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COP24カトヴィツェ会議の注目点

12月2日から14日にかけて、ポーランドのカトヴィツェで国連気候変動会議(COP24・CMP14・CMA1.3等)が開催されます。

注目しているポイントを3つに分けてまとめました。

1)タラノア閣僚級セッション開催!
気候災害の危機や最新の科学的知見を受け止め、目標引き上げにコミットできるか?

2018年は、世界各地で深刻な気候関連災害が発生しました。今年10月に国連国際防災戦略事務局(UNISDR)がまとめた報告によれば、世界の気候関連災害による経済損失は増大しています(下図)。

産業革命前からの地球平均気温上昇が約1℃という現在でもこの被害額です(世界各国が掲げる現行の温室効果ガス排出削減目標が全て達成されたとしても「約3℃上昇」という予測があります)。

また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今年10月に発表した特別報告では、1.5℃目標は達成可能だが、そのためには大幅な対策強化が必要とされています。

このような気候危機の現実や最新の科学的知見をどう受け止めるかが決定的に重要です。「気候変動は大変だ」と繰り返すだけでは不十分です。

COP24で開催されるタラノア対話閣僚級セッションにおいて日本を含む主要国が温室効果ガス排出削減目標を見直し、強化して2019年に国連に再提出することをコミットすること(すでにフィジーやマーシャル諸島は、目標引き上げ・再提出の意思を公に示しています)が求められますし、国際社会の総意としてCOP合意にてその政治的意思を示すことが望まれます。

 

2)COP24が合意期限!パリ協定の詳細な実施指針に合意できるか?

COP24は、パリ協定を実施していくにあたって必要となる詳細なルールブックの合意期限です。国別貢献(排出削減目標等)、協力的アプローチ(市場メカニズム等)、適応に係る報告、透明性、5年に1度の進捗確認であるグローバル・ストックテイク等、非常に膨大な論点を含む包括的なパッケージ合意がめざされています。

今年9月に行われたバンコク会合の結果、共同議長らがテキストの提案を含む新たな非公式文書を用意することになり、会議に先立って公開されています(https://unfccc.int/node/28798)。

交渉の現状がまとめられ、案文も以前の文書に比べると読みやすくなりましたが、各項目や文言が仮のものであることを示す選択肢や括弧が多数残され、作業の進み具合は論点毎にまちまちです。残された作業は依然膨大であり、COP24の成否は予断できません。

カトヴィツェ会議では、議長国ポーランドの采配のもと、 公平で実効性あるルールブック合意に向けて、大胆かつ繊細な政治的妥協が求められます。日本も、排出削減目標の引き上げ、気候資金の拠出、2020年までの対策強化 といった難題への準備が必要です。

3)非国家アクターの脱炭素のイニシアティブは国の目標引き上げを後押しできるか?

現在、パリ協定の締約国数は184か国・地域。1.5℃目標の達成に第一義的に責任を持っているのは各国政府ですが、その対策は不十分であり、非国家アクターによるイニシアティブが広がっています。

自然エネルギー100%宣言を掲げる自治体、ビジネス等も増えていますし(RE100go100re)、石炭火力発電ゼロをめざす国・自治体・企業の連合「脱石炭をめざすグローバル連合(PPCA)」には、韓国でも有数の石炭火力発電所密集地域である忠清南道政府が、10月初旬に新たに参加。

日本でも非国家主体による気候変動イニシアティブ(JCI)が立ち上がっています。

COP24でも、非国家アクターによるイニシアティブがさらに発表され、気候アクションの気運を盛り上げ、政府による対策強化を促すでしょう。そこで日本の非国家アクターがいかに存在感を発揮できるかも注目されます。

(気候ネットワーク通信123号掲載記事を加筆修正)

自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本

京都事務所の伊与田です。

2018年6月にパシフィコ横浜で開催された太陽光発電の展示市「PV Japan 2018」にて、セミナー「自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本」が行われました。

このセミナーでは、環境エネルギー政策研究所(ISEP)自然エネルギー100%プラットフォームの古屋将太さんが「自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本」と題して講演。その後、質疑応答が行われました。太陽光ビジネスの関係者が多いPV Japanとあって、立ち見も出るほどの盛況でした。この記事では、そのセミナーの様子を紹介します。

当日発表資料(PDF)

パリ協定の合意と自然エネルギーの急拡大

2015年12月、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、気候変動に関するパリ協定という国際条約が合意されました。もともと、COP21での合意は難しいとの声もありましたが、実際には実現したのです。その原動力のひとつが自然エネルギー100%でした。

気候変動枠組条約事務局長(当時)のクリスティアナ・フィゲレスさんに「自然エネルギー100%に賛成しますか?」と尋ねたところ、彼女は「賛成する」と答えています。

Photo: Global 100% RE

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告によると、近年、再生可能エネルギーのコストが急激に低下しています。固定価格買取制度などの支援政策によって急速に自然エネルギーの普及が進み、普及が進むことでコストが下がり、コストが下がることでさらに普及が進むというサイクルがまわりはじめたためです。

例えば、太陽光発電のコストは、2010年から2017年にかけて、73%も価格が低減しています。風力発電や蓄電池などでもこのようなコスト低減の傾向が進んでいます。

出典:IRENA(2018)Renewable Power Generation Cost in 2017

自然エネルギー100%を後押しするマルチステークホルダーキャンペーン

このような動きを作り出すために活動してきた団体がたくさんあります。そのひとつが、2014年にISEPなどが始めたグローバル自然エネルギー100%キャンペーン(Global 100% RE)です。具体的には、自然エネルギー100%に関する会議を開催したり、政策決定者に情報提供したり、自治体による100%の実現可能性の検討などを行いました。ニューヨークで行われた大規模な街頭のマーチやデモでも、自然エネルギー100%のロゴを掲げて、自然エネルギー100%をめざそうという声をあげました。先ほど紹介したフィゲレス条約事務局長など、さまざまな著名人も賛同しています。日本では、菅直人元総理も、自然エネルギー100%に賛同しています。

世界で広がる「自然エネルギー100%目標」

世界では、国として、都市として、自然エネルギー100%を次々と掲げるようになってきています。デンマークのコペンハーゲン市やスウェーデンのマルメ市、ドイツのミュンヒェン市、カナダのバンクーバー市、米国のハワイ州、オーストラリアのシドニー市などです。各国の首都のような大きな都市でも、自然エネルギー100%宣言をするところが増えています。中には、電力だけでなく、熱、輸送のすべてを自然エネルギ100%にする目標を掲げているところもでてきています。

デンマークがめざす脱化石燃料と自然エネルギー100%

デンマークでは、超党派で、2050年までに国として脱化石燃料=自然エネルギー100%への転換をめざすことが合意されています。2020年までに電力の50%を風力発電で賄うという目標を持っていますが、すでに2017年は約44%になっています。方向性を国がはっきり出すことで、さまざまなセクターがリスクをとって、自然エネルギー導入に取り組みやすくなることを表しています。デンマークの首都のコペンハーゲンでは、2025年までに、つまり国よりも早く、電力、熱、輸送を自然エネルギー100%で賄うという目標を持っています。自転車で移動しやすいまちづくりなど、都市計画と100%自然エネルギーの取り組みを上手く統合しています。

カナダやスペインでも自然エネルギー100%

カナダのバンクーバー市も、2050年までに電力・熱・輸送を自然エネルギー100%で賄う目標を持っています。バンクーバー市の100%に向けた取り組みの動機のひとつとして、気候変動への対応があげられます。海に面したバンクーバーの地理条件のもとでは、海面上昇はもちろん、極端な気象変化など、市民が気候変動の影響を直接受けるリスクがあることを認識した上で、都市自らがエネルギー問題に取り組むという姿勢があります。バンクーバー市は、自然エネルギー100%の目標を設定した上で、実現に向けたアクション・プランも策定しています。

スペインのバルセロナ市は、ソーラー・オブリゲーション(太陽エネルギーの導入義務づけ)などの政策で知られていました。最近、都市の新しいエネルギーモデルとして、「エネルギー主権(Energy Sovereign)」というコンセプトから、公共と市民もエネルギー生産の担い手になろうという発想も取り入れています。まさに、消費者(コンシューマー)×生産者(プロデューサー)=プロシューマー(消費しながら生産する人々)です。自治体新電力としてBarcelona Energiaという事業体を設立したり、太陽光発電の自家消費を増やすためのインセンティブを委員会で検討しています。

グローバルなビジネスのイニシアティブ「RE100」

CAN-Japanを中心に展開している「自然エネルギー100%プラットフォーム」とは別に、RE100というイニシアティブも展開されています。グローバルな、影響力のある大企業が、再エネ100%に舵を切っているのです。日本では、リコー、積水ハウス、アスクル、ダイワハウス、ワタミ、イオン、城南信用金庫が参加。それに加えて、日本の外務省、環境省もRE100参加の意思を表明しています。数年前は、日本で再エネ100%と言うと夢物語のように受け止められていましたが、日本でも多くの企業が検討をするまでになってきているのです。

自然エネルギー100%プラットフォームも宣言・賛同募集中

自然エネルギーは本質的に「エネルギーデモクラシー(エネルギー民主主義)」という考えに沿うものなので、できるだけ幅広い分野から多くの人たちが参加して進めていくことが大事です。そういったことから、日本でもマルチステークホルダーで自然エネルギー100%を推進するため、グローバルに展開している「自然エネルギー100%プラットフォーム」の日本版を2017年から展開しはじめました。

中心的な活動として、自治体、企業、NGO、教育機関等の団体による自然エネルギー100%宣言の登録を受け付け、マップ上で公表しています。2018年6月時点で、プラットフォームでは、中小企業、自治体、大学など、9主体の宣言があります。特に、千葉商科大学は、学長の原科幸彦先生が学長プロジェクトとしてリーダーシップを発揮され、国内の大学としてはじめて自然エネルギー100%宣言を打ち出されました。

企業、自治体、大学に限らず、ぜひ幅広く多様な主体が100%宣言に向けて検討をはじめてもらえればと思います。また、具体的な進め方については、自然エネルギー財団が「自然エネルギーの電力を増やす企業・自治体向け電力調達ガイドブック」を発表している他、グリーン購入ネットワークも「エコ電力特集」で紹介していますので、参考にして下さい。

今すぐ100%にはできないかもしれないけど、長い目で見て、自然エネルギー100%をめざそうという主体を増やしていきたいと考えています。

どうやってめざす? 自然エネルギー100%

古屋さんのプレゼンテーションを受けて、フロアから「どんな方法で自然エネルギー100%をめざすのが実効的ですか?」との質問があがりました。

古屋さんは、「まずは、自然エネルギー比率の高い電力会社を選ぶことが効果的です。また、電力分野での自然エネルギー100%をめざす場合は、グリーン電力証書を購入するという方法もあります。もし『自然エネルギー100%宣言に興味があるが、どのように取り組めばいいかわからない』と悩んでいるということであれば、まずは自然エネルギー100%プラットフォームのウェブサイトから、ご相談下さい。」と答えていました。

日本でも自然エネルギー100%のうねりをつくっていくため、ぜひ自然エネルギー100%宣言・賛同を!また、自然エネルギー中心の電力会社への切り替えを進める「パワーシフト・キャンペーン」への参加も広げていきたいですね。

 

執筆:伊与田昌慶(気候ネットワーク)

自然エネルギー100%プラットフォームの記事を転載

映画「不都合な真実2 放置された地球」~ノーベル平和賞のアル・ゴア氏が語る、気候危機とのたたかい~

京都事務所の伊与田です。先週、公開中の映画「不都合な真実2 放置された地球」を観てきました。いわずとしれた、2006年公開の映画「不都合な真実」の続編で、地球温暖化問題に警鐘を鳴らす米国の元副大統領アル・ゴア氏(ノーベル平和賞受賞)が気候危機に立ち向かう姿を追ったドキュメンタリー映画です。

映画「不都合な真実2 放置された地球」

公式ウェブサイト:http://futsugou2.jp/
劇場公開日(日本):2017年11月17日
総合評価:★★★★☆

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南太平洋の島国 フィジーにて

COP23に向けてフィジーに広がる気候変動への意識

今年の夏の間、COP23ボン会議の議長国を務めるフィジーに滞在する機会を得た。南太平洋に浮かぶ332の島からなるフィジーは、美しい海の高級リゾートのイメージがあるだろうが、世界で最初に京都議定書とパリ協定を締結した国でもある。滞在中、現地の新聞には毎日のように気候変動関係のニュースが登場していた。また、首都スヴァや国際観光都市ナンディなどで開催される地域のお祭りのテーマに「気候変動」が掲げられるなど、議長国を務めるCOP23をひかえて、気候変動の意識を盛り上げようという意欲が随所で感じられた。

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NPOが年次報告書をつくる意味~気候ネットワーク年次報告書2016の5つの工夫~

京都事務所の伊与田です。

先日、気候ネットワークでは、2016年度の年次報告書を公開しました。それは、こちら

*この年次報告書は、気候ネットワークのウェブサイトでも閲覧・DLできます。

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春、新生活、新しい電気~電力自由化から1年。広がる選択肢~

春ですね。京都も桜が咲き始めています(朝6時くらいに哲学の道に行くと落ち着いたきれいな空気の中で満開の桜を楽しむことができますよ)。

電力自由化から1年 電力会社切り替えは300万件以上に

2017年4月1日で、電力小売全面自由化の開始から1年がたちました。現在は、一般家庭でも、たくさん電力会社の中から自分の好きな電力会社を選べます。すでに切り替え件数は約311万件になっているそう。

「電力自由化が始まったことは知ってるけど、様子見していた」という方も多いと思います。しかし、もう1年がたって、電力会社の選択肢も増えてきました。まだ切り替えてない人は、この「春、新生活」なタイミングで、ぜひ切り替えを検討してみてください!

参考記事:電力会社、まだ変えてないの?~乗り換えをおすすめする5つの理由~

電力会社を切り替えてみた~個人的体験談~

電力会社の切り替えについて、私の個人的な体験を少しだけ紹介します。 続きを読む 春、新生活、新しい電気~電力自由化から1年。広がる選択肢~

サウジアラビアと日本の「不名誉な共通点」~温暖化対策の劣等生~

京都事務所の伊与田です。テレビでは、サウジアラビア国王の来日が話題になっていますね。

そんな中ですが、私は、「日本」と「サウジアラビア」という2つの国名を見ると、これらの国の間の「不名誉な共通点」を思い起こさずにはいられません。

結論から言いましょう。

サウジアラビアと日本の、意外で不名誉な共通点。

それは、地球温暖化問題の解決の足を最も引っ張っている劣等生ということです。

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「地球温暖化vs寒冷化」のゆくえ

京都事務所の伊与田です。

2月は各地に寒波が押し寄せました。これだけ寒いと、「ほんまに温暖化してるんかいな?」と思われる方もおられるかもしれません。中には、インターネットなどで、「地球は今後寒冷化する」という主張をご覧になったことのある方もおられるかもしれません。

実際、どうなんでしょう?

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書籍『地球温暖化は解決できるのか パリ協定から未来へ!』を読む

京都事務所の伊与田です。

「地球温暖化やパリ協定について、わかりやすい本は?」

最近、大学や自治体、企業や市民団体などから「地球温暖化問題やパリ協定について講演してください」と依頼をいただくことがよくあります。先日も、とあるセミナーでお話したとき、参加していた方から声をかけられました。

「自分でも少し勉強してみたいのですが、地球温暖化やパリ協定について、初心者向けのわかりやすい本はありませんか?」

そう聞かれたとき、頭に思い浮かんだのが、こちらの本です。

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