京都事務所の深水です。
2020年6月からスタートした連続オンラインセミナー「2030年の私のために、今できること」を担当しています。このセミナーでは脱炭素社会の実現に向けて、「電気」「食」「防災」など暮らしに身近なテーマから、すぐにできるアクションを提案しています。

第5回は「自分の住む街のエコを知ろう!」をテーマにお届けしました。アメリカ人のロビンさんとイギリス人と日本人のハーフのルークさん、一般市民の立場から二人が手掛けた「京都エコマップ」にはどのような思いがこめられているのでしょうか。二人にお話をうかがいました。

京都エコマップに込められた思い

ロビン・ラウナーさん  アメリカ出身。日本の大学に在学中に京都エコマップを立ち上げる。「サステナブルな生活フォーラム」共同開催。

ロビンさん:より環境に優しい生活を送るためのツールとして始めました。エコマップを使うことにより、利用する人たちが環境にやさしいお店をみつけるのが楽になることを目指しています。買い物のときは、いちばん環境にやさしい商品を選択すると、そのビジネスや取組を支えることができます。みんながそうすると、企業や会社が変わることができると思います。消費者の影響力には可能性が十分あります。

ルーク・藤井さん 京都生まれ。イギリスと日本にルーツを持つ。高校、大学とイギリスで過ごす。京都エコマップ発起人。

ルークさん:以前、僕たちは環境活動に関わることがない一般市民でした。しかし京都では環境にやさしいお店を紹介しているものがないことに気づき、それなら自分達でエコなお店を紹介するツールやウェブサイトを作ればいいのではと思いつきました。それが京都エコマップにつながりました。

 

京都エコマップは4つのR (リデュース:排出抑制, リユース:再利用、リサイクル:再資源化、リペア:修理)に基づいて作られています。プラスチックをあまり利用していないお店、リサイクルショップ、ヴィーガンレストラン、八百屋さんが多いので商店街も載っています。

エコなお店はどうやって見つけているんですか?

ルークさん:実は、僕らの探し方は偶然が多くて、エコマップに載っているお店の半分は自転車で走りながら見つけたものです。毎日違うルートを通ると、発見が多いです。
ロビンさん:例えば、エコマップで紹介している京町家の量り売りのお店では、自分が持参した容器に商品を入れてくれます。食器洗い用石けんも持参した瓶に入れて販売してくれるんですよ。オーガニックのお店では地元産の米や野菜が購入できます。精進料理店では、自分の弁当箱に店員さんが料理を入れてくれます。

京都エコマップを始めたきっかけは?

ロビンさん:ずっと何か行動はしたいと思っていました。だけど他の人のほうが話すのもうまいし影響力があると思っていたので何もしていませんでした。しかし、その考え方自体が環境運動を引き止めていることに気づきました。実は皆の努力は必要不可欠で、完璧であることは大事ではなく、試みが大事だということに気づきました。それからFridays For Future(未来のための金曜日)やサスティナブルに関するボランティア団体に入り活動を始めました。そうすると興味深い活動をしている人たちと出会え、その人たちからインスピレーションを受け、自分に自信をつけることができました。
ルークさん:自分たちの生活にフラストレーションを感じていました。海外のスーパーではプラスチックの使用は少ないけれど、日本のスーパーでは野菜が全部プラスチック容器に入っています。先進国の人として重い責任を感じていました。環境問題への責任感から、環境問題のエキスパートではない私たちに何ができるのか考えた結果、その答えが京都エコマップでした。

もったいない・・・について

ルークさん:日本の「もったいない」という言葉は素晴らしいと思います。お米を一粒も残さないというのは環境問題と一致していると思います。しかし現状では日本のプラスチック使用量はアメリカに次いで世界で2番目に多く、そのほとんどはシングルユースです。80年代のバブル時代から大量に使われ始めたプラスチックは、日本の大きな問題です。
ロビンさん:買い物をする時、プラスチックを避けるためには少しの工夫が必要だと思います。私はどのスーパーが何を脱プラしているかを頭の中にメモをして、買う物によってプラスチックを一番使用していない店を選んでいます。また出かける前には、何を買う、何をするなど考えて持ち物やタンブラーやマイボトルを用意するようにしています。パン屋さんには自分のタッパーを持って行き、それにパンを入れてもらっています。最初は少し恥ずかしかったけれど、店員さんも慣れて、今では当たり前のことになりました。スーパーでは、お客様の声のフォームがあるので、プラスチックをへらしてほしいというメッセージを書くようにしています。そいうメッセージを書くと、企業は消費者の考え方を聞いてくれます。

なぜお肉や魚をさけるべきかを友人にも伝えたいが、どう伝えたらいいでしょうか?

ロビンさん:おいしいベジタリアンのお店があるから一緒に行ってみようという紹介のしかたもありますよ。
ルークさん:牛を育てるのには水をたくさん使い、土地もすごく必要です。家畜の業界は森林伐採を進める原因になっています。僕たちは肉や魚を食べることをなるべく減らすようにしています。

環境に良いクリスマスプレゼントは?

ロビンさん:ものをあげるのではなくて、体験のほうがいいのではないでしょうか。

活躍したい人へのアドバイス

ロビンさん:興味のある事や得意な事など、自分の強みを考えてみてください。団体に入るのもいいと思います。他の人のアイデアからインスピレーションを受けたりモーチベーションが上がったり、自分ができることに気付くことにもつながります。SNSはよいツールです。環境団体をフォローすると情報やインスピレーションを得られます。
ルークさん:仲間をみつけましょう。仲間は大事。環境活動は一人ではさみしいけれど、友達と一緒にやると楽しいですよ。週に1回はヴィーガンの食事にしようとか、脱プラ生活をしてみるとか、仲間と一緒にすれば楽しくできますよ。一度に全部を変えるのではなく、週1回からぜひ試してみてください。小さな一歩でもみんながやればいい影響になります。みんなの努力で、みんなの少しずつで、良い方向や解決できる方法に向かっていくのではないでしょうか。

エコマップの今後の展開について

ルークさん:ブログを始めたいと思います。楽しい、かっこいい、参加しやすいが大事と考えています。若者が関心を持つことも大事なので、安心安全が戻ったら若者が交流する場を企画したいと思います。エコマップに載せていないお店が多いと思うので、みなさんの近所にエコなお店があればインスタグラムのDMでメッセージを送ってください。それと、みんなの住んでいる街のエコマップも作って欲しいです。

京都エコマップホームページ
https://www.kyotoecomap.org/

終わりに
  「先進国に住む人とし、環境への責任を感じている」そんな気持ちが原動力となり二人が立ち上げた京都エコマップ、今では表示回数が1万回を超えるまでに。一般市民の立場から二人が始めた「小さな一歩」は、多くの人の行動変容につながりました。ロビンさんとルークさんは環境に配慮した生活を楽しみながらも自然体で、満ち足りていらっしゃるご様子でした。二人のライフスタイルがエコマップを通じてこれからも波及していくことでしょう。