インターンを終えて〜シロクマ訴訟総括から学んだ課題〜

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こんにちは。気候ネットワーク東京事務所で約2週間インターンとしてお世話になりました。ロースクール生のK.Mと申します。

インターン中は、主にシロクマ訴訟と呼ばれる裁判についてまとめる作業を行っていました。インターン最終日には、シロクマ弁護団の方々によるシロクマ訴訟総括会議に出席する機会にも恵まれ、その後の国際交渉研究会との合同会議にも出席することができました。

シロクマ訴訟の総括会議に参加して

シロクマ訴訟とは、ご存知の方も多いとは思いますが、わが国で初めて二酸化炭素の排出が「公害」に当たるかどうかが争われた訴訟です。地球温暖化の被害を受けている象徴としてシロクマを裁判の原告に加えていたことからこのような呼び名がついています。

参考記事:地球温暖化は「公害」か?~シロクマ訴訟の東京地裁判決~

裁判は結論から言うと、請求棄却となってしまいました。裁判所は、環境基本法2条2項の「地球環境保全」の問題と2条3項の「公害」の問題とを峻別するような立場に立ち、地球温暖化は2条2項の「地球環境保全」の問題として取り組まれる課題であるとされました。そして、「公害」に該当するためには汚染物質それ自体に「毒性等」というものが必要であるとされました。つまり、二酸化炭素という物質それ自体には毒性がないので、「公害」には該当しないということです。

「公害」該当性としてこのような余計な要件が付加されてしまったのは、地球温暖化という現象の複雑性に起因していると思われます。すなわち、地球温暖化は、加害者の数が多く二酸化炭素の排出から被害が発生するまでの因果も長く複雑であるということです。裁判所としては、そのような複雑な因果の流れをもつものを公害とは認定しづらかったのでしょう。

しかし、なぜ因果関係が複雑であると「公害」として認めてはいけないのでしょうか。二酸化炭素という温室効果ガスが排出され、それによって現に深刻な被害が発生している以上、二酸化炭素の排出は「公害」に当たるというべきではないでしょうか。

真剣な会議から学んだこと

今回、自分がまとめていた訴訟の弁護団の方々の真剣な会議に参加することができ、将来自分が弁護士になるモチベーションを高めることができました。

国際交渉研究会との合同会議では、パリ協定の発効にむけた現状、それについて弁護士としては今後どのような対応を取っていくべきかについての真剣な議論に触れることができました。

地球温暖化はすでに深刻なところまで進行してしまいました。このような現状では、もはや二酸化炭素を排出することが公害に当たるというべきです。地球温暖化は資本主義社会の負の側面が積もりに積もったものとも言えると思います。資本主義社会の構造を一気に変えることは難しいとしても、なんとかこのような現状は少しずつにでも変えていかなければならないのではないでしょうか。今回はそのことについて改めて考えさせられました。

次世代に何を残すのか

最後に、インターンの初日に参加したシンポジウム「気候変動とたたかうアジアの人々」で聞いた、東京電力福島第一原発事故で苦しむ人々の言葉を引用したいと思います。

「子供の頃遊んだ田んぼのあぜ道、山菜やきのこを採り近所の人たちと分け合う喜び。都会に魅力を感じたこともありますが、やはりここに住み続けることにしました。その喜びを自分の子供にも残したかったからです。それなのに原発事故が、そのすべてを奪ってしまった…。」

この言葉は、まさに地球温暖化問題を縮図として表していると言えるのではないでしょうか。つまり、原発事故の問題は、まさに地球温暖化問題の縮図と言えるのではないでしょうか。

地球温暖化が進行すれば、今後は地球規模でこのような問題がたくさん起きてしまうと思われます。すべてが手遅れになる前に、気候変動問題について、今のうちからきちんとした対策を実行していかなければならないでしょう。このままいけば、私たちが住んでいる地球は終わりです。そうならないために、私もなんとかしていきたいと思います。