気候危機の最前線:台風19号の災害復興ボランティアに参加して〜福島県郡山市〜

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こんにちは、京都事務所の防災士・広瀬です。

災害復興ボランティアの経験からの学び

防災士としての活動は2年目を迎えました。これまで災害復興ボランティアとして岡山県真備町で家財の搬出、大阪北部地震後の地域ニーズ調査などの経験をしてきました。

最初は、少しでも被災された方々のお役に立ちたいという思いが大半でしたが、現地に行くことで多くの学びがあることもわかって来ました。その学びを日々の活動に役立てることがいかに重要なのか考えるようになってきました。

今回、台風19号による豪雨によって被災地となった福島県郡山市に行き、災害復興ボランティアに参加してきました。この活動から学んできたことをここに記します。

福島県郡山市の被害実態

私がボランティア活動をしてきた福島県郡山市では、阿武隈川が氾濫し、死者6名、浸水被害 推定最大約 21,331 世帯、床上浸水 6,124 件、全壊 754 件という大きな被害情報が発表されています。

本当に大変な被害です。気候危機はすでに起きていて、私たちの生命や財産、生活を壊している現実を直視する必要があるのではないか、と感じます。被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

気候災害の復興ボランティアに参加

さて、今回、京都府社会福祉協議会が準備してくださった京都府災害復興ボランティアバスを利用し、41名のボランティアさんと共に1泊4日(車中2泊)活動してきました。

被災した住宅の泥出し作業をお手伝い

今回の活動では、1軒の家にまる2日かかってようやく泥出しが完了という結果でした。

床下に積もった泥は、田植えの泥と同じ粘りで、長靴の高さを超える50センチほどの深さでした。床板は外されていて、床の梁と梁の間に入っての作業はバランスを取るのも一苦労でした。作業を始める前に、泥の匂いが梁や柱に染み込まないよう、京都から運んできたブルーシートで丁寧に養生しました。さらに、掻き出したあとの土砂をすぐに持ち出しできるよう土嚢袋が大量に準備されていました。

写真:京都ボランティアセンター

復興が続いていくために、想像力を働かせる

住む人ができるだけ早く気持ちよく暮らせるようになるために、これまでのボランティア活動から引き継がれてきた細やかなノウハウを、ボランティアリーダーさんから教わりました。

今回私が参加した作業はあくまでも全体から見るとほんの一部。次の作業の人へバトンを渡す際に想像力を存分にはたらかせ、思いを伝えていくことも大切なことだと気づきました。

装備には意味がある

私たちボランティアが作業できる時間はたった2日間です。効率よく安全に作業を進めて行くためには、道具や装備をきっちりと整えることが重要です。

NPO法人レスキューストックヤード『水害ボランティア作業マニュアル』

どこから釘が出ているかわからないので、踏み抜き防止のソールを入れたながぐつ。手を保護するだけではなく、スコップで掻くときに水ぶくれを防ぐためにも革手袋。どこからものが落ちてくるかわからないためにヘルメット着用。さらに水害では特に感染症を防ぐための防塵マスク。目を保護するためのゴーグルも必要です。それ以外にも床下へ潜り込んでも視野が開けるためのヘッドライト、体に負担がかからないためにニーパッド。

大変な装備に見えるかもしれませんが、決して大げさではありません。万が一、怪我をしてしまったらその時点で活動はできなくなってしまうのです。

今回の作業ではこれらの装備を全て有効に使う事ができました。事前にボランティアセンターから準備物を教えて頂いていたことが怪我なく効率よく作業を進めることにつながりました。

土砂の入った土嚢袋は、本当に重い

私は農家の出身です。重いものを持つのは慣れているはずです。ところが、土嚢袋は、本当に本当に重いんです。

今回のような浸水の被害の場合、土砂は乾燥する前にできるだけ早く掻き出す必要があると言われています。乾燥してしまった泥は、コンクリートのようになり、ツルハシで砕いてかき出さなければならないため、作業が非常に困難になると言われています。

土砂は、水を含んでいるため、非常に重いのです。①スコップですくう→②手箕で運搬する→③土嚢袋に入れるという作業を繰り返していると、途中で挫けそうになるほどでした。

土嚢袋に入れた泥は、約15kg~20kg程度でしょうか。それを一つ一つ積み上げて、作業終了後には、見上げるくらいの高さになっていました。作業1日目の夜、私は全身に湿布を貼り2日目に備えました。

写真:京都府災害ボランティアセンター

2日目に入ると、チーム力で作業が捗る!

大変な泥掻きでしたが、ボランティア活動が2日目に入るとチーム力が増してきて、効率がさらにUPしました。

角材を梁に渡すことで、アナログコンベアのようなものが登場しました。角材2本の上に泥を入れた手箕を置いて滑らしていくことで、作業スピードが上がったのです。やはり人間は学習していくんだなと感動しました。そのことで、みんなのやる気が更に向上し、あっという間にいちばん底のコンクリート迄たどり着きました。

手づくりの雑巾に元気づけられる

今回の作業の立役者のひとつは、特別な「雑巾」です。

この雑巾は、ただの雑巾ではありません。今回、京都のとある高齢者施設からのご寄付でいただいた特別なものです。手縫いの雑巾500枚は、とても使いやすく、思いがこもった雑巾でした。

この雑巾に元気づけられ、丁寧な作業に繋がりました。このような支援の仕方があるのだと、コーディネートしてくださったボランティアセンターのスタッフさんに学ばせていただきました。ついに、泥の塊は1つもなくなり、泥だらけになった養生ブルーシートもピカピカに拭き上げる事ができました。

雑巾で拭き上げた床下
写真:京都府災害ボランティアセンターより

 

 

住人の方から感謝の言葉をいただくも、復旧は遠く…自然の脅威を思い知る

2日目の作業が終わりの時間を迎える頃、2日間ずっと一緒に作業を見守り、泥掻きをしてくださっていた住人の方から感謝の言葉をいただきました。最後の方は少し涙ぐまれていて、「もとの生活に戻れるまではまだまだ道のりがあるけれど、一歩前に進めました」という言葉に私も胸がいっぱいになりました。

しかし、この被害を引き起こしたのは、たった一晩の豪雨です。41人がかりで丸2日間の作業をもってしても、1軒のお家の完全な復旧にはまだまだ程遠く、自然の脅威を思い知ることとなりました。

ままどおるに込められた思い

京都に帰るボランティアバスの中で、家主の方からお手伝いの御礼にと、福島県郡山市の銘菓「ままどおる』というお菓子をいただきました。

「技術の前に良質な原料あり」という創業者の思いが詰まっているお菓子です。1967年から発売されたこのお菓子が、今日まで愛され続けている理由は、質のいい大豆と卵と小麦を絶妙なバランスで作られているからだそうですが、その良さは食べてみてすぐにわかります。このお菓子に込められたメッセージを、私なりに噛み締めてみました。

撮影:広瀬

どれほど災害に備えていても、このまま地球温暖化が進めば、将来にはもっと大きな災害が発生すると考えられています。被災地からのメッセージをしっかりと受け止め、より多くの人々が、科学的根拠に基づいた情報を正しく理解し、対策やCO2削減を進めていくことが持続可能な社会を築くのだと感じています。

そんなことを考えながらままどおるを味わいました。

応援してくれた仲間に感謝

今回、ボランティア活動に参加する私に、気候ネットワーク京都事務所の仲間から応援をいただきました。気候ネットワーク21周年を記念して作った手ぬぐいに励ましのメッセージを書いて持たせてくれました。途中苦しい時も休憩の合間にその言葉をみて励まされました。私の宝物となりました。

メッセージ付きの手拭い 撮影:広瀬

もうすぐ師走です。被災地のみなさまのことを考えると、長期的な復興支援が必要です。復興状況や季節の変化にあわせて変わっていくニーズに、何かお手伝いができることがあるかも知れません。同時に、台風被害をますます悪化させる地球温暖化を止めることが必要でしょう。

そんなことを日々考えながら、防災士として活動を継続していきます。

今でも災害復興ボランティア募集中

11月末現在、福島県、長野県、栃木県などではまだまだ屋内の掃除・家財搬出・泥だしのニーズがあるようです。

お手伝いできる方は、次のページをチェックして、ぜひ復興ボランティアに参加してみてください(各地のボランティアセンターでは、被災地のニーズ調査に基づいて作業が行えるようコーディネートしてくださいます。本当に大切な役割だと感じます。)。

台風15号、19号、10月25日からの大雨災害ボランティア募集状況(全国社会福祉協議会 地域福祉部/全国ボランティア・市民活動振興センターのウェブサイト)