G20サミットと気候変動〜大阪開催に向けて

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こんにちは。京都事務所の伊与田です。

史上初、日本で2019年6月28〜29日にG20サミットが開催されることになりました。昨年2018年に開催されたG20ブエノスアイレス・サミットを引き継ぎ、G20諸国の政府間調整が行われています。また、これにインプットするため、市民社会、女性、ユースなど様々なステークホルダーの議論がすでに進められています。

2019年に大阪で開催されるG20サミットに向けて、この議題のひとつとして位置づけられている「気候変動」について、考えてみたいと思います。

気候変動の責任の所在としてのG20

日本を含むG20諸国は、世界の温室効果ガス排出量の8割相当を排出しているため、この問題において極めて大きな存在感をもつグループです。世界に約200もの国があることを考えると、ごく一部の国が温暖化の責任の大部分を負っている、いびつな構造がおわかりいただけると思います。

Climate Transparencyが2018年11月に発表した報告によれば、G20の中でパリ協定の目標に沿う2030年までの排出削減目標を掲げている国は一つもありません。また、G20には、未だに石炭など化石燃料に公的資金を投入し続けている国があるとされています(中国、日本がツートップ)。

それに、カナダとフランスを除くすべてのG20諸国は、炭素に価格づけを行うカーボン・プライシング(炭素税など)による政府収入よりも、化石燃料への補助金による政府支出のほうが大きいとも指摘されています。つまり、パリ協定のもと、本来ならゼロにしていくべき化石燃料に対して、厳しくするよりもむしろ甘やかしているのが現状だということです。

このように、G20諸国は、その責任と能力に見合う対策をしているとは言えない現状にあります。G20諸国と違い、温室効果ガスをほとんど排出していないのに被害ばかり受ける国々は、たまったものではありません。

次のG20サミット開催国・日本の温暖化対策にも厳しい指摘

Climate Transparencyの報告では、次のG20サミット開催国である日本の温暖化対策についても言及があります。

日本の2030年目標は、パリ協定の目標に沿わない不十分な水準であり、その低い目標ですら、国内で計画されている石炭火力発電所がすべて稼働すれば達成できなくなると指摘しています。

石炭火力発電所は最大のCO2排出源のひとつです(同じ発電量あたり、天然ガス火力発電の2倍ものCO2を排出します)。イギリス、カナダ、フランス、イタリア、ドイツなどは脱石炭をいつまでに実現するか、期限つきの政府目標を掲げています。日本政府にとって、脱石炭方針の決定と排出削減目標の引き上げは急務だといえるでしょう。日本が2030年までに脱石炭を実現するためのスケジュールも提言されています

ブエノスアイレスから大阪へ:脱炭素の政治的意思を示すとき

2018年のブエノスアイレス・サミット首脳宣言では、米国のパリ協定離脱決定に言及する一方で、「IPCC1.5℃特別報告に留意する」「COP24の成功を期待し、タラノア対話に参加する」「パリ協定が不可逆的であることを再確認し,その完全な実施にコミットする」と表明。控えめではありますが、脱炭素への政治的意思を示しました。アルゼンチン自身が排出削減目標を引き上げて再提出する準備を進めていることも議長国のリーダーシップとして心強かったといえます。

さて、ブエノスアイレス・サミットの閉幕後、安倍総理は「気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題を始めとする地球規模課題に貢献」すると表明し、G20大阪サミットでも気候変動を重要な議題のひとつに位置づける意向を示しました(軽井沢では地球環境・エネルギー大臣会合が開催されます)。

今年の大阪サミットも、パリ協定に前向きな国々と唯一後ろ向きな米国(「19+1」とも呼ばれます)の構図で開催されます。ブエノスアイレスとCOP24カトヴィツェ会議から前進し、行動強化のメッセージを発信しなければなりません。

とりわけ、2030年までの温室効果ガス排出削減目標の見直し・引き上げ、石炭への公的支援の取りやめ、化石燃料補助金の撤廃など、脱炭素に向けた政治的意思を示せるかどうかが鍵となるでしょう。

大阪とその周辺の自治体、企業、市民社会も、自然エネルギー100%宣言や、自然エネルギー中心の電力会社に切り替えるパワーシフトなどを通じて、野心的な宣言を後押しすることが望まれます。