「スタッフの日々」カテゴリーアーカイブ

自然エネルギーを仕事にする

こんにちは。スタッフの豊田です。ブログでは初めて投稿となります。

今日は気候ネットワークの自然エネルギー関連の地域での支援活動について紹介します。

気候ネットワークでは、自然エネルギー普及のためには、国の高い目標と効果的な政策、そして地域でのモデルづくりが重要だと考え、政策提言とともに地域での草の根の活動支援を行っています。

全国各地の自然エネルギー普及活動

京都では事務局長の田浦が理事長で、私(豊田)も理事になっている一般社団法人「市民エネルギー京都」では京都市の公共施設や京都生協の店舗の屋根を活用して太陽光発電を設置する、パートナーシップでの市民協働発電所づくりに取り組んでいます。

 

福島では、大阪の自然エネルギー市民の会のメンバーとして、福島県農民連と協働して2013年9月に50kWの太陽光発電所を、そして先日の2015年2月には2号機目となる200kWの太陽光発電所を、それぞれ全国の市民からの出資によって設置しています。こうした動きを始めとし、福島では農民連を中心に、農家によるエネルギー革命が広がっています!

 

奈良県では、一般社団法人地域未来エネルギー奈良がならコープの本部事務所の屋上に市民共同太陽光発電(50kW)を設置するとともに、自然エネルギー学校・ならの開催や奈良県内での自然エネルギーをテーマにした地域活動の支援を行っています。

岡山県では、おかやまエネルギーの未来を考える会が新たな発電所の設置を行政と協働しながら進めています。

この他にも、釧路、鳥取、島根、大阪、和歌山、兵庫、山形、広島、愛媛、香川などさまざまな地域での発電所づくりのための取り組みが進んでいます。 こうした取り組みへのノウハウ提供やアドバイスなどを中心とした支援活動を行っています。 これから自然エネルギーを活用した地域づくりを始めたい、市民・地域共同発電所について詳しく知りたいという方は、豊田まで遠慮なくお問合せ下さい。

新刊!『エネルギーの世界を変える。22人の仕事~事業・政策・研究の先駆者たち』

また、この度こうした取組の内容について、私同様に全国で自然エネルギー普及のために活躍している若手の実践者・研究者の方々とともに、書籍で紹介させていただく機会をいただきました。

その名も『エネルギーの世界を変える。22人の仕事~事業・政策・研究の先駆者たち』(学芸出版)で、2015年4月25日の発売です!

この書籍、自分の部分は兎も角として、他の21人の原稿が面白いです!熱い気持ちが伝わってきます。 皆さんに、中でも自然エネルギーに関心のある若い方に、是非とも読んでもらいたい一冊です。

詳しくは学芸出版ホームページをご覧ください。
Amazonでも予約販売始まっています。

また、4月11日には出版記念セミナーを開催します。

【 REAL 】―自然エネルギー業界に就職する!~多様化する自然エネルギービジネスの未来

2015年4月11日(土)【 REAL 】―自然エネルギー業界に就職する! 多様化する自然エネルギービジネスの未来

私も登壇させていただきますので、イベント会場でお会いさせていただければ幸いです。

化石燃料を「歴史」にしよう~2月13-14日はグローバル・ダイベストメント・デイ~

京都事務所の伊与田です。京都ではついさきほどから雪が降り始めました。明日はバレンタインですが、もしかしたらホワイト・バレンタイン(?)になるかもしれませんね。

さて、そんなときに突然ですが、「ダイベストメント(divestment)」って聞いたことがありますか?2月13~14日は、「グローバル・ダイベストメント・デイ」。世界中の人が、化石燃料への「ダイベストメント」への意思を示す日です。

 ダイベストメント(divestment)とは?

 ダイベストメント(divestment)は、「投資(investment)」の逆。つまり、これまであなたが利益を得るために投資したり、株などを買ったりしていたのをやめること(これまで出していたお金を引き上げること)です。これまでは、クラスター爆弾や対人地雷といった兵器の製造企業や、南アフリカのアパルトヘイトが非倫理的であるとして「ダイベストメント」の対象とされた例があります。

2/14,15は、グローバル・ダイベストメント・デイ

そして、きょう・あすの「グローバル・ダイベストメント・デイ」は、化石燃料への投資をやめよう、と呼びかけるものです。化石燃料への投資は投資家と環境の両方にとってリスクがあります。このキャンペーンでは、各界のリーダーに対して、ただちに化石燃料企業への追加的な投資をやめることを求めています。最新の科学によれば、地下に埋まっている化石燃料をすべて掘り起こして燃やすと、危険な気候変動を避けることができなくなります。企業は、地中の化石燃料の80%を地下に埋まったままにしておくことを誓約すべきなのです。

このキャンペーンを説明する、なかなかクールなデザインの動画もあります。(英語ですがアニメーションがわかりやすいです!)

化石燃料を歴史にする。
再生可能エネルギーを未来にする。

2015年パリ合意を成功させ、危険な気候変動を避け、持続可能で衡平な社会をつくるためには、脱原発と脱化石燃料を両立させていくことが肝要です。ながーいながーい人類の歴史を考えれば、化石燃料を使い始めたのなんてつい最近のこと。これからは再生可能エネルギーの未来に向かっていきましょう。というわけで、ぜひ今日と明日は化石燃料への「ダイベストメント」に思いを馳せて(?)頂ければと思います。

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2/14-15全国シンポジウム「市民が進める温暖化防止~クライメート・アクション・ナウ!~」も、グローバル・ダイベストメント・デイに参加しています。

明日2月14日から京都の同志社大学で始まる、気候ネットワーク主催の全国シンポジウム「市民が進める温暖化防止~クライメート・アクション・ナウ!~」は、国際キャンペーン「グローバル・ダイベストメント・デイ」に参加しています。ポスターセッションでは関連の展示がしますし、参加者で「化石燃料を”歴史”にしよう!」との思いを込めたフォトセッションを行う予定です。ぜひ、一緒にグローバルなキャンペーンに参加しましょう~。

なんと!この東アジアのキャンペーン担当のメンバーが、急遽台湾からシンポジウムに参加しに来日することにもなりました。全国シンポジウム「市民が進める温暖化防止~クライメート・アクション・ナウ!~」は、当日の飛び入り参加や部分参加も歓迎です。ぜひお越しください!

NPOでボランティア活動しませんか?

こんにちは。気候ネットワーク環境教育・デザイン担当岡本です。

ちょっと前の話なのですが、「NPOでの仕事について話してほしい」と、お世話になっている方に呼ばれて11月22日、神戸まで行ってきました。

NPOってなにをしているの?

「NPO就職・転職ガイダンス」という事で、この日の目的は、NPOはこんなにいいんですよ!という話ではなく、就職先の候補のひとつとしてNPOもありますよ。という内容です。

NPO法人ユースビジョンの芝原浩美さんから、NPOで働くことについてのお話があり、第二部、「私たちはこうやってNPOに就職・転職しました!」の中で、1日の仕事のスケジュールだったり、どういう経緯でNPOに入ったのかという話をしてきました。

ちなみに私の今日の一日(12/9)は、こんな感じでした。

9:00小学校での環境学習→13:00ランチ→13:30メールチェック→13:50シンポジウムのちらし校正→15:00環境教育のプログラムの検討資料作成/寄付チラシ作成/冬の環境学習の案内作成・発送→18:00ブログ書き→18:20明日準備→18:30終了(今日は至ってシンプルな日でした)

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幅広い層からの参加がありました

この日の参加者は大学生や転職を考えている社会人の方々でしたが、とてもたくさんの質問が舞い込んできました。ご意見も頂きました。ご参加下さった方、どうもありがとうございます!

たくさんの質問の、「どんな人材が求められているか」「どうしたらNPOで働けるのか」といったものが多かったので、学生さんにはその前のステップとして、「なにを、どうしたいのか」を聞いてみると、こんな回答がたくさんありました。

「環境の分野で働きたいんだけど、その中で何がしたいのか、分からない。」

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参加者のみなさんからは、様々な質問が寄せられました

 

「国際関係で、役に立ちたいけど、どんなかたちで関わるのが一番いいんだろう?」

何がしたいのか分からない、特にないという意見を学生から最近よく聞く中で、もうひとステップ進めた事がすごいと思った私ですが、そこでの案として、ボランティアという選択肢を提示してみました。

ボランティアやインターンは、これからどんな分野に進みたいのかを決める上でも、自分の興味のある分野で働く人達に出会う事ができるので、お勧めです。

私も大学に入学する以前、在学中、現在と、ずっとボランティアをしています。(活動の頻度は変化しますが。)

もちろん、「ボランティア」と、「働く」こととは違いますが、中の事を少しだけ、見る事が出来ると思います。そしてボランティア募集をしている側としてみれば、ボランティア活動にはどんどん参加してほしいと思っているのではないでしょうか。

私も気候ネットワークで働きだしてから、団体内外の人と関わり、仕事をするうちに、団体の全体が見えてきて、今私が思う団体としての存在意義が出来上がってきました。それは働く前に持っていたものとは違うもので、この場で初めて感じ、得たものでした。

これからボランティアをしようと思っている方には、ボランティア活動の意味にそういう観点も見いだしてもらえれば嬉しいです!

ボランティアのしかた

それから、もうひとつ。

大事な事だったので今ブログにしているのですが、「どうやったら気候ネットワークでボランティア出来ますか?」という質問がありました。

メールして下さい!

出来る事、やってもらえないかな。と思っている事、実はウェブに載っているよりもたくさんあります。

ウェブサイトもぜひ参考にして下さいね。)

NPOの性質なのか、お願いしたい事はボランティアがいない時にやってきて、ボランティアに来てくれる人がいる時には仕事が同じ時に出てこない事もあるので、やってみたい事活動出来る時間や頻度出来る事などをメールしてもらえると、個別にお声がけなんかもしやすいです。

ボランティアする準備ができたら、ぜひ、勇気を出して、メールをしてみて下さいね。

では、最後のメールチェックを終えた所で明日準備にかかります。

★直近のボランティア活動のお知らせ★

「専門的なことは分からない。」「何もボランティアをしたことがない。。。」そんな方も大丈夫です。

気候ネットワークでは、隔月に気候ネットワーク通信を会員の方を中心にお届けしています。その発送作業は全て手作業で、ボランティアの方にサポートをいただきながら行っています。

次回は12月26日(金)14:00頃から京都事務所で予定しております。
誰よりも早く、気候ネットワーク通信を読めるのと、スタッフや他のボランティアの方と、真剣な話から、他愛のない話をしながら、楽しく作業をしています。

「ちょっとだけしか…」そんな方も大歓迎です。ぜひ、覗きに来て下さい。気軽にメールしてくださいね。

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ボランティアの方と一緒に気候ネットワーク通信を会員の皆さんへお届けしています!

国際社会が懸念する日本の石炭火力発電所の建設ラッシュ

京都事務所の伊与田です。

きょう25日までドイツのボンで開催されている国連気候変動交渉会議。その現場では国際環境NGO・CAN(Climate Action Network)が、ニュースレター”eco”を日々発行しています。

昨日・10月24日のecoには、日本の石炭建設ラッシュを懸念する記事(Turn Back Japan: Don’t Go From Nukes To Coal)が掲載されました。国際社会は、日本の石炭重視の姿勢に強い懸念をもっていることがわかります。

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以下、ざっくりと仮の訳をつくってみました。

思いとどまれ、日本!:原発から石炭に行かないで

福島の悲劇的な原発事故は、原子力技術がいかに危険で持続可能でないものかを世界に示した。原発事故の影響を受けた人々は今でも苦しんでおり、日本にとって原発が選択肢にはならないことは明白だ。ECOは大震災の後、FITのおかげで再生可能エネルギーが急速に拡大したことに励まされてきた。個人や企業による省エネも、まだまだ日本に省エネの余地があることを証明した。だからこそ、ECOは、2016年から2027年までに25の石炭火力発電所(合計13,640MW)の建設計画があるというニュースに驚愕している。もし稼働すれば、毎年8200万トンものCO2を排出することになるだろう。ショックなことに、こういった計画のほとんどが福島事故後に検討されたものであり、今後もさらに増えそうなのだ。

エネルギー転換は全ての国で急務で、日本でも、正しい方向に転換することが重要だ。ヒントをあげよう:私たちがエネルギー転換について話すときは、CO2をたくさん出す技術に向かうのではなく、そういった技術をやめていくことを考えている。石炭は汚い化石燃料だ。IPCCは、もし我々がCO2をたくさん排出するインフラへの投資を転換しなければ、将来の排出削減が困難になるだろうと警告している。

ECOは、各国がIPCC報告書を読んでいるものと思っているが、もしかしたら重要な点が翻訳の都合で省略されているかもしれない、すなわち、石炭は原子力の代わりとして必要とされていないのだ。日本政府自身の研究でも、日本には大変な再生可能エネルギーポテンシャルがあることもわかっている。

ECOは、日本がとうとう本日、国別削減目標(約束草案)の議論を開始したと聞いた。うまくやる秘訣を教えようーつまり、石炭の拡大を止めることだ。そうすれば、2015年3月までに意欲的な削減目標を出しやすくなるだろう。

(10/24eco仮訳)

温暖化する地球、日常化する異常気象?

京都事務所スタッフの伊与田です。先日の台風でも各地に被害がでたようですね。気候が大変なことになっているような気がする今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

歴史的な記録が、次々と塗り替えられている

2014年6月1日、京都は観測史上最速で猛暑日を記録したばかりか、同年7月26日には、7月の気温としては観測史上最高の38.3℃を記録したと伝えられています。8月の気温は例年より低めでしたが、全国各地を未曾有とも言われるような気象災害が発生しました。記録的豪雨によって広島、京都などで甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しいと思います。

日本だけでなく、このところインド、フィリピンなどでも豪雨・洪水で被害があり、フランスのモンペリエでは9月末に数時間で半年分の雨が降ったとのこと。なかなか尋常じゃないですね。

2050年の天気予報 日本版

ちなみに、世界気象機関は国連気候サミットにあわせて「2050年の天気予報」という動画を公開しています。今後の気候変化をイメージするにはわかりやすくておすすめですよ!

2014年夏の豪雨と地球温暖化?

2014年夏の各地の豪雨も、温暖化との関係がどうなんやろと言われるところです。気象庁の異常気象分析検討会が9月3日に発表した資料では、次のように書かれています。

地域気象観測所(アメダス)における、1時間降水量が50mm 以上や80mm以上となった年間及び8月の観測回数には、増加傾向が現れています。また、我が国の高層気象観測による上空の水蒸気量にも増加傾向がみられます。 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第5評価報告書第1作業部会報告書、地球温暖化の進行に伴って今世紀末までに、我が国を含む中緯度の陸域のほとんどでは極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高いこと、大気中の水蒸気量が世界平均で 5~25%増加すると予測しています。

これらのことから、我が国における短時間強雨の増加傾向には、地球温暖化が関連している可能性がありますが、観測期間が短いことから、地球温暖化との関連性をより確実に評価するためには今後のさらなるデータの蓄積が必要です。

(出典:気象庁『平成26年(2014年)8月の不順な天候について ~異常気象分析検討会の分析結果の概要~』P.5)

すでに地球温暖化で豪雨が増えている可能性はあるが、現時点では確実なことは言えない、ということですね。ただ、IPCCなどの科学的知見では、温暖化のせいでこれから豪雨が増えていくという予測も示されているということです。これまでの豪雨について因果関係の完全な証明が難しいからと言って、これから対策をしなくてよいということにはならないと思います。

「異常気象は温暖化のせいですか?」

地球温暖化問題のことで人と話していると、「異常気象は地球温暖化のせいですか?」と聞かれることがあります(ちなみに、気象庁は異常気象のことを「30年に1回程度で起こる現象」と定義しています)。

科学的には、それぞれの異常気象について、「100%地球温暖化のせいだ!」とは言いきるのは難しいそうです。気候が変わる要因には人間活動のCO2排出による地球温暖化の他にも、自然的なもの(エルニーニョ現象とか)があります。人為的な地球温暖化が進む前にも、たまには、大変な豪雨や熱波は起こったはずです。それに、都市部の猛暑の場合なんかは、ヒートアイランドの効果も無視できません。

「いかさまのサイコロ」のたとえ

この、温暖化と異常気象の関係は難しいのですが、ひとつわかりやすいたとえ話があります。気候ネットワークのシンポジウムにもお招きしたことのある気候学者・江守正多さんの著書『異常気象と人類の選択』(2013年・角川SSC新書)にある「いかさまのサイコロ」の話です。

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サイコロの6の目が「異常気象」だとします。

サイコロを何度も振るといろんな目が出て、たまに6の目も出ます。「異常気象」はふつうのサイコロを振っていても、たまに起こることです。

さて、ここに、6の目が出やすくなるように細工されたイカサマサイコロがあるとします。これが温暖化した気候に対応します(温暖化する前がふつうのサイコロ)。このイカサマサイコロを何度も振るとやはりいろんな目が出て、たまに6の目も出ます。

数回振ったくらいでは、ふつうのサイコロとイカサマサイコロは区別がつきませんが、100回くらい振ると、明らかにイカサマサイコロのほうが6の目が出る回数が多くなることに気が付きます。これが、「温暖化のせいで異常気象が増えているといえるかは長期的に見なければわからない」ということです。

江守正多(2013)『異常気象と人類の選択』P.48-49

このたとえ、わかりやすくないですか?この書籍には、他にも温暖化の科学を考える上で参考になるお話がたくさんありますのでおすすめです。後ろの方の政策に関する話はちょっと違うかも…と思うところもありますが、示唆に富む内容と思います。

因果関係の複雑さを受け止め、乗り越える

こういう、因果関係の複雑さ、説明の難しさは、地球温暖化と異常気象に限った話ではありません。統計的に、たばこを吸う人は肺がんになるリスクが高いことが知られていますが、たばこを吸わない人も肺がんになることがあります。

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私が高校生のとき、ヘビースモーカーな保健体育の先生がいました。保健の授業で「たばこを吸ったらがんになりやすくなるから君たちはたばこはだめだ!」と説明する一方、「でも、俺はがんになってもいいからたばこを吸うんだ!」と言っていて、おいおい…と思った記憶があります。がんになりやすいと知っていながらたばこをやめられないのは、温暖化が進んで異常気象が増えるとわかっていながらCO2を出し続けるのと、少し似ているのかもしれません…。

不確実性がありながらも、リスクがあるのを理解した上でどんな行動を選択するのか?これは、温暖化だけでなく、ありとあらゆる問題につきまとうことです。自分なりに信頼できる科学的知見に学びながら、とるべき選択を考えることが大切なのだと思っています。

 

関連記事:「観測史上●●記録」を量産する時代~人類の生存を脅かす気候変動~

アイスバケツチャレンジとALSと須田さん

東京事務所の桃井です。

アイスバケツチャレンジがブーム

この夏、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の撲滅と寄付を訴え、有名人が次々と氷水をかぶるパフォーマンス「アイスバケツチャレンジ」がネットでの映像などを通じて話題になりました。いろいろな賛否が出る中で、そろそろブームも収束しつつありますが、このキャンペーンでALSという難病について世界中に知れ渡り、多額の寄付が集まったという点で成功だったと言えるのではないでしょうか。そんなキャンペーンのブームに乗じて、今回は書き留めておきたいことがあります。

ALSと須田さん

実は、気候ネットワーク副理事長の須田春海さんが、2009年にこのALSを発症し、現在、東京都内のご自宅でこの病気と闘っています。私は須田さんがこの病気にかかるまで、ほとんど病気のことは知りませんでした(ホーキング博士と同じ病気と言われて、「ああ、あの筋肉が固まってしまう病気か」とわかる程度でした)。ALSは筋肉が萎縮してだんだんと体の自由がきかなくなっていく神経系の難病で、治療法が確立していません。今、須田さんはすでに体のほとんどの部分を自分の意志で動かすことができず、喉を切開して人工呼吸器をとりつけ、筋肉が硬直していく恐怖と戦いながら毎日を過ごしておられます。

そのような中で、須田さんは、ほぼ毎日、共通のMLやブログなどでご家族やヘルパーさんの介助のもとにメッセージを発信されていますが、その内容は現政権に対しての危機感を中心に、中には気候変動問題などを憂うものもあります。体の自由がまったくきかない中で、一言発信することがどれほど大変なことか私たちの想像をはるかに超えるものだと思いますが、逆にその言葉に込められたメッセージの重さにも感じるのです。

気候ネットワークと須田春海さん

もともと、京都が本拠地である気候ネットワークに東京の事務所があるのは須田さんが主宰されていた市民運動全国センター(センター)に、気候ネットワーク前身の気候フォーラムの時代から東京オフィスを構えたのがきっかけです。センターには、今も10数団体にもわたる様々な市民団体がオフィスを構えており、そのほとんどの団体は設立で須田さんが関わった団体です。

私自身、気候ネットワークのスタッフになったのは2008年からですが、それ以前から(大学生の頃から)様々な団体に関わる中で、いずれの活動においても須田さんは重要なアドバイザーでした。様々な政治の情勢などを分析し、今何をすべきかを実に的確なアドバイスを投げてくれます。

”気候災害被害者のネットワークを”

 須田さんが数年前から気候ネットワークに投げかけられていたことの一つに、気候災害による被害者の全国ネットワークを作ったらどうかということがありました。

確かに今、夏の高温化による熱中症患者の増加、集中豪雨やゲリラ豪雨、大型台風などによる暴風・暴雨による災害、突風や雹など極端現象による被害、つい最近ではデング熱の感染など、かつてから温暖化のリスクとして呼びかけられていたことが現実のものになってきています。すでに多くの人が気候変動のリスクにさらされ、そのリスクは今後ますます高まってくるでしょう。単なる自然災害ということではなく、人間が排出した温室効果ガスが原因でこうした災害が巨大化しているわけで、気候変動の被害を受けているということの認識を持つためにも、”被害者”のネットワークを構築することは必要かもしれません。

つい先日の広島での土砂崩れで大きな被害があったときにも、須田さんは「異常気象、広島だけではない」と打ち込まれていました。気候変動の被害が具体的に顕在化してくることで、ダム・堤防・防波堤などの土木工事など含む適応策への要求が高まってくるのではないかと思いますが、一方で、温室効果ガスの排出を削減するという根本的な対策がままならないことについて国民的な議論をしていく必要があるでしょう。須田さんのご示唆を頭におきつつ、気候ネットワークとして何ができるのかを改めて考えていきたいと思っています。