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地球温暖化を止めるために、小学1年生でもできることはなんですか?

2020年12月にスタートした気候キッズセミナー「未来のための気候の話」には、これまでに全国から200名以上の小中学生が参加しました。

第4回「コンセントの向こう側を考えてみよう」では、私たちがつかう電気がどこで作られ運ばれてくるのか、家のコンセントを起点に暮らしとエネルギーのつながりについて考えました。このブログではセミナーを通して得られたこどもたちの気付きに着目しお伝えします。

毎日つかう電気はどこから来ている?

「古い資料なので、廃炉になった発電所があるかもしれませんが」と豊田さん。火力発電所や原子力発電所は海岸沿いに立地しています。

地図を見て、「海沿いに発電所がたくさんあるから、電気は遠くで作られ、送られてきている」というこどもの発言がありました。日本の発電の実情を知り発電所では石炭や石油、天然ガスをたくさん燃やして大量のCO2が出ている」「化石燃料のほとんどを外国からの輸入に頼っている」「化石燃料は使い続けるといずれなくなってしまう」という問題点にも気付きました。

日本では石炭、天然ガス、石油などの火力発電が主要なエネルギー構成となっています。

日本のエネルギー自給率は7.4%と外国に比べとても低いことには「化石燃料が輸入できなくなったらどうなるんだろう」との不安の声が上がりました。

日本のエネルギー自給率は7.4%で34位、1位はノルウェーで702%で。(エネルギー白書2018より)

未来のためには、
どんなエネルギーを選べばいい?

日本が抱えているエネルギー問題を解決するために、「再生可能エネルギーをどんどん使えばいい」という意見が出ました。その気付きの通り、日本は風力、水力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーにとても恵まれています。再生可能エネルギーが国内で多く使われるようになると温暖化対策になるだけではなく、化石燃料を輸入するためのお金(2019年は19兆円)が日本国内で使えるようになる、仕事が増える、などたくさんの利点があるのです。

市民がお金を出しあい設立した市民共同発電所やおひさま発電所、農地の上に太陽光パネルが設置されたソーラーシェアリング、小水力発電など暮らしの中に再生可能エネルギーが増えつつある。

電気をきりかえるのは、とても簡単

セミナーのまとめでパワーシフトついて話し、家庭の電気を再生可能エネルギーをたくさん使っている電力会社にきりかえようと提案しました。実は、電力会社をきりかえる手続きは携帯電話を変えるよりずっと簡単なのです。
❏パワーシフト 未来をつくる”電気”のえらびか方
https://power-shift.org/

セミナー中は読むのが追いつかないほど多くのチャットメッセージが寄せられ、気候変動問題への関心の高さや危機感が伝わってきました。こどもたちからの質問は「このままではだめだ、なんとかしたい」という強い思いが込められていると感じます。ここにいくつか紹介しますので、こどもたちの声にぜひ耳を傾けてみてください。

温暖化を止めるために小学1年生でもできることはなんですか。それを何人に伝えたらいいですか?(小1)


回答大人の人たちに「行動してください」と伝えていくことが大事だと思います。例えば家族に「いっしょにこんなことをやってみよう」と声をかけることも大事です。イギリスBBCの調査によると、3.5%の人たちが行動を変えれば社会が変わると言われています。100人のうち4人が行動を変えたら温暖化は止められるということです。30人のクラスだと1人2人が行動を変えるだけで大きな力になります。

行動する人をふやすことがとても大事です。まずは自分からはじめて行動する、そして周りの人にやろうと声をかける、特に大人に伝えることは重要だと思います。

CCSは害がないのか知りたいです(小5)

回答:CCSは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で、日本では「二酸化炭素回収・貯留」技術と呼ばれています。石炭火力発電所では石炭を燃やすとCO2が出てきます。CCSとは、燃やしたあとにでてくるCOを他の気体と分離してつかまえて、大気に放出されないようにして、CO2を通さない(逃さない)地中深くに埋めるという方法です。

石炭火力発電所で炭素をつかまえる技術CCSを同時に使えばCO2をゼロにできるのではないかと期待されています。しかし、残念ながらまだ技術は確立されていなくて実験されているレベルです。これが実現できるようになるにはあと数十年かかります。開発されるまで待っているだけだと、温暖化は止められません。

CCSにはたくさんのコストがかかり、お金が多く必要となります。さらにCCSを利用するのにもエネルギーが必要で、今はつかまえられる炭素の量よりも使うエネルギーのほうが多いと言われています。つまりCCSをやればやるほどにCO2がでるような状況なのです。まだCCSだけでどうにかできるという段階ではなく50年くらい先の技術になるのではなかと思います。

地熱発電を続けたら地球の熱がなくなりますか?

回答マグマの熱がすぐになくなることはありません。また地熱発電を行うと近くの温泉に影響を与えるという指摘もありますが、事前にしっかりとした調査を行って、利用していけば問題ありません。最近では九州の雲仙や九重などの温泉地で、温泉組合やホテルなどが温泉の熱を利用した温泉発電に取り組む事例も増えてきています。

パワーシフトをすれば、電力会社は化石燃料をやめてくれますか?

回答:その通りだと思います。使っている人が原発や化石燃料を使いたくないと意思表示をするのがパワーシフトです。例えば、原発や化石燃料を使っている電力会社は選ばれないと、その会社の売上がどんどん落ちて経営していくことができなくなります。だから会社は選ばれるために、再生可能エネルギーに経営方針を変えるのです。実際にドイツではそういう電力会社が増えてきています。みんなが原発や石炭を使っている電力会社ではなく、再生可能エネルギーを使う会社を選ぶようになってきて、大きな会社でも方向転換をするということが起こってきているのです。みんなが選べば社会は変えられるということです。

パワーシフトをするとき、よいか悪いかの区別は?

回答電力会社がどんな電気を調達しているのかを確認することが重要です。例えば、供給している電気のうち何割が再生可能エネルギー(FIT電気含む)なのか、原発や石炭火力発電からの割合などを見て、できるだけ再生可能エネルギーの割合の高い電力会社を選ぶのがいいと思います。電気の内訳は、電力会社のHPなどで確認できます。中には環境に配慮していますという宣伝をしているにもかかわらず、電気の内訳を公表していない会社もあるので、そういった会社は選ばないようにしましょう。

参加者のみなさん、ありがとうございました!

「これまで知らなかったことを学べてよかった。」
「やはり、行動することが1番だとわかりました。」
「再生可能エネルギーを自分でも発見したいです。」
「なるべく電気を使わない。」
「パワーシフトの会社に変えたいです。」

セミナー後に寄せられたこれらの気付きは、これからの脱炭素社会に向けての大きな原動力となることでしょう。

こどもたちが大人になる頃も暮らしやすい地球であり続けるために、これからも「未来のための気候の話」をたくさんの人に伝えていきたいと思います。

「長く着る」をトレンドに 進化型古着屋が提案する新しいファッションの形

連続オンラインセミナー「2030年の私のために、今できること」第6回は (株)ヒューマンフォーラム 進化型古着屋“森”ディレクターの井垣敦資さんをお迎えし、「環境」×「ファッション」をテーマに熱い想いを語っていただきました。

ファッション・古着業界の現状

ファッションってそもそも何?
井垣敦資氏  ㈱ヒューマンフォーラム 進化型古着屋”森”ディレクター 兵庫県姫路市出身。ファッション業界で23年、数々のブランドに携わり現在は「進化型古着屋 森」、RECIRCLE STUDIOのディレクションを⼿がける。2020年 12⽉より京都のユースカルチャーを発信するメディアOUT in KYOTO編集長

最近のファッションで思い浮かべるのは、ファストファッション、流行、トレンドなど華やかなイメーだと思います。反面、ファッション産業は石油産業に次いで環境を汚染していると言われ、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。一般的に、特定の人に受け入れられ普及した社会現象や生活様式をファッションと言います。ファッションの語源はラテン語factioで、もともとは「作ること」「事を成す」という意味です。社会情勢や時代の空気とともに移り変わる、これがファッションの醍醐味です。原料から流行の服へと変化する過程で色々な付加価値を発生させ、大きく経済を動かすのがファッション産業です。ちなみに、アパレルという言葉は、フランス語のappreiller(適合させるという意味)に由来します。ファッションとアパレルは似ているようで意味は違います。1950年代以降、アパレルとは既存服の市場のことを言います。

アパレルの需給バランスを年代別に見ると

2018年、国内生産と海外からの輸入を合わせ29億着の服が日本で調達されています。1990年は11.9億着なので、過去30年で約3倍に調達数量が増えたことになります。消費数量は、2018年は13億着、1990年は11.5億着なので大きくは増えていません。1年間で1人あたり23着の服が作られ、消費されるのは13.5着です。つまり、たくさん作られ、あまり買われずに、捨てられている、これがアパレル業界の現状です。

不要になった服はどうなる?

家庭で不要になった衣料の70%は燃えるごみや燃えないごみとして処分され、30%はリユース・リサイクル目的で回収されています。リユース・リサイクル目的のうち、11%を占めるのが市町村による資源回収や、補助金を受けた団体が実施する集団回収です。最近では店頭での回収、消費者がネットオークションや、リユースショップを通じて直接売ることも増えてきています。

海外に輸出される中古衣料

消費者から回収された中古衣料は古紙問屋業者を経て、故繊維業者から再販売や輸出されています。中古衣料の日本の総輸出量は1990年で5.4万トン、2018年には約5倍の24万トンに増えています。中古衣料はアメリカ、イギリス、ドイツなどからも輸出されています。つまり、たくさん作られ、あまり売れなくて、国内では処理しきれずそれを輸出しているのです。一方、パキスタンやマレーシア、ガーナ、ケニアなど中古衣料を多く輸入しています。日本が高度成長期には繊維産業で国が栄えたように、国の発展のためには繊維産業は欠かせません。しかし、良質な古着が海外から輸入されているアフリカの国々では繊維産業はなかなか発展していません。なぜなら、丈夫でスマートな中古の服を着ていたほうがいいという価値観になっていて、アフリカの繊維産業が盛り上がらないという現状があるからです。これが古着業界で起こっていることです。

USEDを拡張する進化型古着屋“森”の取組み

これまでシーズンごとに新しいトレンドを作ってカラーや素材を打ち出し、消費を促してきました。マーケットが求めるからどんどん作るのがファッション産業の構造でした。しかしコロナによって、今ファッション産業が変わろうとしています。

京都市北部の京北町にて。モデルは全て古着を着用。㈱ヒューマンフォーラムはこの町で13年前から無農薬米を栽培し、同社が運営するmumokuteki cafe で提供している。
長く洋服を着ることを文化に

単純に、みんなが長く洋服を着るのがいいと思うことで、ファッション産業が変わるだろうと考えました。そして、古着を扱っている僕たちがもう一度立ち返って、“森”でやりたい古着のありかたを始めたのが2019年3月です。僕たちも少なからずコロナの影響を受け、2020年12月に大阪から京都に移転しました。“森”が普通の古着屋と違うのはRE;CIRCLE STUDIOというリメイクスタジオが店内にあることです。そこでは洋服のお直しやカスタマイズをお客さんから受けたり、汚れたり破れたりした洋服をリメイクしアップサイクルして商品として出し直しています。“森”で大事にしているのは、「洋服を長く着ることを文化にしたい」という思いです。このファッション産業に対する全く違う価値観でビジネスをやっていけるのかという話もあります。しかし、いくらファッションがサステナビリティ、トレーサビリティを追求し、色んな新技術を駆使したとしても、みんなの価値観が変わらない限りそれは続いていくのではないかと僕たちは考えました。そして、扱っている古着に意味をもう一度持たすために6つのREを提供することにしました。

RE;THINK   意味を捉える、ストーリーを作る
アランセーターには安全と大漁を願う女性たちの祈りが込められている。

たとえば、古着のアランセーター。アランニットはフィッシャーマンニットとも呼ばれ、荒れた海に漁へ出る夫の安全と大漁を祈ってアラン諸島の女性たちによって編まれたニットです。もしも漁師が亡くなった時、着ているセーターで誰か判るように、家紋のように家庭ごとに編み柄が違います。こうやってストーリーを与えることで、服に対しての愛着が湧くと僕たちは考えています。古着の可能性を伝えていく場として、店頭でお客さんとのコミュニケーションも大切にしています。

RE;MAKE   再び作る

“森”店内のリーサークルスタジオでリメイクもしています。アランセーターの汚れているところ、破れているところを継ぎ合わせて、パッチワークのニットにアップサイクルしています。今、人気があるのが、京都紋付さんと協業して、黒より黒い深黒染(しんくろぞめ)です。ベージュの汚れたセーターも、黒染めによってきれいに生まれ変わりました。

RE;CIARCLE STUDIOでアランニットをパッチワークでアップサイクル
黒染めにより、新黒に生まれ変わった

RE;NTAL   共有する

洋服を長く着ることに共感してもらいたいという思いから、レンタルサービス、サブスクリプションサービスを始めました。森メンバーズは月額5000円で古着を5点レンタルできます。リペアやお直しが1点まで無料、黒染めが特別価格でできます。今はコロナでワークショップができませんが、藍染め、リネンの機織りなどのワークショップにも無料で参加できます。

RE;CREATE   未来のUSEDを作る

リクリエイトは、未来のビンテージを作ること。mori kinseiというブランドで、国内で、カットソーとコートを作っています。10年着られるカットソーを目指し、肉厚の生地でよれない、のびないように首回りを何回もサンプルアップして作りました。匂いやシミや黄ばみが出ないように、抗ウイルス加工を施しました。コートも10年20年着てほつれたら直すということを文化にしたいという思いで時間をかけて作っています。“森”はただの古着屋ではありません。洋服を長く着る文化を創るために、いろいろなサービスや商品を開発しているところです。

これからの世の中に対して、大事な話

次に最近のファッション業界全体についてお話します。コロナになってから、特に都心部でも、大企業の倒産や閉店が起きています。例えコロナがなかったとしても、こうなっていたのかなというのが僕の個人的な意見です。成長し続けなければならないという経済の下、売れないものも欲しいと思わせ、大量に作って、消費し、捨てるということをしてきました。しかし、それは持続可能ではありません。これまでの経済が限界に来ているように思えます。そうではない社会のあり方を模索していく必要性が、特にファッション業界にはあると思っています。だから僕たちは、古着に意味を持たせて長く着るという価値観にシフトする啓蒙活動をやろうとしているのです。

ファッションだからできること

ファッションは時代の空気を捉えて作り出す物だと僕は思っています。生活必需品のみ売れるということが、今マーケットで起きてきています。しかし、個人的には意味のあるもの、ある種無駄なものも大事だと思っています。機能性や利便性だけではなく、誰かに語りたくなるようなストーリーがあるもの、愛着を持って着続けられるものはきっと皆さんにもあるはずです。それを探してほしいのです。ものを選ぶこと、買うこと、あるいは逆に買わないことも、深く動機を考えることが大切です。むちゃくちゃ好きなもの、応援したいものにお金を使うことは、これからの世の中を形作っていくと思います。ファッションにはこれからの時代に必要な価値観を伝播していく力があります。ファッションの語源は「事を成す」です。ファッションを通じて持続可能な社会を、僕たちの観点から提案し続けていきたいと思っています。

セミナーご参加のみなさま、ありがとうございました!

●進化型古着屋”森”さんの素敵な取組みをもっと知りたい方は、こちらのURLからアクセスしてください。
株式会社ヒューマンフォーラム:https://www.humanforum.co.jp/進化型古着屋”森”: https://mori-store.net/

神戸石炭訴訟 環境配慮なく石炭火力発電を認めてきた国の責任を問う初めての訴訟が結審へ

現在、日本には多くの石炭火力発電所があり、増え続けています。稼働中のものは159基、計画中・建設中のものは16基あります(Japan Beyond Coal参照 2021/01/17時点)。

石炭火力発電所の新設計画に対して、地域住民から反対の声があがっています。これまでに、釧路、仙台、千葉(市原、蘇我、袖ヶ浦)、横須賀、神戸で、石炭計画に反対する住民団体が立ち上げられています(気候ネットワークも各地の脱石炭の活動に協力しています)。なかでも、仙台、横須賀、神戸では、企業に建設・稼働差止めを求める裁判(民事訴訟)や、建設を認めた国に認可の取消を求める裁判(行政訴訟)が提起され、司法の場で争っています。

神戸製鋼が神戸市灘区で建設中の石炭火力発電所をめぐる行政訴訟は、いよいよ2021年1月20日に結審を迎えます。2018年11月に提訴されたこの裁判は、2年以上に及んでいます。原告・弁護団は、環境アセスメントにおいて大気汚染および気候変動による生命・健康への影響の調査、予測、評価が適正になされていないにもかかわらず、これに変更を命ぜず、工事を認めた国の判断が誤りであると主張し、建設許可を取り消すよう求めてきました。

この記事では、神戸製鋼の石炭計画の概要、裁判で問われている国の責任、求められる環境配慮や裁判で明らかになった重大事実などについてまとめました。

神戸製鋼の石炭計画:その概要と環境への悪影響

神戸製鋼所は、素材系だけでなく、電力事業も中期経営計画の中心に据えています。神戸市灘区で2002年より稼働中の140万kW(70万kW×2基)の石炭火力発電所に加え、高炉休止跡地に130万kW(65万kW×2基)の石炭火力発電所を建設する計画を2014年に公表しました。

2014年12月から環境影響評価法に基づく手続き(環境アセスメント)が始まり、2018年5月22日に経済産業大臣からその確定通知が出されました。これを受けて、2018年10月、神戸製鋼は新たな石炭火力発電所の建設工事開始を発表しました。

完成間近の3-4号機(原告提供)

今年(2021年)には3号機、翌年(2022年)には、4号機が稼働開始の予定です(発電された電気は、全て関西電力に売られます)。その排出量は、既設の石炭火力発電所1-2号機(SC:超臨界圧)から年間679万t-CO2、今後稼働予定の3-4号機(USC:超々臨界圧)から年間692万t-CO2にも及びます。つまり、神戸市にある神戸製鋼の石炭火力発電所だけで合計1,371万t-CO2が毎年排出され続けることになります。

神戸市全域でのCO2間接排出量は年間809万t-CO2であり、これを上回る排出量を1社で排出するものです。仮に天然ガス火力であればCO2排出量は約半分になり、再生可能エネルギーであればゼロになります。「排出ゼロ」がめざされてる中、石炭火力発電所を拡大させることは脱炭素の時代に逆行してると言わざるを得ません。

さらに、神戸の石炭計画の周辺地域は大気汚染の公害指定地域です。行政がディーゼル車の流入規制なども行っている、環境改善の途上にある地域です。PM2.5の環境基準の達成状況も、複数年度で見ると必ずしも良くありません。NOx(窒素酸化物)の大気汚染濃度も環境基準の下限値を超過する地域も存在しています。ここに大規模な石炭火力発電所を増やせば、大気汚染がひどくなることは明らかです。

気候変動対策、大気汚染対策を適正に考慮しないまま出された経済産業大臣の確定通知は違法であると、原告・弁護団は訴えてきました。

神戸石炭火力の建設を認めた国の責任を問う

現在、日本では、石炭火力発電所を建設する際に、国の設置許可申請手続きが必要とされていません。環境影響評価法とその特則を定めた電気事業法に基づき、事前に事業者が環境影響を調査・予測・評価し、最終段階の「評価書」に対して経済産業大臣が「確定通知」を出しさえすれば、建設工事に入ることができてしまいます。

しかし、国は、東京電力福島第一原発事故後、天然ガスと比べて2倍のCO2排出がある石炭火力発電所の建設を推進することとし、環境アセスメントの手続きを省略することを容認し、神戸のみならず、多数の大型石炭火力発電所の建設計画を推進してきました。

気候変動の危機感が高まるなか、発効したパリ協定との整合を図ることなく建設を推進し続けた国(経産省)の判断は、「適正に環境に配慮した」とは到底いえません。また、大気汚染の面でも、世界で最大の課題であるPM2.5について、影響の調査・予測・評価の項目にもあげられていません。

適正な環境配慮が行われたか?

環境影響評価手続きでは、環境大臣のほか、該当地域の知事、市長のほか、住民が環境保全の見地から意見を提出することができます。

気候ネットワークも参加する「神戸の石炭火力発電を考える会」では、環境影響評価準備書手続きにおいて、1300頁にも及ぶ環境アセス文書を読み解き、大気汚染、地球温暖化の問題を中心に、問題提起をしてきました。提出された住民意見は、1,173件に及びました。これは、石炭火力発電所の環境アセスメント手続きで出された意見としては過去最多です。

また、兵庫県神戸市が行った住民意見を聴取する公聴会においても、公述人となった住民は反対を表明してきました。それにもかかわらず、住民意見は各意見者の意見書に反映されることなく、建設は認められてしまいました。

裁判では、なぜ、環境影響評価手続きにおいて、適正な環境配慮が行われていると判断するに至ったのかについて知るため、情報公開手続き等を利用し、証拠収集等も行ってきました。

環境大臣意見形成への経産省の介入

情報開示請求によって、一つ、衝撃の事実が明らかになりました。開示された文書(行政訴訟 準備書面(14))からは、環境省が環境大臣意見の文案を事前に経産省に確認し、経産省からの書き換え・修正の要請に幾度も応じていた実態が明らかとなりました。

環境大臣意見は、事実上、経産省の受入れ可能な文言に変容されてきたことになります。環境への悪影響を厳しくチェックする立場であるはずの環境大臣の意見を、チェックされる側の経済産業省が捻じ曲げる…。このような取り扱いは、環境大臣意見を提出する手続きを形骸化させ、環境影響評価の趣旨にも反する重大な違法行為です。環境保全の見地から適正に環境大臣意見が提出されたとは言えません。

行政訴訟準備書面14 一次案と最終意見の比較(一部)

また、経産省からの書き換え要請により削除された箇所は、住民意見において指摘されていた点と重なるものもあり、環境省は環境大臣意見において住民意見に一定程度応えようとしていた様子も窺えます。

しかし、経産省の介入により次々と削除や、実効性のない文言へと書き換えられ、環境大臣意見は弱められていきました。なお、地元紙である神戸新聞は、2020年9月24日朝刊において、一面トップでこの出来事を報じました(記事)。

司法の役割への期待

現在、国では老朽化や効率の低い石炭火力発電所の休廃止についての議論が進められているところですが、事業者からの反発もあり、「休廃止」の中身もどんどん後退しています。しかも、「高効率」とされる超々臨界圧の石炭火力発電所はその議論の対象外で、この間も、次々と大型の石炭火力発電所が運転開始に入っています。

菅首相は、昨年10月に2050年実質排出ゼロ目標を宣言しました。国際社会と協調して、気温上昇を1.5℃に抑制し、気候の危機を回避することを目指すのであれば、石炭火力発電の新増設はやめ、2030年までにすべての石炭火力発電所を廃止することが求められています。科学者も、グテーレス国連事務総長も、石炭火力からの撤退を求めています。

acworksさん写真ACからの写真

気候変動は、科学や政治・政策の問題です。加えて、人の生命・健康、生活基盤を脅かす、人権侵害の問題ととらえられています。危険な気候変動の影響が顕在化している今日、被害を回避するための司法の役割が問われています。裁判所は、国が十分に環境配慮せず、石炭火力発電所の建設を認め続けた行為について、司法の立場から適切な判断を下し、原告、住民の声に応えて欲しいと思います。

オンライン報告会のご案内

現在、コロナ禍にあり、裁判の傍聴が難しい状況にあります。1月20日は、zoomウェビナーにて、裁判期日終了後15時45分頃より、期日報告会を開催する予定です。ぜひ、ご参加ください。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/7216104561569/WN_eBxFz6hFTQqHIvWznMMx1Q

京都エコマップを立ち上げた、ロビンさんとルークさんの思い

京都事務所の深水です。
2020年6月からスタートした連続オンラインセミナー「2030年の私のために、今できること」を担当しています。このセミナーでは脱炭素社会の実現に向けて、「電気」「食」「防災」など暮らしに身近なテーマから、すぐにできるアクションを提案しています。

第5回は「自分の住む街のエコを知ろう!」をテーマにお届けしました。アメリカ人のロビンさんとイギリス人と日本人のハーフのルークさん、一般市民の立場から二人が手掛けた「京都エコマップ」にはどのような思いがこめられているのでしょうか。二人にお話をうかがいました。 続きを読む 京都エコマップを立ち上げた、ロビンさんとルークさんの思い

アフリカで感じた気候変動の脅威と不条理

皆さん、こんにちは。インターン生の武井七海です。

インターンを始めて2か月が経ちました。気候ネットワークの活動は沢山のスタッフとボランティアの方々に支えられていると日々実感しています。そんなスタッフやボランティアの方々で、月に1回”Kiko研究会”という気候変動に関する勉強会が開催されています(通称Kiko研)。

前回、前々回はスタッフの延藤さんがお話してくださったのですが、今回は私が発表しました!私は昨年末まで西アフリカのベナン共和国で1年強、有機農業の普及活動をしていました。なので、今回はベナンってどんな国?という話からベナンで感じた気候変動の脅威と不条理についてまで幅広く話しました。その発表内容をまとめたものをブログにも書きたいと思います。Kiko研に参加されていない方にも、アフリカにおける気候変動の影響を知っていただけると嬉しいです。 続きを読む アフリカで感じた気候変動の脅威と不条理

自然エネルギー学校・京都2020―地域でできる?!自然エネルギー100%―

 こんにちは! 8月から気候ネットワークでインターンをしております、佐野栞です。9月12日に、自然エネルギー学校・京都2020の第4回「地域でできる?!自然エネルギー100%」がオンラインで開催されました。講師は京都大学の諸富徹さんと株式会社イー・コンザルの榎原友樹さんです。今回もそれぞれの講師による講演、質疑応答、少人数での交流会というプログラムで行われました。この会のもようを、初めて参加した一学生の視点から記してみます。 続きを読む 自然エネルギー学校・京都2020―地域でできる?!自然エネルギー100%―

自然エネルギー学校・京都2020―自宅でできる?!自然エネルギー100%―

暑い日が続きますね。皆さん如何お過ごしですか。

初めまして。今月から気候ネットワークのインターンシップに参加している武井七海です。インターン開始日でもある8月1日に自然エネルギー学校の第3回「自宅でできる?!自然エネルギー100%」がオンラインで開催されました。講師は国立環境研究所の小端拓郎さんでした。小端さん、ありがとうございました!今回は小端さんの講演の後に、質疑応答を挟んで、少人数に分かれての交流会が行われました。 続きを読む 自然エネルギー学校・京都2020―自宅でできる?!自然エネルギー100%―

気候危機を防ぐために!徳島のおばちゃんたちの挑戦

7月1日、四国4県で、テラエナジーでんきが供給開始されました。これに先立つ6月29日、あわエナジーとテラエナジーは、徳島市内の興源寺で記者発表を行いました。

あわエナジーは、徳島での再生可能エネルギーの普及を目指す市民団体です。当時15歳だったグレタさんが始めた気候ストライキ、そして世界中・日本にも広がった若者たちによる「未来のための金曜日(Fridays For Future)」に対して、「普通のおじちゃんやおばちゃんに何ができるのか?いつか、誰かがやってくれるのを待つのではなく、再生可能エネルギー100%の未来をめざして、自ら行動しよう。」という想いからはじまりました。 続きを読む 気候危機を防ぐために!徳島のおばちゃんたちの挑戦

コロナ禍の時代、気候災害と地震に備える

この夏の災害対策を見直そう

こんにちは、防災士の広瀬です。

先日、関東で2夜連続地震が起きました。千葉県を震源地として「緊急地震速報」が発表され、強い揺れに警戒が呼びかけられました。コロナ禍の中でどの様な避難ができるのか、考えるきっかけになった人も多かったのではないでしょうか。

地震だけではなく、夏に向けて、風水害に備える災害対策に、感染症予防を加えることが必要です。

豪雨、台風、熱波、地震にコロナ禍;複合災害が多発している

近年では気候変動による豪雨災害が毎年発生しています。日本を襲う南海トラフを始めとした巨大地震も秒読みと見られる中、双方が同時に発生する可能性も考えられます。

例えば、最近の2年間の自然災害を振り返ってみましょう。 続きを読む コロナ禍の時代、気候災害と地震に備える

炭鉱の町・釧路で今起きていること・・・

こんにちは。東京事務所の桃井です。
うちの事務所も新型コロナウィルス対策で全員自宅勤務を続け早1か月になりました。早くこの事態を終息させるためにも、今はがまんして家にとどまることが大事そうです。

忘れられた!?パリ協定スタート

さて、このコロナの猛威で、ニュースも話題もほぼそれ一色。パリ協定のことなどまるで世の中から忘れ去られてしまったかのよ 続きを読む 炭鉱の町・釧路で今起きていること・・・