コロナ禍の時代、気候災害と地震に備える

この夏の災害対策を見直そう

こんにちは、防災士の広瀬です。

先日、関東で2夜連続地震が起きました。千葉県を震源地として「緊急地震速報」が発表され、強い揺れに警戒が呼びかけられました。コロナ禍の中でどの様な避難ができるのか、考えるきっかけになった人も多かったのではないでしょうか。

地震だけではなく、夏に向けて、風水害に備える災害対策に、感染症予防を加えることが必要です。

豪雨、台風、熱波、地震にコロナ禍;複合災害が多発している

近年では気候変動による豪雨災害が毎年発生しています。日本を襲う南海トラフを始めとした巨大地震も秒読みと見られる中、双方が同時に発生する可能性も考えられます。

例えば、最近の2年間の自然災害を振り返ってみましょう。

2018年7月23日埼玉、熊谷で史上最高気温41.1℃を記録

▼2018年の自然災害(地震、豪雨、台風、猛暑を抜粋)

地震6月 大阪北部地震 最大震度6弱
豪雨7月 西日本豪雨 死者200人以上
猛暑7月 東京都青梅市や埼玉県熊谷市などで40度超を観測
地震9月 北海道胆振地方中東部の地震 最大震度7
台風9月 台風21号関空浸水 被害総額約685億4,839万円
台風9月 台風24号和歌山上陸 被害総額約108億2,529万円

2018年9月関西空港の連絡橋に台風21号の暴風により流されたタンカーが衝突した。写真:国土交通省近畿地方整備局

 

▼2019年の自然災害(地震、豪雨、台風、猛暑、渇水を抜粋)

地震1月 熊本地震 最大震度6弱
地震2月 北海道胆振地方中東部の地震活動 最大震度6弱 
猛暑5月 北海道佐呂間で39.5℃を記録
地震5月 千葉県北東部の地震活動 最大震度5弱
地震6月 新潟・山形地震 新潟で震度6強 山形震度6弱
渇水6月 記録的に遅い梅雨入り
大雨7月 長崎県・鹿児島県・熊本県 大雨による激甚災害 
猛暑8月 新潟・石川・山形などで40℃以上を記録      台風8月 台風10号 広島県に観測史上3度目の上陸 激甚災害
豪雨8月 九州北部大雨
台風9月 台風15号 首都圏縦断
台風10月  台風19号 13都県に特別警報            台風10月  台風20号、21号 100以上の河川で氾濫や決壊が発生 

積乱雲が見えたら大気が不安定になっているサイン。雷・雹・竜巻・短時間集中豪雨など天気が急変することを想定して安全な場所にすぐ避難を

【もしもに備える】その1:あなたの保険は大丈夫?

地震で受けた小さなダメージが、風水害によって大きな被害になるケースがあります。

私は2018年5月に発災した大阪北部地震の災害復興ボランティアに参加し、地域ニーズ調査に協力しました。260軒ほどのお宅を訪問したところ、多くの家屋で地震の衝撃で壁や屋根には気づかないほどの小さなひび割れがあり、その後の豪雨によって雨漏りや浸水などが発生し、大きなダメージがあったことが分かりました。

感染症対策で自宅を拠点にテレワークをする人が増加した中で被災後の生活や健康を守るためにも、被害想定や家の構造、家族の状況などを考えた個々に適した地震保険の確認や見直しが大切です。

2018年大阪北部地震の被害 左の家屋の壁面にひび割れが見られる

【もしもに備える】その2:日常の備えに加えて衛生用品の用意を

2018年9月関西空港が浸水した台風21号や、2019年に千葉県で被害をもたらした台風10号などは建物の損壊や交通の遮断にとどまらず、断水や大規模停電など不便な生活が長期間続くことになりました。今後はこのような事態にも感染症予防を取り入れて適応してかなければなりません。

特に災害時に備える衛生用品の重要性は、今回のコロナ禍で供給が滞ってしまったことでも皆さん痛感されていることと思います。日常の備えは感染症予防にもつながる大切なことです。これまでの備えに加え、マスク、消毒液、体温計を確認しておきましょう。

家にあった夏用インナー(肌着)のTシャツをリメイク。ゴムは使用済みのマスクから外して殺菌して再利用。 サラサラひんやりした肌触りです。(写真:広瀬)

【もしもに備える】その3:避難の方法を再確認

コロナウイルス感染症が、人々の脅威となっている理由の一つに、感染力の強さがあります。現在多くの避難所は、地域の体育館や集会所などが設定されていて、3密(密集・密接・密閉)の条件に当てはまる場合がほとんどです。クラスター対策として、いくつかのブロックに分け、広めの通路を作り、人と人との間隔を2メートル以上とって過ごすように考えられています。政府は、自治体に避難所の設営工夫や増設のほか、ホテル・旅館の活用、親戚や友人宅へ避難する「分散避難」を呼びかけるよう求めています。また、災害の種類によって避難方法を変える「マルチ避難」なども考えられています。

しかし、すぐに新しい備えを整えるのは困難でしょう。「避難」とは、難を避けることです。今は自分の身を守るためにどんな避難方法があるのか確認し、ハザードマップをもとに地域の特性をよく理解した上で個々に当てはめて備えておくことが大切です。

参考:新型コロナウイルス避難生活お役立ちサポートブック

3密を避ける「分散型避難」とは

河川の近くや土砂災害が発生しやすい場所に家がある場合は、早めに別の安全な場所へ避難しなければなりません。避難先で家族間の行き来を減らすためにも家族単位で避難できるホテルや旅館、民間企業などの会議室等区切りのあるスペースを利用することが有効だと考えられています。つまり、一つの場所に大人数が集まる避難ではなく、たくさんの場所に少人数に分かれて避難する「分散型避難」です。

そのためには地域と企業などが協定を結び、発災時に近隣施設を利用できるようにしておくことが必要です。住民が分散して避難するためにも、人口の多い地域では密集を防ぐために、自宅や、車中、更には知人や親戚宅に避難するのも選択肢の一つとしてあるようです。

〈自宅避難〉

鉄筋コンクリートのマンションなどでは低層階以外は、浸水を免れる場合が殆どです。地震の場合は、建物の安全確認が必要ですが、水害などの場合は、ハザードマップをもとに「3階以上は安全」などの想定をしておくことで、自宅での避難が可能です。自宅が高層階にある場合は、エレベーターが停止していることを想定すると、水などの救援物資を運ぶのは重労働です。家庭ごとに最低でも2週間生活できる備蓄をおすすめします。

〈車中避難〉

過去の災害から、車中避難は、エコノミークラス症候群の発症が心配されていますが、十分に水分をとること、正しい理解のもと定期的に体を動かすことで、分散型避難に有効な選択肢の一つとして考えられています。

 

【もしもに備える】その4:省エネ・節水のエコライフ

今のところ、感染症COVID-19を完全に消滅させることはできないと考えられています。避難時に感染症と共存していくためには、クラスターが起こってもそれを収束できる能力を全体で向上しておくことが大切です。

そのためにも分散型避難でクラスターを小さく切り分けておき、マスク、手洗い、うがいのようなシンプルな予防を全員が正しく理解しておくことが大切です。

さらに、災害時に限られた水、電気を有効に使えるよう、普段から無駄のない水やエネルギーの使い方に慣れておくのもいいでしょう。この機会に避難時にも役立つエコライフを話し合い、家庭で実践してみてはいかがでしょう。

こどもたちの未来と大切な命を守るために

風水害の被害が年々甚大になってきている背景には、地球温暖化があります。これに新型コロナウイルス感染症の脅威が加わり、台風シーズンを前に不安は募るばかりです。

今のままでは幸せな子どもの未来を約束することはできません。それどころか、目の前に迫る災害から自分自身の身を守ることすら困難になってきています。この危機に対して、我々は自分の命を自分で守り(自助)、助かった人が周りの人を救う(共助)を本気で実践しようとしています。

ところが、大量に化石燃料を燃やして気候災害の根本原因に目を向けない日本の政治からは、本気で国民を守ろうとしているとは感じることができません。

パリ協定がスタートし、世界は化石燃料から再生可能エネルギーへ転換しようとしています。日本でも、コロナ禍や経済問題で苦しむ人々や、自粛を強いられている若者たちを救うための支援はもちろん、深刻化する気候危機を防ぐために政策を転換し、希望が一刻も早く示されることを心より願っています。