こんにちは。京都事務所インターンの塚本です。
地球温暖化セミナーin山口を開催
2019年2月11日(月)、山口県山口市にて、「地球温暖化セミナーin山口 最新の気候科学とCOP24合意から考えるネクスト・ステップ」を開催しました(主催・気候ネットワーク)。
こんにちは。京都事務所インターンの塚本です。
2019年2月11日(月)、山口県山口市にて、「地球温暖化セミナーin山口 最新の気候科学とCOP24合意から考えるネクスト・ステップ」を開催しました(主催・気候ネットワーク)。
はじめまして。気候ネットワークの京都事務所、インターンの加藤愛奈と申します。9月24日に東アジア気候フォーラム2016に参加しました。フォーラムに先立ち、23日にはフォーラム参加者とともに美山ツアーにも参加しました。今回はこの報告をさせていただきます。
シンガポールの対岸、マレー半島の南端に位置するジョホールバルを中心とするイスカンダル・マレーシア開発地域は、経済成長著しい地域で、このままのペースで開発が進めば温室効果ガスの排出量は2025年には現在のおよそ3倍まで増加することが予測されていました。
こうした中、日本ならびに現地の研究機関、行政機関等と協力しながら、2025年に当該地域の二酸化炭素排出量をなりゆきケースに比べて40%削減することを実現するための12の方策を含んだLow Carbon Society Blueprintの開発に取り組みました。
このBlueprintの重要な低炭素社会に向けた10のパイロットプロジェクトの一つとして、低炭素社会づくりのための環境教育を推進するために2005年から京都で実施されてきた「こどもエコライフチャレンジ」を参考に、イスカンダル版こどもエコライフチャレンジ・プロジェクトが実施されることになりました。
実施にあたっては、マレーシア工科大学、ジョホール州政府、イスカンダル地域開発庁社会開発局、気候ネットワーク、国立環境研究所を中心に検討を進め、その結果、2013年秋にはイスカンダル・マレーシアの23の小学校で実施され、その後2014年には80校、2015年は全ての小学校(226校)で実施されました。
また、2013年、2014年と最優秀校の児童と教員が、12月に日本を訪れ京都の小学生やこどもエコライフチャレンジ・メンバーとの交流を進めています。
2005年から京都市で始まった環境教育プログラム「こどもエコライフチャレンジ」の取り組みは、10年目を迎えました。京都市立全小学校での実施から、岡山や兵庫、島根、滋賀などの地域にも広がりを見せています。また前述したように2013年からはマレーシア・イスカンダル地域でもこどもエコライフチャレンジプログラムがはじまり、2015年はイスカンダル地域の全小学校 223校で実施されています。
このように広がりを見せる低炭素教育の取り組みを更に推進するためには、各地域の経験交流とネットワーク化を進めることが大切です。そこでイスカンダル地域の最優秀校の児童たちの来日に合わせて、各地で低炭素教育に取り組む主体による場づくりとして「エコチャレ・サミット 2015」を、2015年12月18日に開催することになりました。
イスカンダル地域のエコライフチャレンジ最優秀校ならびに、京都市立小学校児童による発表の他、これまでの10 年を振り返るディスカッションを行います。是非この機会に奮ってご参加ください。
イベントの詳細はこちらからご覧ください!
http://www.kikonet.org/event/2015-12-18
京都事務所の伊与田です。日々の猛暑に参ってしまいそうになる今日このごろですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
最近もあちこちで観測史上最高気温や最多雨量などの新記録が出ており、熱中症の被害も頻発しています。フィリピンに帰った気候ネットワークのインターン生・マーヴィンさんからは、フィリピンに台風が立て続けに3つもやってきたと連絡がありました。これまでにない気候の時代に突入してしまっているように思います。京都もほんまに暑いですよ!
参考記事:温暖化する地球、日常化する異常気象?
さて、この暑~い時期に開催される、日本を代表する京都の祭りといえば、「祇園祭」です。もともとは、京都で疫病に苦しんだ人々が厄除けを願って始めたのだとか。昨年度(2014年)には、62万人もの人が日本中から、世界中から集まったそうです。
今年も京のまちには山鉾が立ち並んでいます。実は気候ネットワーク京都事務所から徒歩すぐの場所にも、山鉾のひとつ「長刀鉾」があります。下の写真、山鉾のてっぺんにある長刀(なぎなた)が見えますでしょうか?
クライマックスは山鉾巡行ですが、宵宵山の7月15日、宵山の7月16日には、京都の四条通りを中心にあちこちに山鉾が立ち並び、大勢の観光客で賑わいます。夜店や屋台も多く出店し、街は大いに盛り上がります。
ところが、そこで問題になるのが、ごみです。祇園祭では毎年約60トンものごみが出てしまうとのこと。
そこで、市民団体や行政などで構成される祇園祭ごみゼロ大作戦実行委員会は「祇園祭ごみゼロ大作戦」に取り組んでいます。これは、夜店や屋台のみなさん、ボランティアさんとで協力して、使い捨て容器ではなくリユース容器を使うなどの取り組みにより、ごみゼロの祇園祭をめざすものです。
2014年に始まり(日本初・世界初)、2013年には60トンを超えていたごみを、34トンまで減らすことに成功したそうです(出典:祇園祭ごみゼロ大作戦)。プロジェクトの詳細はウェブサイトをご覧ください(下の画像をクリック!)。
個人的におもしろいなーと思うのは、「デカップリング(切り離し)」が実現していることです。2014年は前年に比べて観光客が増え、祭りがますます盛り上がる一方で、環境負荷であるごみはむしろ減ったのは、ごみゼロ大作戦の成果でしょう。
普通は活動量が増えれば環境負荷が増えると思われがちですが、必ずしもそうではないのです。日本を除く先進国のほぼ全てで経済成長とCO2排出のデカップリングが進んでいることが思い起こされます。
今年も、祭りが盛り上がりつつも、さらにごみ減量が進めばいいですね!
この「祇園祭ごみゼロ大作戦」、気候ネットワークも賛同しています。ごみを燃やせば当然CO2が出ます。温暖化防止の観点からも、ごみを可能な限り減らしていかなければなりません。
もともとは、疫病の被害をうけて厄除けを願ったといわれる祇園祭。現代に生きる私たちは、地球温暖化による各地の異常気象の被害に思いを馳せつつ、その厄除けを願って京のまちを練り歩いてみる、というのはいかがでしょうか?祇園祭が、温暖化防止の願いがより一層広がっていくきっかけになりますように!
こんにちは、東京事務所の鈴木です。
報告が遅くなってしまいましたが、5月29日に東京で国際石炭シンポジウム「気候変動とエネルギー:石炭火力発電の問題に迫る」が開催されました。ビジネス関係者や研究者など、約100名が参加しました。
シンポジウムは2部構成で国内外の環境団体や研究機関などのメンバーの講演や議論が行われました。第1部では世界市場での石炭火力発電をめぐる動向について触れつつ、日本における石炭火力発電を推進しているエネルギー政策の問題点について議論し、第2部では海外での石炭火力発電事業に対する融資のあり方について現地からのレポートを含めた議論でした。
議論を通して浮き彫りになったのは、世界では欧米を中心に確実に脱石炭火力に向けた政策やビジネス動向が加速化しているのに対し、日本がこうした「脱石炭」の潮流から完全に孤立し、石炭火力発電を「クリーン」だと言って国内外で推進し続ける対極的な状況です。
パネルディスカッションの質疑応答では、「こんなことは知らなかった」と言う驚きの声もでました。参加者にとってこのシンポジウムは、石炭火力において世界とは異なる歩みをしている日本の状況や、主に東南アジアへの石炭発電技術の輸出の実態を考えるきっかけになったようです。
そして、日本のこうした状況を変えていくためには、まず石炭をめぐる事実に目を向け、解決への道筋を市民からも発信していくことが重要だと思っています。石炭関連サイト「Don’t go back to the 石炭!」や「No coal, Go green」でも引き続き国内での石炭をめぐる問題、海外への融資の問題について情報を発信していきますので、是非ご注目ください。
気候変動対策としての資本市場調整に向けた非営利的な取り組み(ジェームス・リートン)
エネルギーヴェンデと経済(クリストフ・ポデウィル)
低炭素経済に向けた英国の経験(マット・フィリップス+ニック・メイビー)
原子力発電の現状(大島堅一)
自然エネルギーを早く日本の基幹電源に(大野輝之)
日本の石炭火力をめぐる問題(平田仁子)
欧州投資銀行(EIB)の気候変動戦略及びエネルギー融資政策(アディーナ・レリコヴィッチ)
アジアの石炭火力発電からの排出増大に起因する疾病の問題(シャノン・コプリッツ)
OECD諸国における石炭関連の輸出信用の現状(ラファエル・センガ)
インドネシアにおける日本資本の石炭火力発電所-現地からの報告(アリフ・フィヤント)
★国際石炭シンポジウム「気候変動とエネルギー:石炭火力発電の問題に迫る」講演資料はこちら
★石炭火力発電の問題についての最新情報は「Don’t Go Back to the 石炭!」をご覧ください。
★石炭火力発電所のJBIC融資の問題についてもっと知りたい人は、「No Coal, Go Green~JBICの石炭発電融資にNO!~」をご覧ください。
こんにちは、東京事務所の江刺家です。
3月13~18日に宮城県仙台市で開催された国連防災会議。期間中、市の中心部は防災会議一色といっても過言ではなく、あちこちで展示やセミナーが催され、大変な盛り上がりを見せました。
さて、「防災」と「気候変動」…あまり耳慣れない組みあわせですが、実は結びつきの深いものです。「防災」というと地震や津波などの大規模災害をイメージしがちですが、気候変動によって洪水や豪雨の頻度が高まってきた今、こうした日常的に起こりうる災害に対して個人や社会がどのように備えていくのかが問われています。
ということで、市民向け企画「市民防災世界会議」の1つとして、気候ネットワークとピースボート災害ボランティアセンターが共同でシンポジウム「防災・減災をシフトする。~気候変動と社会の変化~」を開催。国内外からゲストを迎え、参加者の皆さんと一緒にこれからの防災を考えました。
枝廣淳子さんのお話のキーワードは「レジリエンス」。気候変動の影響があらわになりつつあるなか、途上国ばかりでなく先進国でも適応策の重要性は高まっています。イギリスなど各国が適応策を進めるかたわら、日本は今夏の適応計画策定に向けてまだ検討をしている段階で、遅れが鮮明になっています。また、各地域や組織、企業が適応策の重要性を認識し、計画をつくることも重要です。政府にはそれを後押しする政策がもとめられます。
地域が抱えるリスクは、気候変動の影響のほかにもエネルギーコストの上昇や財政難、高齢化などさまざま。こうしたリスクに備え、対処するしなやかな力=レジリエンスをつけていくことが必要です。
つづいて長年(50年以上!)防災分野に携わり、バングラデシュを代表する第一人者であるサイドゥル・ラーマンさん。1991年、バングラデシュを襲った風速240km/時の台風では13万8千人以上が犠牲となりました。これに対して1992年にアメリカを襲ったもっと強い台風(風速270km/時)では犠牲者は15人という事例を紹介。
被害の大きさは、災害の強さよりも社会的、経済的、政治的要因によって決まる部分が大きく、国はおろか同じ地域に住んでいても豊かさによって被害の程度が違います。
貧困層は災害の被害を受けやすく、災害に対して脆弱だと貧困からの脱け出すことも難しいという悪循環がくり返されます。だから「防災」「減災」を考えるときには、「貧困」という社会的課題の解決が欠かせません。サイドゥルさんは、市民社会は社会的・政治的な面で地域が力をつけることを後押しし、災害に強くなる支援をすることが重要だと強く訴えます。
2013年に大島を襲った台風26号は、痛ましく甚大な被害を残しました。鈴木祐介さん(大島社会福祉協議会)からは、家屋の泥だしやガレキの撤去のような災害直後の緊急支援、相談援助活動や被災者と支援者のマッチングのように被災者に寄り添う生活支援など、被害から立ち直るために地域が取組んできた支援を紹介していただきました。社会福祉協議会のミッションは「地域の住民の参加を得て、地域住民自身が、地域ぐるみで、地域の課題・問題を解決すること」。支援には行政、ソーシャルワーカー、臨床心理士、保健師、弁護士、 NPO、ボランティア団体、地域の小・中・高等学校など多様な主体との協働が欠かせません。
合田茂広さん(ピースボート災害ボランティアセンター)は、気候変動の影響によって災害のかたちが変わる一方、地域は高齢化し、消防団のようなこれまでの防災組織のかたちも変化することを余儀なくされていると問題提起。災害や社会のかたちが変われば、防災・減災のあり方も当然変えていかなければいけません。
その後の質疑応答ではスピーカーから参加者の皆さんへこんな質問も。「温暖化の影響は現れていると思いますか?」「ではその備えをしている人は?」
皆さんの回答はいかがでしたか?会場では、一つ目の質問には大半の方が手を挙げましたが、2つ目にはほんの数人です。この質問にはっとした人は、きっと私だけではないはずです。枝廣さんは「意識と行動のギャップを埋めることが重要。関心がある人でも必ずしも行動に結びついているわけではなく、関心がない人ならなおさら。」と指摘します。
「ギャップがある」と自覚することは、行動を起こしていくために必要なステップだと思います(ちょっとショック療法?)。個人や地域、企業、そして国には、どんな備えが必要なのか。のんびりと考えている時間はありません。一刻も早く具体的な行動にうつしていくことが必要です。
<当日の映像はこちらからご覧下さい>
2015/3/14 防災・減災をシフトする。~気候変動と社会の変化~
こんにちは。京都事務所の環境教育・デザイン担当岡本です。寒い日に風が強くなってきてもうすぐ春の訪れかと待ち遠しい所でしょうか。今冬も雨や雪が降り、気候変動問題が少しずつ、確実に目に見えてきています。
そんな中、気候ネットワークが主催で毎年開催している全国シンポジウム「市民が進める温暖化防止」を今年は2月14日、15日の2日間にわたって開催しました。前日は雪が降って心配でしたが、たくさんの方にきてもらえて本当に嬉しく思います。
今日は2日目の分科会2で私が担当した所の流れをお伝えします。
イベント全体情報はこちらをご参照下さい。ニュースレター101号(3月発行)にも全体の報告を掲載予定です。どうぞご覧下さいね。
「消費者教育」と聞いてまずなにを思いますか?
詐欺に遭わない方法、買い物の仕方。消費者教育を実践する団体にも、そういった取り組みはたくさん見られます。
消費者教育とは、そもそも何の事?という反応を期待していましたが、2012年の12月には、「消費者教育の推進に関する法律」が出来ました。この法律こそ、この分科会で消費者教育をあえて取り扱うことになったきっかけで、そこにはこんな事が書かれています。
消費者教育の定義(第2条)
1.消費生活に関する基本的な知識を修得し行動に結びつける(消費者の自立を目指す)
2.消費者市民社会※の形成への参画意識を高める(消費者の社会参加を目指す)
※消費者市民社会とは(第2条第2項)
消費者が個々の消費者の特性および消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会情勢及び地域環境に影響を及ぼし得る物である事を自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会をいう。
こんな標記になっていますが、要するには「消費者(私たち)の買い物や、お金の使い方」が事業者や社会に対する投資なんだという事を訴えています。
さて、私たちの毎日の支払いが社会への投資だという事は、言い換えれば私たちの毎日の選択が、どんな環境をつくるかに大きく関わってくるという事。世界の今最も深刻な問題のひとつとされる「地球温暖化問題」もその対策の期限を迫られている状況で、日本は環境NPOだけでなく、市民の理解と行動が必要です。
さてこの分科会、消費者教育という分野に焦点をあてて、これから環境教育がどのように展開したり認知度を分野を超えて広がりを見せる事が出来るのかという可能性を見つける為の分科会でした。
まず、大阪教育大学の大本久美子先生から、消費者教育の動きについてお話し頂き、消費者教育の中での新たな動きを共有しました。
その後、消費者教育のあり方ということで、滋賀グリーン購入ネットワーク(以下GPN)の松宮秀典さんからGPNの取り組み状況について、家庭科研究会の岸田蘭子先生、小田木あけみ先生から学校での取り組み、そしてひのでやエコライフ研究所の大関はるかさんから大学生と取り組む環境教育についての新たなかたちについての発表をしていただきました。
この分科会は、京都で環境問題に取り組む京都府地球温暖化防止活動推進センター、環境市民、コンシューマーズ京都、京エコロジーセンターの皆様に、協力を頂いて実施し、発表後の意見交換でそれぞれ参加していただきました。実際に活動している人達だからこそ、今回の会で色々な情報共有が行うことができ、その後の参加者との意見交換にとてもよい繋がりとなりました。
実は以前から環境教育を取り扱う人たちの間では、こういったトピックはかなり話し合われていました。その為課題もはっきりしていて、実践者同士が繋がる事、実施する事、実施する場と、やり方の検討をすることなどがあげられます。
今回で、まず一歩目の、繋がる事が出来たのではないかと思います。規模は小さくても、実施する事は、もともと実施していた人や、違った観点をもった人たちもかなり多かったのでこの場で本当に深い意見交換が出来たと思います。
今回の会が、まずの一歩目であったとして、これから動きに関わっていく人達が確実に増えました。
これで「良い会だった。」で終わらせるつもりはなく、つなげる為に、実はもう一本企画をしています。
京都のお住まいの方はもしかしたらもうご存知かもしれません、今月27日(金)、28日(土)開催予定の「第11回京都・環境教育ミーティング」の場で、1日目に3時間ワークショップを行います。
「これから求める温暖化防止教育〜評価がもつ可能性〜」という仮称で、内容は、温暖化の情報が全国でも伝わっていくように気候ネットワークがこれまで京都市で実践してきた「こどもエコライフチャレンジ」や、京都府地球温暖化防止活動推進センターの「夏休み省エネチャレンジ」などの温暖化防止教育を比較し、それぞれの評価と課題探しをすることで、次へつなげていく為のヒント探しを実施するものです。
この場ではもちろん今回の消費者教育との連携の話も例としてあげることで、もっと幅広い視野で環境教育が広がるように進めていければと思います。ご興味もっていただけた方は、ぜひご参加下さい。(※事前申し込みが必要となります)
長くなってしまいましたがこの辺で。
京都環境教育ミーティングの報告についても、アップしますのでまたご意見などあればお待ちしております。
それでは。
京都事務所の伊与田です。
京都でも寒い日々が続きます。これだけ寒いと、あれだけ暑かった夏など、まるで現実ではないかのように感じられますね。
夏と言えば、思い起こされるのは、夏の京都・嵐山の水害です。2013年の台風の被害から復興が進む中、2014年に再び災害に見舞われました。あれは、私たちにひたひたと迫りくる温暖化の脅威を改めて実感させる出来事ではなかったでしょうか?京都府・福知山でも記録的豪雨で大変な被害を受けました。また、70人を超える死者がでた広島の豪雨・土砂災害も記憶に新しいところです。
もちろん、一つの異常気象が温暖化の影響であると科学的に証明することは難しいのですが、温暖化が進んだ未来には、このような洪水や熱波などが増加すると予測されています。
*日本の気候変動影響について、政府の委員会がまとめた資料が最近公開されました(日本における気候変動による影響に関する評価報告書)。
京都の未来にも温暖化の足音が迫っている今、日本の異常気象の原因を追究する、気象庁の委員会のメンバーでもある専門家、木本昌秀先生をお招きして、全国シンポジウム「市民が進める温暖化防止~クライメート・アクション・ナウ!~」を2月14~15日に京都で開催します。
温暖化って今どうなっているの?今後の異常気象は?どんな対策をしたらいいの?…そこはかとなく持っている不安や疑問を当代随一の専門家に聞けるチャンスです!これを逃すともったいないですよ~。すでに全国各地より参加申込みを頂いていますが、この記事をご覧のあなたも!ぜひお誘い合わせの上、ご参加ください。
日程 | 2015年2月14日(土)~15日(日) |
会場 |
同志社大学 新町キャンパス(京都市上京区) |
アクセス |
地下鉄烏丸線「今出川」駅から徒歩10分 地図はこちら *会場には、省エネ・CO2削減のため、徒歩・自転車・公共交通でお越しください。必要に応じて、マイボトル等をご持参ください。 |
参加費 (2日間共通) |
一般 2,000円、会員・学生 1,000円、学生会員 無料 |
申し込み |
*または、1.お名前・ふりがな、2.ご連絡先(メールアドレスなど)、3.気候ネットワーク会員区分(会員/非会員/当日に入会予定)、4.参加予定の日程・プログラム(任意)、5.ご所属など(任意)、6.ご質問・メッセージ(任意)を添えてメール・お電話・FAXでお申込みください。 |
プログラム 2月14日(土) 受付12:20~ |
※詳細は随時更新されます。 開会(13:00~)挨拶 浅岡美恵(気候ネットワーク代表/弁護士)基調講演
|
2月15日(日) 受付9:00~ |
分科会午前の部(9:30~11:45)分科会1:市民・地域電力会社のつくり方
|
主催 | 気候ネットワーク |
共催 | 同志社大学ソーシャル・イノベーション研究センター Climate Action Netowork Japan(CAN-Japan) |
後援 |
同志社大学政策学部・大学院総合政策科学研究科、京都府地球温暖化防止活動推進センター、京のアジェンダ21フォーラム、京エコロジーセンター、京と地球の共生府民会議、一般社団法人 地球温暖化防止全国ネット(全国地球温暖化防止活動推進センター)、滋賀県地球温暖化防止活動推進センター、奈良県地球温暖化防止活動推進センター、兵庫県地球温暖化防止活動推進センター、京都市、環境省、外務省、ほか |
お問合せ | 認定NPO法人 気候ネットワーク 京都事務所 TEL:075-254-1011 FAX:075-254-1012 MAIL:kyoto@kikonet.org |
その他 |
このシンポジウムは、次の助成を受けて開催いたします。 ・独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金(1日目ディスカッション①・ ・2014年度公益信託地球環境保全フロン対策基金(分科会5) ・二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(分科会6) |
京都事務所の伊与田です。2015年になってから、もう1ヶ月がたとうとしています…。真冬のまっただ中、インフルエンザも流行っているようですが、みなさまお元気でしょうか??
さて、今回は、先週1月21日に東京で開催されたイベント「COP20リマ会議報告会~2015年パリ会議への道~」の様子をお届けします!主催は気候ネットワークも参加する、気候変動NGOのネットワーク組織CAN-Japanです。
報告会では、実際にCOP20に参加したNGOのメンバーが、これまでの国際交渉の経緯や、リマ会議での論点とその結果、日本の政策課題などについて報告しました。
会場には平日の昼にも関わらず、一般市民、NGO/NPO、マスメディア関係者、事業者や学生など約170名もの方に参加いただき、気候変動交渉への注目が高まっていることが印象づけられました。
YouTubeより、報告会のようすを視聴いただけます!
まず、地球環境市民会議(CASA)の土田道代さんより、リマ会議に至る国際交渉の流れについて報告がありました(資料はこちら)。
2011年のCOP19ダーバン会議で設立されたADP(ダーバン・プラットフォーム特別作業部会)では、2つの交渉テーマのもとで議論が行われています。第1に、2020年以降の新しい法的枠組みです。先進国、途上国の両方を含む全ての国が参加することになっており、2015年までに合意することがめざされています。第2に、2020年までの温室効果ガス排出削減レベルの引き上げです。
また、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によって最新の科学的知見がまとめられた第5次評価報告書から、国際交渉に関連するポイントも紹介されました。世界がこのままのペースで温室効果ガス排出を続ければ、あと30年足らずで世界がめざす「2℃未満」を達成するために残されている排出枠を使いきってしまいます。長期的な観点からすれば、向こう15年間で実施する対策が、将来世代が生きる世界にきわめて大きな影響を及ぼすことになるため、2015年パリ合意が決定的に重要である、ということでした。
次に、WWFジャパンの小西雅子さんより、リマ会議の注目点であるADP交渉での決定内容や対立点、交渉における各国の立場や議論の変遷について報告がありました(資料はこちら)。
COP20リマ会議で決まったことで、特に重要なのは、2020年以降の新しい温暖化対策の国別目標案についてです。(用意できる国は)2015年3月までに目標案を提出するということはすでにワルシャワ会議で決まっていました。リマのポイントは、どんな情報を目標案として各国が提出するのかという点と、各国の目標案についてパリ合意より前に協議して引き上げるプロセス(事前協議)に合意できるかどうかでした。結果として、目標案に含める情報について決まりました。特に、自国の目標案が国際的に公平か、科学的に見て妥当かどうかについての情報も入れようということになったのは重要です。事前協議については合意ができませんでしたが、非公式にお互いの目標案をチェックすることはできるようになりました。
気候変動交渉は、以前は「先進国対途上国」という意味単純な対立がありましたが、リマでは、COP20ホスト国ペルーなどのラテンアメリカ諸国の先進国と途上国の間をとりもとうという姿勢が目立ちました。例えば、途上国への資金支援のための緑の気候基金(GCF)に、ペルーやコロンビアも拠出表明をしています。合意の成果は会議の最後の最後になって弱められてはしまいましたが、パリのCOP21に向けて最低限の道筋はつけられました。
WWFジャパンの山岸尚之さんからは、リマ会議における2015年パリ合意の「要素」(elements)に関する交渉について報告がありました(資料はこちら)。
この「要素」は、2015年パリ会議で合意する内容の「下書き」に相当するため、極めて重要ではありますが、今回のリマ会議で最終決定しなくてもいいとも言えるテーマでした。リマ会議では、COP決定文書の附属書として、要素に関する約40ページのペーパーがつけられました。要素のペーパーには、緩和(排出削減)、適応・損失と被害などといったテーマ毎に、各国の意見が選択肢として並べてまとめられています。
重要な論点としては、緩和の長期目標(世界全体で排出量を2050年までに何%削減、2100年までにCO2純排出をゼロにする等)があります。世界全体の長期目標は、それ自体は漠然としたところもありますが、これが決まると、各国の温室効果ガス排出量の削減目標への影響もあります。また、次の目標期間の長さ(5年か10年か?その先をどうするのか?)についても議論されていますし、どの国がどの程度の資金支援をすべきか、ということも重要な論点です。
今年の交渉では、要素についての議論が主役になります。また、パリ合意がどんな法的性質をもつのかも重要です。どんな内容が議定書のような法的位置づけのある合意文書に入るのか、何がその他のCOP決定と言われる一段低い位置づけになるのか、排出削減目標の扱いとも絡んで注目されます。
次に、コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの西川敦子さんより、気候変動交渉における森林減少等の課題について報告がありました(資料はこちら)。
森林減少対策は、気候変動対策の観点からも重要です。IPCCの最新報告によれば、世界の人為的な全温室効果ガス排出量のうち、「農業、森林、その他の土地利用」による排出は24%を占めています。気候変動交渉では、REDD+(”レッドプラス”。途上国における森林減少・森林劣化からの排出削減等)と呼ばれるテーマのもとで議論が行われています。これまでも森林保護のプロジェクトは行われていましたが、気候変動の緩和という視点が入ることによって、炭素の定量化やクレジット移転などによってプロジェクトの拡大を後押しする影響があります。
2013年にポーランドのワルシャワで開催されたCOP19では、「REDD+のためのワルシャワ枠組み」に合意し、基本的なルールに合意することができていました。今回のリマ会議では、積み残しの議題について議論を行いましたが、合意に至らず、引き続き交渉を継続することになりました。2015年の交渉では、2020年以降の新しい枠組みにおけるREDD+の位置づけを明確にすることが期待されます。また、今急がなければ永久に失われてしまうような森林や生物多様性などを守るために、より一層の対策強化が必要です。
最後に、気候ネットワークの平田仁子さんから、国内外の温暖化対策の動向を踏まえ、日本政府と日本のみなさんへのメッセージということで報告がありました(資料はこちら。別紙1、別紙2)。
今回のリマ会議で日本政府が注目されたのは、日本政府による、石炭火力発電の海外融資についてです。気候資金と呼ばれる温暖化対策のための資金支援のリストの中に、インドネシアの石炭火力発電事業への支援があることが現地で大きな問題になりました。また、気候資金には含まれませんが、石炭事業への融資の例が他にも多数あり、石炭発電を輸出していこうという姿勢も批判にさらされています。
日本の目標案(約束草案)については、2014年10月に約束草案検討ワーキンググループが設立され、一応議論が始まりました。しかし、提出時期も削減水準も不明で、リマでは他国から「いつ出すのか」とプレッシャーもありました。原発再稼働の議論もありますが、今後日本が数十%という排出削減が必要な中、再稼働による実際の排出削減効果はあったとしても微々たるものです。石炭火力発電の計画が増えているのも深刻な問題です。
日本は今後、早く、高い目標案を十分な説明をもって、提出する準備を全力で進める必要があります。また、全ての途上国を対象とする新しい枠組みをめざす交渉において、資金支援や損失と損害といったテーマにも積極的な貢献が求められます。さらに、国内では現在のところ、気候変動とエネルギーの政策が別々に検討されていますが、統合的に議論することが必要です。
報告の後には会場からたくさんのご質問をお受けしました。中国や、米国の交渉ポジションについてや、日本政府の温暖化対策が「生ぬるい」、「一般市民の温暖化問題への関心も高くない、どのように関心を高めていけるのか?」と、さらなる対策強化を求める声も多く聞かれました。NGOとしても、もっと社会的な関心を高めて政策を良い方向に変えられるよう、努力をしなければと思います。
リマ会議では限られた成果しか得られませんでしたが、各国は2015年パリ合意の実現をめざして交渉を続けています。各地ですでに悪影響が発生しており、今後ますます深刻化するとされる気候変動。報告会で山岸さんはパリ会議の成否は、「地球にとって、人類にとって、”運命の分かれ目”になるかもしれない」と指摘されていましたが、本当にその通りだと思います。2015年はとても大切な1年である、ということを社会的なコンセンサスにしていきたいと思います。