知りませんでした。来年度2016年4月から、電力会社を選べるようになります。実は大口契約は既に自由化されていて、複数の供給会社から選ぶことができるようになっています。一方、私たちが結んでいる小口契約といわれるもの(家庭や小規模な事業所)は、特定の電力会社としか契約できない状態でした。しかし、いよいよ2016年4月から小口契約も、電力を購入する電力会社を選べるようになります!

今回、ボランティアの集いのテーマはこの「電力自由化」についてです。日頃、コンセントにプラグを差したまま、何気なく使う電気…これについていろいろと考えたことはありますか?「今月の電気代、、、」と料金のことを考えることはあるかもしれませんが、どこから、どんな方法で作られた電気が供給されているかを考えたことがある人は少ないと思います。

電力自由化はなぜ行われるのか

 なぜ、電力自由化が進められることになったのでしょうか?今回、発表してくれたボランティアの負野さんのまとめによると、そのポイントは主に3つがあるそうです。(1)安定供給の確保、(2)電気料金の抑制、(3)消費者の選択肢と関連事業の拡大です。

私たちには、どのようなメリットがあるのでしょうか?まず、小売部門も自由化することでライフスタイルにあったプランが提供され、選べるようになります。また、その発電方法についても知った上で選ぶことができます。例えば、原子力ではなく自然エネルギーを中心としたエネルギー会社を選ぶことができるようになり、自然エネルギー社会の実現を私たちが選ぶことで、後押しすることができるようになります。そして気になる価格の面では、企業同士の競争による価格の抑制などのメリットがあると考えられているとのことです。メリットとして挙げられていた安定供給については、公平且つ公正なルールのもとに競争が行われるべきだという話し合いが展開されました。

その反面デメリットも存在することが分かりました。安定供給がメリットで挙げられていましたが、場合によってはそれが難しくなり、大規模な停電が起こることも考えられます。他にも、新規参入した電力会社が市場原理によって淘汰され電力会社が寡占状態となれば、電気料金の値上がりも考えられます。

来年度2016年からは、電力自由化に制度として自動的に移行するため、デメリットを知っていても意味が無いと思うかもしれませんが、デメリットを知っておくことで、いざとなった時に早急に判断や行動ができると思います。

これからは、自分が使う電気について、どこから電気を受け取っているのか、どのような発電方法をしているのかなど、何も知らない状態ではいけないと思いました。少しでも意識を持ち、エネルギーや電力について考えていくことが必要だと思います。

目標は12月の環境フェスティバルでのブース出展!

 なぜ、電力自由化について勉強していたのか。その先には、今年度2015年度12月に開催される環境フェスティバルでのブース出展があります。そこでは、電力自由化を少しでも多くの人に知ってもらい、イメージを持ってもらうための企画を考えています。これは、気候ネットワークのボランティアによる企画で、既におおまかなイメージはできつつありますが、これから約4ヶ月の準備期間に、調べ、学び、議論し作りあげていきます。フェスティバルのブースに来られた方にしっかりと説明が出来るように、これからも頑張って勉強会などを通じて学び、深めていきたいと思います。みなさんぜひ、気候ネットワークボランティアの企画を応援して下さい。よろしくお願いします!

ボランティアの学生が考えたブースに是非お越しください!

読んでくださった閲覧者の皆さまに深くお礼申し上げます。今年度2015年の12月に開催される環境フェスティバルでのブース出展がありますと書きましたが、是非お越しください。電力自由化について真剣に考え、市民の方々に少しでも身近に感じてもらうために出すブースです。原子力発電の問題や新エネルギーによる発電など、「電力」の問題・動向は現在の日本だけでなく世界で考えるべき事柄となっています。電力自由化に移行した際は、市民の方々が自分のライフスタイルに合った電力プランを選択できる、偏った知識だけでなく多くの情報から自分の考える正しい選択肢を導き出すことが求められます。その後押し、きっかけとなる私達のブースに来て頂ければ幸いです。お待ちしております。

東アジア気候変動フォーラムin天津

東京事務所の桃井です。
9月21日に中国の天津で開催された「東アジア気候変動セミナー」に出席してきましたので、今回は少しその報告をしたいと思います。

日中韓の市民交流と東アジア気候フォーラム

今回の「東アジア気候変動セミナー」は、日本の東アジア環境情報発伝所、韓国環境運動連盟(KFEM)、中国の科学技術研究センターが共同で運営する東アジア環境情報ネットワーク(ENVIROASIA)の主催イベントとして開催されたものです。

三カ国の市民のネットワークを通じて、2010年からスタートしたのが東アジア気候フォーラムです。第一回目は韓国の光州市で、翌2011年の第二回目は日本の東京で開催されました。ちょうど東日本大震災の起きた年でもあり、このときは福島原発事故の被災者の方などからの報告も含めた原子力問題もあわせた特別セッションも設けられ「脱原発」にもフォーカスしていきました。原発問題はとりわけ中国での扱いがセンシティブではあるものの、この時を境に「脱原発と気候変動対策の両立」は毎回話題となるテーマになっています。そして、2013年には第三回目を中国杭州市で、そして昨年2014年に再び韓国光州で第四回目を行いました。

今回は、中国の環境保護団体のネットワークCCANのメンバー研修も兼ねて、北京、合肥、青海省、南京、杭州、麗江からメンバーが集まり、日中韓の気候変動政策や地域の取り組みについて情報交換をし、今後の連携について議論する位置づけで開催されました。

今年は、このENVIROASIAの15歳の誕生日ということで、ホスト国の中国科学技術研究センター代表の李力さんがお祝いのケーキを用意してくれて、盛大な祝賀パーティも開かれました。なんと、15年前、このネットワークの発足を中国や韓国の市民団体に呼びかけたのが、日本の東アジア環境情報発伝所代表の廣瀬稔也さんで、気候ネットワーク東京事務所のオフィスも同じ場所においているという御縁があります。廣瀬さんは、祝賀会でこの15年を振り返り、国際社会の中で政治的・経済的な情勢が大きく変化する中にあっても、草の根レベルで日本・中国・韓国の市民が互いを尊重してつながっていることの意味や気候変動をテーマに情報を共有しつつネットワークを育んできたことへの感謝の気持ちを語りました。

ENVIROASIA 15歳の誕生祝いにて 日・中・韓の代表者によるケーキ入刀
ENVIROASIA 15歳の誕生祝いにて 日・中・韓の代表者によるケーキ入刀

 

日中韓のINDCと課題を共有

さて、今回のセミナーは、COP21の直前でもあるので、第一部に基調講演「COP21に向けた課題」、第二部で各国のINDCについて、第三部で今後のアクションという構成ですすめられました。中国は中国気候変動行動ネットワーク(CCAN)の毕欣欣さん、韓国は韓国環境運動連合(KFEM)の李志彦さん、日本から私・気候ネットワークの桃井がそれぞれINDCについて発表しました。韓国と日本の発表では、それぞれの国のINDCが「2℃目標」を達成する上でも長期的削減に向けたプロセスとしても、公平性や野心度からみても不十分であると指摘していました。一方、中国のINDCについては、質疑の中で2030年にピークアウトというよりは、すでにピークアウトしているのが現実ではないかとの指摘が出て、石炭需要などについても実態を詳しく調査分析する必要性があがりました。

また、日本から参加した東北大学教授の明日香壽川さんは各国発表の総括をし、石炭火力発電所の開発に対しての海外融資で公的資金を最も投入しているのが日本で、次いで韓国、中国とこの三カ国が世界の中で石炭支援に最も資金を拠出していることをあげ、石炭融資の問題に東アジアの市民側も連携して言及してはどうかと問題提案されました。

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進行する東アジア環境情報発伝所の山崎さんと日中韓発表の総括と石炭問題に対しての提言をする東北大学の明日香壽川さん

市民の連携アクションに向けて

前半での議論をうけて、今各国ではどんなパリ会議に向けてどのようなアクションを実施しているのかを共有し、最後は山崎求博さんの進行により、市民側で連携していくアクションとして次のことがまとまりました。

1.11月28~29日のグローバルアクションデーで共同アクションを行うこと(日本ではClimate Action Now!キャンペーンとの連携)

2.石炭の問題に言及した東アジア市民による共同声明をCOP21前に発表すること

3.東アジア気候フォーラムのホームページを立ち上げ、運用を行うこと

4.それぞれ地域で実践する省エネ・再エネ対策などの情報をWEBを通じて共有していくこと

ということで、さっそく、日本に戻ってからもこれらの実行に向けた準備対応をしています。

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エクスカーションはカニ釣り!?

22日には、天津の郊外に移動して有機農業などに取り組んでいる村におじゃましました。ここでは、田んぼにカニを放し飼いにして害虫が増えるのを防ぐ「カニ農法」をしているのです。日本だと「アイガモ農法」は聞いたことありますが、カニはきいたことがありません。どうも最近の中国はなんでも農薬漬けになっているイメージがありますが、無農薬に取り組む村があることにも驚きましたし、カニを使うというユニークな方法もまた面白いなあと思いました。

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そして、観光客用にカニ釣り場も用意されています。釣り糸に鶏肉をクリップで挟んだものを垂らし、釣り場に落とすだけです。釣り場はカニで埋まっているのではないかと思うほど、入れ食い状態です。たった10分でこのとおり大漁でした。捕まえたカニは、残念ながら今回お持ち帰りできなかったのですべてリリースでしたけど・・・。

こうして、いろんな意味で充実した天津出張となりました。

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来年は日本開催!

さて来年、第5回東アジア気候フォーラムは、ホスト国が日本になります。今回の会議で、秋ごろに開催するということで合意がとられましたが、内容や具体的な開催日は今後の状況を見て決めていくことになります。また、開催場所についても、いくつかの候補地があがったものの、まだ確定できていません。アクセスが便利で、宿泊費もほどほどで、環境先進事例を中国や韓国の方に見てもらうことができ、おもてなしの精神でお迎えできる場所はいったいどこだろうかとなかなか決定できません。京都案が濃厚なのですが、なにせ秋の京都は宿代が高すぎる点で躊躇してしまいます。良いアイディアがありましたらぜひお寄せください!

※おまけ・・・・
カニ釣りや植林活動をしている間に日中韓のスタッフミーティングをしたのですが、村の民泊レストランの会議室はオンドルで、その横には石炭専用のストーブがおいてありました。”排ガスがでなくてクリーン”だと表示がありますが・・・。まだ市民の生活でも使われているところがあるのですよね。ちなみにそのストーブの横にある竈は薪専用でした。

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自然エネルギー学校に参加してーボランティアとして考えたこと

こんにちは。今回インターンシップ活動をさせていただくことになったLEE Soohyeonです。

環境保護に興味をもつようになったキッカケ

このまま地球温暖化が進んだら私たちはどうなるのだろう

 

私は幼い頃、父と「動物の王国」という動物の生態・一生を語る番組を見ました。当時はまだ子どもだったので、ドキュメントよりはアニメ系の番組が好きでしたし、父から「一緒に見よう」と言われたら、嫌でその場から離れた覚えがあります(笑)。ですが、今やチャンネルを変えずにその番組を見ている自分がいます。そこで、私の目に入ったのが熱くなっていっている気候のため、動物が苦しんだり、死んでいく姿でした。一番印象に残っているのは、極地方で氷河が溶け、ホッキョクグマやペンギンが居場所を失い、どんどん遠いところまで泳いでいかなければなくなったシーンです。彼らが可哀想と思いながら、いつか私の居場所も失われるかもしれないと考えたら突然怖くなり、今私に出来ることはなんだろうと思い始めました。使っていない電化製品のプラグはすぐ抜いたり、出かける時は必ず電気を消したり、1時間ほどの距離は自転車を利用したり…。最初はお金の節約のために始めた行為が、環境にも優しく、未来へ繋ぐ行動だということがわかってからは、以前よりもっとやりがいを感じるようになりました。

初めてのインターンシップ活動を気候ネットワークで

学校での学びを生かしたい

 

前学期、私は大学で「現代環境論」という授業を受講しました。大きくは原子力の危険性と自然エネルギーの可能性を学びました。韓国でもよく知られている水俣病とイタイイタイ病をはじめに、国内外で起こった原子力発電所の爆発や被爆で苦しんだ人たち、補償への長くて苦しい戦いがあったことを知りました。原子力はとても効率が良く、理想のエネルギーとして歓迎されていた状況もありましたが、東日本大地震から、安全性の問題や廃棄物の処理の件などを考えると、最終的に私たちが求めるべきゴールは自然エネルギーだと思います。そして、自然エネルギーの普及を目指し、実践活動にも取り組んでいる気候ネットワークの5つのミッションを確認し、参加を希望することになりました。原子力と自然エネルギーの現状を知り、これからの私たちの役割を探していきたいと思っています。

自然エネルギー学校でスタッフとして!

自然エネルギー学校とは?

 

「自然エネルギー学校・京都」は、市民・地域が主体となって自然エネルギー普及を進めるための人材育成、並びにネットワークづくりを目的とする連続講座です。今年は計4回の講座で構成され、自然エネルギーに関する最新の動向を把握し、実際に自然エネルギーの普及活動を進めるうえで役立つ内容となっています。自然エネルギーの基礎知識から、現在の日本におけるエネルギー政策の問題点や、自然エネルギー導入・普及の先進的な事例まで幅広く学ぶことができます。また、この学校では一方的な情報伝達ではなく、各々が考えていること、感じていることを共有し合います。これにより、自分たちの力でより良い社会を設計していく力を育むことができますし、個人の意味をさがすことにもつながりうるのです。

自然エネルギー学校、その姿

 

8月29日に開催された「自然エネルギー学校・京都」第1回の会場は、京都市伏見区にある京エコロジーセンターでした。会場に入ると、太陽や動物たちが笑顔でいるシールが貼っていた窓、木材でデザインされていた内部の姿から、環境重視の思いが反映した建物だと思い、わくわくしました。12時40分、京エコロジーセンターでスタッフ全員が集まって、それぞれの役割や進め方を確認しました。私は初めてのインターン活動であること、そしてプログラムについてほとんど知識がなかったことで緊張していました。ですが、職員さんからの優しいアドバイスや開催説明ですぐ安心することができました。そして、今回私は会場の様子をカメラに収める機会をいただきました。こちらのブログで紹介することができて嬉しく思います。

最初は今回のプログラムについての簡略な説明がありました。「京都議定書をご存知ですか?」という、みんなが知っていそうな範囲の投げかけから、暑いときは事務室に来て仕事をし、今年の夏、エアコンをつけずに過ごすことができたという田浦さんのユーモラスな弁舌で参加者たちは気を楽にしていると感じました。

続いて、私たちは「アイスブレイク」の時間を持ちました。椅子を丸く並べて、参加者が互いの顔を向けながら座りました。そして、自己紹介を行い、各々が行きたい場所、好きな食べ物などの話をしました。芋発電に興味のある方から、大学では出来ない体験を求めて参加した大学生の方まで、本当に色んなところから沢山の方々が来ていました。中には「北欧に行ってオーロラが見たい」、「刺身が大好き」と、私と同じ考えの方もいて、とても楽しい時間でした。

そして本格的な講義が始まりました。気候ネットワークの豊田さん、そしてワーカーズ・コープエコテックの林さんから地球温暖化の問題や、今日の日本の原子力の実態、自然エネルギーの政策の現状、導入事例などについての説明を聞かせてもらいました。この講義で私が知ったのは、自然エネルギーは家庭からでも実践できるということでした。この前、太陽熱発電施設をたてるためには韓国の汝矣島というところの8倍もする面積が必要だという文書をネットで見て、自然エネルギーは面積の小さい国や都市の中心部では設置ができないと判断し、私は原子力発電に賛成していましたが、当日配ってもらった資料や、講義の内容からそれが違うということが分かりました。実際、ヴィルポーツリードという村や、岡山県西粟倉村では自然エネルギーを使用し、エネルギー自立を目指した試みが進んでいるそうです。こうして、今回のプログラムでは私自身が持っている誤解も直すことができました。

最後にみんなが集まってグループワークを行いました。5人ずつのチームに分かれ、当日の感想と講師への質問について話し合いました。沢山の質問が出され、そのすべてが環境保護への大切な思いだと思ったら嬉しさとともにすごくやりがいを感じました。

振り返ってみると

小さな動きから始まる環境保護

 

家から会場まで1時間なら着ける道のりと思って自転車に乗りましたが、片道2時間30分、往復5時間といった「大旅行」となりました。加えて、帰る時には大雨が…。本当はすごく疲れていた一日でしたが、気持ちだけは晴れでした。気候ネットワークの一員として新しい経験をし、思い出をつくり、そしてみんなの環境への愛を感じることができてとても貴重な時間だったと思います。

普段私は、「人間はこの地球でどんなメリットのある存在だろう」と考えることがよくあります。他の生き物と一緒に共存するのではなく、人間の便宜のために無差別的に環境を破壊する姿を見て、心から悲しみました。このような状況の中で、このように多くの人々が環境保護への声に耳を傾け、心を一つにすることは大変幸いなことだと思います。こういった動きがどんどん広がるために、今後私たちはどうすべきかを気候ネットワークで一つ一つ学んでいきたいという想いで一杯です。

COP21パリ合意に向けての第一歩~ボランティアの国際交渉勉強会

 はじめまして。2015度の気候ネットワーク・インターン生のY.Aと申します。

 私はCSOラーニング制度を通じて、気候ネットワークで温暖化防止教育事業「こどもエコライフチャレンジ」を中心に活動に参加させて頂いています。CSOラーニング制度とは、損保ジャパン日本興亜環境財団が環境系NPO/NGOと学生をマッチングして長期インターンシップの場を提供する制度です。

 さて、8月5日に京都事務所で行なわれた、気候ネットワーク・ボランティアによる「国際交渉勉強会”Road to Paris”」に初参加してきました。決められたテーマで2人の担当者さんが発表し、討議するという形式です。今回はその内容を紹介します。

京都議定書について

 まず、インターン生の津田さんの発表。「京都議定書」というテーマで、初心者でも理解できるように説明してくれました。

 地球温暖化が問題になっているので対策しなければならない→温暖化対策の大まかな方向性を共有するために枠組条約を作ろう→国連気候変動枠組条約の採択・発効→次に具体的な目標や方法を議定書で定めよう→京都議定書の採択・発効、という流れをはじめに詳しい図で示してくれました。

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京都議定書とは

 特徴として「先進国の排出削減義務目標」・「京都メカニズム」・「森林吸収」があります。「先進国の排出削減義務目標」について、先進国全体で、1990年比で2008年から2012年の5年間に温室効果ガスを5%削減という数値目標を掲げました。日本は-6%、アメリカは-7%、EUは全体で-8%という目標だったのですが、同じEU内でもドイツだと-21%、フランスだと+-0%、ギリシャだと+25%とかなりバラつきがあるのが印象的でした(EU各国の経済発展などを考慮し、公平にしようという意識が強かったからだそうです。ちなみに、現在のEU加盟国数は28ヶ国ですが、京都議定書採択当時は15ヶ国でした)。

京都議定書の抜け穴

 気になったのは「京都メカニズム」関してです。「京都メカニズム」には(1)排出量取引、(2)共同実施、(3)クリーン開発メカニズム(CDM)の3種類あり、自国の数値目標達成のために他国との間で温室効果ガスの排出枠を売買したり、他国で実施した対策による削減分を自国の削減とすることができる仕組みです。この仕組みは費用対効果の大きなところからの削減を促し、世界全体として低コストで温暖化対策を実施するには効果的な方法ですが、国内での対策を緩めることにつながるため「京都議定書の抜け穴」と批判されています。このような「抜け穴」が出来てしまった理由は、(1)温室効果ガスの排出量に関して、始めに高い目標を設定してしまったから、(2)このような帳尻合わせがあると京都議定書に消極的な国からも合意を得やすいから、だそうです。

 京都議定書第1約束期間(2008~2012年)の結果は、世界全体で見ると目標が達成され、日本でも目標の-6%を上回る-8.4%でした。しかし日本の場合、京都メカニズムや森林吸収を含めないと、+1.4%になるそうです。ここだけ見ていると、地球温暖化を食い止めようという目標は上辺だけで、約束を遵守するために(←約束の遵守に拘束力があるところに、京都議定書の意義があります)数値稼ぎをしているように思えてしまいます…。パリ合意では、もっと改善してほしいです。

今年のパリ合意に向けて

 教訓として津田さんは、京都議定書では先進国のみでアメリカは離脱していたので、全ての国の参加が必要だとおっしゃっていました。ただし「参加」という言葉の本質を間違えてはいけないそうです(低い努力目標での全ての「参加」は実効的とは言えない、など)。この辺りはややこしくて混乱してしまいましたが、全体の話は大まかに掴めました。

 津田さんの発表は、レジュメが書き込み式になっていたり、他の人の発言の場を設けたりと工夫がされていて、分かりやすい発表だったと思います。

エネルギーミックスについて

 次に、インターン生の廣田さんの発表。エネルギーミックスを切り口にしたテーマでした。エネルギーミックスとは様々な発電設備の特性を踏まえ、経済性・環境性・供給安定性など各観点から電源構成を最適化することを指すとされています。

政府による電源構成案

 今年6月1日の総合資源エネルギー委員会での大筋合意や後の正式決定された文面を見ると、二酸化炭素排出抑制のためには再生可能エネルギーを拡大し石炭火力を抑制することが必要であり、コスト削減のためには再生可能エネルギーを抑制し石炭火力を拡大する必要があると述べられています。また、政府は原発の安全性に疑問を持つ世論に配慮して震災前よりは依存度を少し減らしつつ、その運転延長を織り込んだりしています。

様々な“反原発”の立場

 エネルギー政策については様々な見解があります。廣田さんが例としてあげたのは、長期的にみれば反原発・再生可能エネルギー推進は正しいが、資源の可採年数や土地有効利用の観点から反原発・火力推進を唱える木本氏の主張でした。

 また、ムラー氏(米カリフォルニア大学教授)は、反原発・天然ガス推進を主張しています。天然ガスはアメリカでは日本に比べてコストが低いからだそうです。

 廣田さんは、このまま原発に頼るのはよくないし、天然ガスなどに移行していくのがよいのでは?とムラー氏の意見を推されました。

 一方、気候ネットワークは脱原発と温暖化対策の両立という立場から、自然エネルギー中心の社会を目指しています。自然エネルギーは安全性、環境性だけでなく、運用コストや雇用創出、地域活性化といった経済性の面からも、優位なエネルギーであると主張しています。

よりよい発表のためには

 質疑応答では気候ネットワークも含め色々な説と比較して、具体的な数量を示すとさらに良かったのでは、という意見がありました。例えば、東日本大震災前の時点において、原発の占める割合は電力だと3割だが、一次エネルギーで見ると1割程度であることを考慮すると、原発によるエネルギーの必要性も変わってくるかと思います。

 また、それぞれ異なる多様な主張がある中で、客観的でバランスの良い資料集めをするにはどうしたら良いか?という質問もありました。これに対しては、どうしても主観的になる、厳密な意味で「客観的でバランスのとれた意見」はなかなかない(ある人が、ある特定の意見を「客観的でバランスのとれた意見だ」と評価すること自体も主観的なこと)、とにかくたくさんの異なる主観的な意見を見聞きし、それらを比較し、自分の頭で考える必要があるのではないか、という議論がありました。

 廣田さんの発表は、今まで全然知らなかった説も聞けて、勉強になったので良かったと思います。

みなさんもぜひ勉強会にご参加を

 今回初めてボランティア勉強会に参加させて頂いて、有意義な時間が過ごせました。このブログを読んで、少しでも興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、ぜひボランティア勉強会に参加してみてください!