自然エネルギー100%宣言事例 〜自治体〜

皆さんこんにちは!

気候ネットワークインターン生の塚本です!

自然エネルギー100%プラットフォーム発足に際して、すでに100%宣言をした団体を、インタビュー内容を基に連続コラム形式で掲載していきます。

第一弾として、宝塚市の事例を取り挙げていきます。

自然エネルギーの街、宝塚市

皆さんは宝塚市と聞くと、どのようなイメージを抱きますか?(手塚治虫博物館)

宝塚歌劇、温泉、手塚治虫が育った街、高級住宅街などなど様々な名所や有名どころで溢れる宝塚市ですが、実は、自然エネルギーの導入に大きく力を入れている自治体でもあるんです!

宝塚エネルギー2050ビジョンにおける自然エネルギー活用目標

宝塚市は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を進めていくための道筋として「宝塚エネルギー2050ビジョン」を策定しています。

詳しくはHPを見ていただければなと思いますが、簡潔に説明すると、省エネを進め、エネルギー消費量を減らした上で、再生可能エネルギーの自給率を上げることなどを長期目標として掲げています。

(宝塚市エネルギー長期目標値、宝塚エネルギ−2050ビジョンより)

上図の通り、宝塚市はエネルギー政策目標として2050年までに家庭部門・業務部門・産業部門において自然エネルギー電力及・熱活用率100%という野心的な目標を掲げています!

本当に100%を達成できる?

2050年までに電力・熱活用率100%を家庭・業務・産業部門において達成するというのは、他の自治体と比べてかなり進んだ目標であると言えます。

この高い目標をどのように達成していくのか、宝塚市地域エネルギー課職員の方に教えていただきました。

熱活用率100%の見通しは現状としては厳しい、、

宝塚エネルギ−2050ビジョン進捗状況によると、2015年度の数値は0.3%で、基準年度の2011年0.3%と比べると横ばいであることがわかります。

2015年の数値が0.3%であるのに対して、2050年の数値は100%となっています。

上記の目標をどのような施策の元に進めていくのか、担当者によると、「市内の家庭・業務・産業部門における太陽熱利用機器(集熱器や蓄熱槽を用いて、太陽エネルギーを冷暖房や給湯システムなどに活用する。)を大幅に導入していくことを施策の一つとして考えている。ただ現在抱えている問題として、公共建築物での導入には幾つもの制度が絡み合っていることに加えて、施設管理者への説明など様々な障壁が立ちふさがっています。現状としては熱利用100%達成に向けた先行きは不透明ですが、引き続き100%達成に向けて取り組んでいく次第です。」とのことです。

電力活用率100%に向けた方策

宝塚エネルギ−2050ビジョン進捗状況によると、2015年度の数値は13.2%で、基準年度の2011年10.6%と比べると2.6%増加したことがわかります。

また、2015年の数値が13.2%であるのに対して、2050年の数値は100%となっています。

熱利用よりは現状の数値が高いものの、それでも短期間での急激な数値上昇が見込まれることに変わりはありません。

100%達成に向けた施策としては、補助金制度を活用した市民・市内の事業者による太陽光発電設備導入(下写真がその一例)、市役所本庁舎の100%再エネ化、避難所を含めた公共施設での再エネ利用率の増大などなど多岐に渡ります。

上記の施策を効率的に行うための具体的な取り組みとして、再エネ相談窓口の設置、地元金融機関との連携による再エネ導入への支援、公共建築物における屋根貸しと税優遇の実施など、様々なアクターを巻き込んでの取り組みを行っていく見通しです。

(宝塚市すみれ発電3号機写真)←「宝塚市市民発電所設置モデル事業」により実施!

チャレンジ20目標!

100%という目標値の実現は長期にわたるため、その中間段階での進捗状況を図る目安となる「チャレンジ目標」を宝塚市は設定しています。チャレンジ20目標は、2020年までに達成する目標であり、その一例として1万kWの太陽光発電を新たに導入することが掲げられています。

またチャレンジ20目標の進捗確認が、2020年に宝塚市議会にて行われる予定です。

現状では、目標達成に向けて「すべきこと」は上記に示してきたように明確化されていますが、「どのように誰が具体性を持って進めていくのか」ということは曖昧なままでした。こう言った現状を是正するため、2020年という一つの契機に議論を活発化していくことが求められます。

市民が活用しやすい制度環境づくりを

インタビューの最後に、担当者の方から今後の課題についてお話ししていただきました。

「自然エネルギー100%という壮大な目標を達成するためには、市民の方々との協働が不可欠です。しかし、現状としては市民の方々が自然エネルギー拡充に資する環境として、優れているとは言い難いです。太陽光発電設備に対する補助金制度を整えても、そもそもそのことを知らない市民の方がたくさんいらっしゃる。自然エネルギー拡充に向けた講演会を何度か市内で行っても、人数が少ない事はおろか、参加者の八割ほどが毎回同じ市民の方々というのが現状です。

それでは市民の方々に協力してもらう事は出来ません。行政が抱く思いをいくら伝えたところで、市民の方々に理解していただく事は難しい。大切なのは伝え方で、分かりやすく説明し、市民の方々にとってのメリットを提示することが求められています。また、仕事や時間の関係でアクセスしづらい労働者層の方々や学生の方々といった様々なセクターを巻き込んでいくことも重要であると感じています。

壮大な目標であることは重々承知しています、その上で目標を達成するためには地道な取り組みが求められます。分かりやすい情報開示を行い、より多くの方々を巻き込み、初めは小さなうねりでも、徐々に大きな流れを作っていくことを意識していきたいと思います。」

自治体は今後の日本のエネルギー問題を支える大切なセクター

自然エネルギー割合の増大に取り組んでいる自治体は、宝塚市だけではありません。福島県、長野県など、少しづつですが野心的な目標を掲げる自治体が増えてきています。

福島原発事故後、分散型電力システムの必要性が高まってきています。それらを支えるのは大手の電力会社ではなく、地元の企業が地元のエネルギー資源を使って電力を作り、地元に電力を供給することが望ましいのではないでしょうか。

また、地方分権が進み、自治体がそれぞれのエネルギー政策を持ち、それぞれの実態に合った取り組みが進められてきています。市民、自治体、企業等の多様なステークホルダーが一丸となって地域のエネルギー問題について議論し、全体が納得できるようなエネルギー社会を作っていきたいものです。

そのためにも、自治体が市民とともに透明性のある制度づくりを行い、全セクターが地域の自然エネルギー拡充に資するような環境づくりをすることが期待されます。

参考文献:

・宝塚市地球温暖化対策実行計画概要版(区域施策編)、宝塚市環境部地域エネルギー課発行

・宝塚エネルギー2050ビジョンhttp://www.city.takarazuka.hyogo.jp/kankyo/energy/1014261/1010471.html

インターンを通して〜気候変動対策の何が問題か

こんにちは。

東京事務所インターンの愛琳です。

2017年3月から気候ネットワークでお世話になっていましたが、2018年7月いっぱいでインターンを終了しました。9月からはドイツのフライブルク大学で修士課程にすすみ、環境ガバナンスについて勉強します。1年半弱の活動を通して、わたしたちをとりまく気候変動問題について個人的に感じたことお話しします。

まずは自分の国のことを知る

 そもそも気候ネットワークでインターンをしようと思ったのは、私自身があまりにも日本の気候変動対策をめぐる動きについて疎すぎると感じてことにあります。

 当時インターンを始めた頃は、大学4年生になる直前で、周りには少しずつ内定をもらう子が出てきている頃でした。私は、海外の大学院に進学し、気候変動問題に関わる仕事をしたいと決めていたのですが、ふと「そういえば私って日本のことをどれくらい知ってるだろうか」と感じました。専攻が国際関係論だったこともあり、私も周りの友人たちも常に世界情勢ばかりに目を向けてきたものの、じっくり自分の足元について考えたことはなかったなと、焦り混じりの気持ちで始めたインターンでした。

 半蔵門に通うようになってすぐの頃に、早速「日本の石炭火力問題についてわかりやすくプレゼンする」というタスクがありました。はじめは「自分もまだ何も知らないのに人に伝えるなんてできない!」と思い焦りましたが、まさに「働きながら学ぶ」スタイルで、自分自身も問題について認識を深めるいい機会になりました。

 これまでの活動を通して、私が個人的に「ここが問題だよなあ」と感じたことが三つありました。それについて少し紹介します。

何が問題か:「流行」としての気候変動問題

 気候ネットワークでインターンをするようになってから、あらゆる場面で「若い人の関心が…」という話を伺いました。自分にもできることはないかと思い、まずは友人たちと話してみようと思いました。すると、ほとんどの友人が口をそろえて「気候変動?まあ小学生くらいの頃は授業なんかでもやったけど、そのあとはほとんど、ねえ」と言いました。

 思い返してみれば、わたしも小学生の総合学習で少し習った記憶で止まっているような気がします。そのあとは「エコカー減税」とか「省エネ家電」とかのフレーズのみで、議論のテーブルに上がっていることはあまりなかったように感じます。ある一人の友人は、「むかしは公害とか京都議定書とかあったから、そういう問題って”流行ってた”けど、いまはあんまりだよね。大事なのはわかるけど。」とまで言いました。

 たしかに、今の日本社会は「経済成長」という言葉がある種のトレンドのようになっているように感じます。ただ、気候変動問題は、流行り廃りの問題ではなく、私たちの未来を脅かす危機です。人々の関心が薄れようが高まろうが、その危機は着実にこちらに迫ってきているということを深刻にとらえなくてはいけないのではないか、と痛感しました。

何が問題か:国家の役割

 気候ネットワークでの活動の中で、とてもCO2排出量の多い石炭火力発電所の建設を推進する電力会社や国の政策のなかには、いわゆる成長戦略の一環、燃料費が”安い”ため経済的である、といった文言がいたるところにちりばめられていました。もちろん、正しく分析すれば石炭が経済的ではないことは明らかです。ただ、石炭の問題に限らず、人間にとって、長期的な価値を考えて目の前の利益をあきらめるのは難しいことです。地中に埋もれている石炭が現時点で安ければ、使ってしまえとなってしまいます。

 しかし、それではいずれ自分たちの首を絞めることになります。それを防ぎ、より理性的な判断を下すために、集団で行動するのではないでしょうか。とくに国家はそのためにあるといっても過言ではありません。

であるにもかかわらず、日本において石炭火力を推進する主体は、国家なのです。エネルギー基本計画のなかで堂々と石炭火力をベースロード電源として位置づけ、本来は歯止めになるべき環境アセスメントは形式上にとどまり、さらには国外にも石炭利用技術を輸出しようとしています。これは国としての機能を果たしていないといえるでしょう。

 石炭の利用による利益は、利用しないことによるメリットの比ではありません。目先の利益だけを考えて行動するようでは、この国にとって価値のある成長は見込めないのではないかと感じました。

 

何が問題か:無気力

 気候ネットワークに入るまで、欧米や数十年前までの日本と比べて、今の日本は市民社会の力がとても衰弱しているものだと思っていました。

 たしかに、データだけで見れば相対的に弱いような感があります。友人たちとの会話の中でもよく「たとえばわたしが石炭に反対、って表明したところでさ、それくらいじゃ何も変わらないんじゃないの?」「たとえばわたしがエアコンを使わないようにしたところで、どれくらいの変化があるかわからないよね」と何度も言われました。気候変動問題・エネルギー問題は、「規模が大きすぎるから個人でできることはない」という無気力感が蔓延していると感じました。 

 少なからず私もその点にはフラストレーションを抱いてた時期がありました。ただ、反対運動によって石炭火力発電所の新設計画が中止になった、あるいは大きく注目を集めているケースを間近でみさせていただいたことにより、そのようなモヤモヤは払しょくされました。

 わたしは主に東京湾周辺の石炭火力発電所の計画に対する反対運動の会(考える会)の活動をサポートしてきました。東京湾周辺では、千葉県市原市の計画が中止になったものの、依然として袖ヶ浦・横須賀・蘇我に大きな計画があります。考える会のメンバーは、少ない人数でも精力的にそして組織的に活動を続けています。それをしのぐような勢いで計画が推し進められていることは大きな問題です。

 しかし、私の友人や、きっと多くの人が思っているような「個人でできることがない」という無気力は正直お門違いなように思います。問題は、「共に行動してくれる人が少ないから」という点にあると感じました。「どうせかわらない」といった言い訳まがいのことをこぼす前に、まずは行動を始めている人たちに賛同する、自分の意思を表明するといった簡単なことでも、大きな力になるのだと思います。

これから

 さきほども書いたように、わたしはこれからドイツのフライブルク大学で修士課程にすすみます。ずっと関心のあったアフリカ諸国の都市における気候変動問題とエネルギー政策について学ぶ予定です。これだけ日本のことを言っておいて海外のことをやるの?と言われそうですが、気候変動問題は地球規模の問題です。わたしが最大限貢献できる場所は、いまは日本国内ではないと思っています。

 それでも、気候ネットワークでの活動を通して学んだことはこれからとても大切になると感じています。世界中から集まる学生たちと議論をするうえで、日本における現状とその問題を自信を持って話せるでしょう。また問題点だけでなく、日本にはこのように活動する人々がいるという紹介もできます。外から自分の国を見つめなおすことで、これまで見えてこなかったことも分かるかもしれません。

 日本の石炭問題の深刻さにため息をつくようなことも何度かありましたが、それに圧倒されずに忍耐強く取り組むスタッフ、考える会のみなさんの姿はこれからわたしが目指すべき姿だと感じました。皆さんに負けずに私もドイツでがんばります。