「スタッフの日々」カテゴリーアーカイブ

映画「グレタ ひとりぼっちの挑戦」を観て 

こんにちは、スタッフの広瀬です。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの素顔に迫るドキュメンタリーで映画”グレタ ひとりぼっちの挑戦”を観てきました。

 

 

この作品は、気候変動への政府の対応に抗議する当時15歳の少女として世界に知られるようになったグレタ・トゥンベリ-に活動初期からスウェーデンのドキュメンタリー映画監督ネイサン・グロスマンが自ら密着し、環境活動や貴重なプライベートを映し出している。気候変動に興味がなかった人だけではなく、これまでのグレタの活動を断片的に受けとめて来た人も、グレタに影響されてアクションを起こした若者も、それぞれに見ごたえがある作品ではないだろうか。

スウェーデンの国会議事堂前で未来のための学校ストライキをするグレタ・トゥンベリーさん

たった一人で始めた学校ストライキから見つけた大切なこと

映画は国政選挙が迫る国会議事堂の前でスウェーデン語で「気候のための学生ストライキ」と書いたプラカードを持ち、一人で座り込んで抗議活動を行った場面から始まっている。まさに“ひとりぼっちの挑戦”だ。やがてグレタに賛同して座り込む若者たちが増え、SNSで拡散したことで、彼女の影響力は国境を超える広がりを見せる。早急な温暖化対策を訴え毎週金曜日にデモを行う「Fridays For Future」(FFF)など、賛同者は今や世界で700万人に及んでいる。私はこのアクションが世界中の人々に気候変動対策を本気で考えるきっかけにさせ、脱炭素の実現に向けて社会が動き出すことを後押ししているにちがいないと感じる。
我々の社会ではややもすると、多数決で物事を決める場面が多いが、実は少数派意見の中から課題解決の手がかりを見つけ出せることがまま有る。自分と違う意見や考え方に対してリスペクトすることの大切さを学ぶことができる。

グレタを支えた家族の挑戦

作品の中ではグレタが抱えるアスペルガー症候群についても率直に伝えている。症状の中に、ひとつの物事に執着する、こだわり続けるという特徴があるそうだが、それこそが彼女が気候危機にこだわり続け、若くして気候正義のムーブメントを主導する存在にまでなった要因であったことを本作は教えてくれる。
グレタにとって環境問題を考えるきっかけとなったのは学校の授業だった。科学者が気候危機を発信していることを学び、世界でろくな対策も取られてない事実を知り、グレタは、数日間食事も喉が通らなくなり寝込んでしまった。同じ映像を見せられた多くの子どもたちも同じように見た瞬間は驚くだろうが、大抵は目先の関心事に興味が移り、温暖化のことは頭の片隅にしまっておくか忘れてしまうことが少なくない。しかしアスペルガーのグレタはその特性から見過ごすことは出来ずに常にその事が頭の中心に居座り続ける。
温暖化は彼女にとってはまさに今そこにある危機で、ゆっくりしている時間はないのだ。しかし他者はそのことを簡単には理解できない。追い詰められた彼女の行動は、アスペルガー故の孤独な闘いであり挑戦といえるだろう。
当初両親はストライキに反対だったが、生き生きとした彼女をみて、グレタへの支援を惜しまなかった。オペラ歌手の母は移動手段を飛行機から船や鉄道に変え、グレタに常に寄りそう父親の姿があった。「子どもの良いところを伸ばしてあげたい」と思う親の気持ちは私自身も全く同じだが、子どもの思想を尊重し、子どもに寄り添い、成長に合わせた親としての立ち位置を改めて考える機会となった。
孤独な闘いから始まった彼女の行動が多くの人々を感化し世界中に広がったアクションへと繋がったのは、彼女の考えに向き合った両親の助けも大きな役割を果たした。もはやグレタにとってではなく多くの人々にとっても温暖化はいまそこにある危機となったのだ。

グレタのメッセージは正確に伝えられている

映画は監督であるネイサン・グロスマン氏がほとんど一人で撮影、録音したそうだ。監督と彼女や家族と信頼関係を築くことができたのは、気候変動の考え方や興味が一致したからこそだ。特に、グレタと一緒に大西洋を横断してニューヨークまでヨットで同行したシーンは簡単ではなかったことが想像できる。難題に立ち向かう活動家の顔を余すことなく記録できたことで、観る側としてはよりリアルに迫力が伝わって来た。何より、グレタ自身が鑑賞し、「ちゃんと自分自身がいた」という感想からは、グレタのメッセージを正確に伝えていることがわかる。

2019年スペインマドリードで行われた気候変動枠組条約締約国会議(COP)でスピーチをするグレタさん

どうしたら未来を守れるの?

グレタが学校ストライキをしたのは、安全な未来のために指導者たちが科学者たちの声に耳を傾けてほしいということだ。それに対して政治家から虚言を吐かれたり、批判されたりすることもある。その言葉の過激さに私自身も映画を観ているだけでフラストレーションを感じた。
どうしたらメッセージが伝わるのか、どうしたら未来を守ることができるのか、言葉の上だけではなく、本当の意味で地球上のみんなで受け止めて行動に移してほしいと感じた。

私たちのアクション

気候変動に関する科学的分析や予測などをまとめる国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会は2021年8月、人間の活動が温暖化を引き起こしていることは「疑う余地がない」と初めて明記した第6次評価報告書を公表した。温暖化は世界中で熱波や大雨などの異常気象に影響を及ぼしており、化石燃料を大量に消費する状況が続けば産業革命前と比べて今世紀末に最大5・7度上昇する可能性があるという。

もはやゆっくりしている時間はない。パリ協定で掲げている1.5℃目標に向けて、社会のシステムチェンジが必要だ。「電気のスイッチをこまめに消すなど、一人ひとりができることをコツコツする。」ということだけでは、全く間に合わない。
じゃあどうすれば?という多くの問いかけをいただき、このたび気候ネットワークでは、未来を守るために「気候アクションガイド」を作成している。
そこには5つのアティチュードとサイエンスを表現すると共に具体的な参考アクションを暮らしのあらゆる場面で参考にすることができるよう工夫している。既にHPでもご紹介しているので、是非お役立ていただけるよう願っている。

 

ダウンロードはこちらから

https://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2022/01/kiko-action-guide.pdf

 

新しいスタートに向けたご挨拶(平田仁子)

(English below)

私事で恐縮ですが、こちらのブログを通じて、本日をもって気候ネットワークを退職しますことをお知らせさせていただきます。

私が気候ネットワークに参加したのはCOP3後の団体設立時でしたので、約四半世紀という自身の人生のほぼ半分にあたる時間をともに歩んできました。この間、さまざまな方と出会い、学び、議論し、また、たくさんの励ましや応援をいただきました。気候変動はどこまでいっても奥深いテーマであり、この問題にぶれずに向き合い続ける機会を与えてくれた気候ネットワークという場こそが、私を育ててくれました。

日本におけるNGOの位置はこの数十年の間にいくらかの変化があり、力を備えてきたと思いますが、今でも厳しいことには変わりありません。社会における認知や参加・支援の輪も、問題の大きさに照らせば全く足りません。それでも、知恵を絞り、協力者とともに取り組んできたことで得られた成果や見えてきたこともあります。今年2021年にゴールドマン環境賞の受賞に至ったのも、継続したチームワークがあったからこそだと思っています。

しかし、気候変動を巡る情勢は一層厳しく、今、重要な局面を迎えています。日本のNGOとしての気候ネットワークの役割は今まで以上に重要になっています。浅岡代表とスタッフがその役割を担い、仲間を増やし、この大きなチャレンジに力強く取り組んでいけるよう、引き続きのご支援をお願いいたします。

私自身の目線も変わらず市民社会にあります。これからも理事として気候ネットワークを応援しながら、今後、私自身が果たせることを見定め、2022年に新しい形でのスタートを切りたいと考えています。そして、市民社会を育んでいくことを通じて困難を乗り越えていけるよう、大きな希望を持って歩んでまいります。

感謝の気持ちはとても言い尽くせませんが、これまで様々な形でお世話になった皆様に心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

今後につきましては、LinkedInもしくはツイッター(@kimihirata)でお知らせいたします。

平田仁子

My Departure and New Journey

Dear all,

Please allow me to use this blog space to discuss something personal and announce that today will be my final day at Kiko Network.

I joined Kiko Network from its start just after COP3 in 1998. Since then, I have spent almost half my life with Kiko Network, which has provided me a space to dedicate myself to the complex and multi-faceted issue of climate change. During this journey, I have met many people, talked with them, received encouragement and support from them, and learned from them. Through this work, I have grown both professionally and personally.

The position of NGOs in Japan has grown stronger over the last few decades, but many challenges still remain. In light of the scale of this issue, social awareness, public participation and support are still not sufficient. Nevertheless, even with limited capacity, we have been able to achieve a great deal and gain many new insights through the wisdom and efforts of our supporters and collaborators. Being awarded the Goldman Environmental Prize in 2021 is proof of the power of our network.

We are now facing an unprecedented climate crisis, and in this critical moment the role of Kiko Network as a Japanese NGO is more crucial than ever. I’m confident that Mie Asaoka and my colleagues at Kiko Network will continue to work hard to tackle these immense challenges. Please continue to support us and our work; I will continue to do so as a Board Member, too.

Now, I will take a new step and once again challenge what I believe I can do. I will continue to be closely engaged with civil society and climate work, and I hope that we will walk forward together in overcoming these challenges of our time, affirming our belief that change is possible.

To follow me on my next steps, please find me on LinkedIn or my Twitter (@kimikohirata).

Thank you all.

Kimiko Hirata

気候変動政策の国際的な評価ランキング!日本の順位は60カ国中「第45位」 

東京事務所の鈴木です。

いきなりですが、日本の気候変動対策は世界的にみてどのぐらいの順位だと思いますか?

英グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、世界の国々が気候変動対策について議論していた最中の9日、ドイツのNGOジャーマンウォッチが主要排出国60カ国の気候変動政策の評価ランキング「気候変動パフォーマスインデックス2022(原題:Climate Change Performance Index 2022, CCPI)」を発表していたので、紹介します。

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私たちは慣れてはいけない 「国際防災の日」に考える気候災害の危機

きょう10月13日は「国際防災の日」。でも、365日、毎日が防災の日であるべきであるかのような状況が続いています。「気候災害が深刻化している」と言うのもむなしくなるような危機が相次いでいます。

ニュースで「観測史上●●」、「記録的●●」といった「異常な」言葉を「日常的に」聞かされ、感覚が麻痺してしまいそう…。それはまるで、増え続けるコロナ感染者数の数字に、慣れてしまってきたかにみえる今の社会の姿と重なります。 続きを読む 私たちは慣れてはいけない 「国際防災の日」に考える気候災害の危機

自治体が進める脱石炭:アジアで初めてPPCAに加盟した韓国・忠清南道

はじめまして!6月から気候ネットワークのスタッフになった田中です。

ここ1年ほど、コロナ禍で在宅時間が増えたこともあって、自分の住んでいる地域(兵庫県西宮市)の市政ニュースや県政ニュースをじっくり読む時間が増えました。「実はこんな取り組みをしていたんだ」と気づくことも多くて、最近では西宮市が「ゼロカーボンシティ」を宣言していたと知りました。 続きを読む 自治体が進める脱石炭:アジアで初めてPPCAに加盟した韓国・忠清南道

ジョニー・デップ主演の映画「MINAMATA」が今に伝えるもの

先日、世界的俳優ジョニー・デップが写真家・故ユージーン・スミスを演じた映画「MINAMATA」を観てきました。

そのタイトルが示す通り、四大公害のひとつである水俣病が題材です。非人道的な大企業の罪を世界に知らしめた写真家たちと、高度経済成長の日本で未曾有の産業公害に立ち向かう患者と家族たちの姿を描いた作品です。

 

映画「MINAMATA」

公式ウェブサイト:https://longride.jp/minamata/
上映時間:115分
劇場公開日(日本):2021年9月23日
総合評価:★★★★☆

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パブコメを書こう!気候変動・エネルギー政策に声をあげよう!

 政府は9月3日に、エネルギー基本計画地球温暖化対策計画などの改正にあたって政府案を公表し、パブリックコメント(通称:パブコメ)を開始しました。パブコメでは、一般市民が政府の政策案に対してインターネット上から意見を政府に提出することができ、政府も集まった意見を尊重して政策を決めることとされています。

 気候変動の影響は高温化や熱波・集中豪雨・旱魃・海面上昇といった形で猛威を振るいはじめていますが、将来の甚大なリスクを回避するためには、今、気候変動・エネルギー政策を大転換する必要があります。しかし、政府の政策案は、「大転換」には程遠いものです。したがって、このパブコメ期間はとても重要なタイミングです。 続きを読む パブコメを書こう!気候変動・エネルギー政策に声をあげよう!

改めて考える家庭のエネルギー消費 ~パワーシフトのすすめ~

はじめまして。今年6月から気候ネットワークで働いている森山です。今年の夏も猛烈な暑さが続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

気候変動による猛暑と気候災害の増加

最近の夏の異常な暑さや、集中豪雨や台風による被害の増加で、気候変動の影響が日本でも身近に感じられるようになってきました。気候変動の最大の原因となっているのが、化石燃料を使うことで排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスです。CO2の排出が今のまま続けば、夏はさらに暑くなり、異常気象による災害も増えると予測されています。 続きを読む 改めて考える家庭のエネルギー消費 ~パワーシフトのすすめ~

ゴールドマン環境賞を受賞して

東京事務所の平田です。

この度、2021年のゴールドマン環境賞の受賞に際し、たくさんのお祝いや激励のメッセージをいただき、また7月4日に開催した受賞記念のシンポジウムにも、多くの方にご視聴いただきまして、ありがとうございました。 続きを読む ゴールドマン環境賞を受賞して