気候ネットワークでは、脱炭素社会の実現に向けて効果的にアクションをしてみたいという方を対象に、「気候アクションワークショップ」を開催しました。本ワークショップは、参加者同士でつながり、意見を深め合い、自分のアクションには何が必要かを探り、行動につなげることを目的としています。

※ワークショップは全3回として計画しました。第1回、第2回に関する報告はこちらをご覧ください。

気候アクションを参加者からプレゼン

第3回目は、3名の参加者の方から、これから取り組みたい/実際に取り組んでいるアクションを紹介頂きました。以下は皆さんの発表の内容です。どの方の発表もとても面白く、スタッフも含め刺激になったことと思います。

  • 都市圏以外の地域社会で、地域循環共生圏モデル事業ができないか検討中。エネルギーの地産地消・街の活性化・モビリティのシステム再構築というテーマを考えている。
  • 地域で気候アクションに取り組む個人や家庭を増やしたい。小中高生向け出前授業やイベントの開催、サイクリング・ウォーキング、EV試乗、首長や議員との交流など。
  • これならできる!という情報発信の方法をシェア。今後は銀行や衣料品などお店の人に環境に関する質問をしたり、友達を環境に関するイベントに誘ったりしてみたい。

身近な人へのアプローチや地域社会のビジョン構築まで、視点を変えることで多様なアイディアが得られることを感じました。自分の興味のある分野で取り組むことが、楽しくアクションを持続させるためにはとても重要です。気候変動は非常に大きな問題ですが、それでも個人ができることは(マイバックやマイボトル等のコツコツ努力以外にも!)沢山あると、改めて思いました。

参加者の発見を交換

その後の意見交換の場では、3名の発表を受けて、他の方にもそれぞれが取っているアクションや悩み事などを共有頂きました。中には参加者同士で励まし合い、アドバイスをするような場面も見られました。

  • 地域で活動しているが、若い人や新しい人と知り合うことが難しい。
  • 若い人と知り合うには、SNSの選択が重要。地域レベルであればSNSではなく、ハブになるような若い人と直接知り合うことが近道。地道に色々な人と交流してみては。
  • 地元で温暖化計画策定に関わっているが、発表を聞いて情報発信もやっていきたいと思った。
  • 一大決心して市議会議員と知り合いになり、街づくりに関する市民講座で気候変動に関する話題提供をした。
  • 気温が何℃上がる、というのがわかりにくい。どう伝えていくかが課題。
  • 気候変動について周囲の人に話したが反応があまりなく、燃え尽き症候群になってしまった。今はコンポストや畑づくり、自転車に乗るなど自分の生活スタイルを変えることを試みている。このような具体的なことを周りに紹介出来たらと思う。
  • 無理のない範囲でアクションするのが大事!
  • あきらめないで自分から色々なところにアプローチすること。それがエネルギーになる。
  • 地元では気候変動の影響によるコメの品質悪化を新品種の開発で解決しようとしているが、それでは根本的な解決にならない。気候変動緩和の大切さを共通の認識にしたい。

ワークショップの最後には、今後さらなるアクションをしてみたい方向けに、有用な情報源やボランティア窓口を紹介しました。参加者の中には、既にこの情報をもとに繋がりを作っている方もいるようで、大変心強く思います。

本ブログの最後に例を挙げますので、どんなアクションがとれそうか一緒に考えてみませんか?

今回の第一弾気候アクションワークショップを終え、スタッフも情報の伝え方やワークショップの在り方についての様々な発見がありました。この経験を生かして、ワークショップ第二弾実現に繋げていきたいと考えています。お楽しみに!

【一人でもできるアクション】

パワーシフト

 家庭や職場の電力契約を、再生可能エネルギーを使い、自然環境や地域社会やさしい電力を作る電力会社に切り替えるパワーシフト。簡単な手続きで、家庭から排出されるCO2を大幅に削減できます。パワーシフトの方法や、おすすめの電力会社を紹介しています。「市民アンバサダー講座」では気候変動の基礎知識や対策方法を学ぶこともできます。
お金の流れをサステナブルにする

 世界の石炭火力発電開発企業に対し融資を行った世界の金融機関のうち、日本の3メガバンクがトップ3を占めています。私たちが金融機関に預けたお金も、気候変動を加速させる事業への投融資に回されている可能性が。化石燃料にも原発にも投融資していない「クールバンク」に口座を切り替えることで、お金の流れから社会を変えることができます。
家の断熱

 東北芸術工科大学の竹内昌義先生のブログ。日本の家の断熱対策が諸外国と比べ非常に遅れていることや、各家庭で工夫できる対策などを紹介しています。

【気候変動や効果的なアクションについて学ぶ】

クライメート・レジスタンス・ハンドブッ

 気候変動解決のための運動の作り方についてのハンドブック。350 Japanのウェブサイトから無料で注文可能。
気候アクションガイド

 気候変動を止めるために自分も何かしたい!」と思っている方々に向け、効果的なアクション(行動)や、アクションの際に大切にしてほしい姿勢を具体的に紹介する小冊子。
気候変動基礎クラス
 
 気候変動の基礎や解決方法を仲間と共に学ぶ初心者向けのオンラインセミナー。YouTube版を1人で視聴することも可能。何度か受講して学びを深めることで、自分が講師になることもできます。
環境学者の江守正多さんのTED Talk 
株式会社E-konzal(イー・コンザル) 全国の自治体のエネルギー消費量とCO2排出量のデータベースを作成・公開しています。
Japan Beyond Coal(JBC)
 
 2030年までに石炭火力発電所ゼロを目指すキャンペーン。ウェブサイトやSNSで、気候変動対策に不可欠な脱石炭についての国内外の取組や課題を発信している。ウェブサイトでは石炭の問題点を知るためのファクトシートや動画も公開。日本各地の石炭火力発電所の状況や脱石炭アクションについても知ることができる。

【仲間と共に取り組む】

コミュニティ・オーガナイジング
 
 人々と関係を作り、行動を起こすためのリーダーシップを学ぶ講座。
ゼロエミッションを実現する会
 
 自分が住む自治体からゼロエミッション(温室効果ガス排出実質ゼロ)を実現していく目的でつくられた市民グループ。全国の参加者が、自分の住む自治体の行政にアプローチし、協力しながらゼロエミッションを目指して活動中。FacebookやSlackに自治体ごとのコミュニティがあり、登録すると同じ自治体で活動に取組む方々との情報交換や仲間づくりができます。毎週土曜日の午前には、オンラインで新規参加者へのオリエンテーションや、自治体ごとの相談会も実施中。
350jp

 気候変動に取り組む日本全国の市民運動をサポートする環境NGOのウェブサイト。気候変動を止めるための効果的なアクションについて情報発信しています。クルー(ボランティア)には、幅広い年齢、職業の方々が登録し、様々な気候アクションに取り組んでいます。
気候ネットワークボランティア
クライメート・リアリティ・プロジェクト(CRP) ノーベル賞受賞者である元米国副大統領アル・ゴア氏が創設し、会長を務める世界的なイニシアチブ。気候変動とその解決策に対する人々の意識を高め、正しい情報を伝えるボランティアのクライメート・リアリティ・リーダーを養成し、力を結集させるための活動をしています。必要なスキルやキャンペーンの場、資料を提供し、気候変動への関心の強化と気候対策の促進に積極的に取り組んでいます。
石炭火力を考える東京湾の会

 東京湾岸で建設計画が進んだ市原、千葉、袖ケ浦、横須賀の4か所で、地域住民や団体とともに石炭火力建設計画に反対するネットワーク組織。市原、千葉、袖ケ浦では石炭を燃料とする計画は中止となったが、現在、横須賀の計画が唯一残り、1号機2023年、2号機2024年からの稼働が予定されており、稼働すれば年間726万トンものCO2が排出されることから、事業者、国、自治体などに対して建設を止めるよう働きかけている。