2018年12月、ポーランドのカトヴィツェで国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が進行する間に、BankTrackが主導する『Fossil Banks, No Thanks! 』キャンペーンのアクションの一貫が行われました。
今回は、簡単にこの報告をします。
2018年12月、ポーランドのカトヴィツェで国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が進行する間に、BankTrackが主導する『Fossil Banks, No Thanks! 』キャンペーンのアクションの一貫が行われました。
今回は、簡単にこの報告をします。
東京オフィスの鈴木です。インターンの朝日さんの報告に続き、350.orgのワークショップ参加報告その1を掲載させていただきます。
関連記事:NO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料産業からの投資撤廃(ダイベストメント)」に参加して
ダイベストメント(投資撤退)は投資を止めるというものですが、資本運用において株式を売却する以外にも、新たな投資をしないという選択もダイベストメントです。
今回のワークショップでは、ダイベストメントの基本を理解し、この運動を広げるためのキャンペーンスキルや戦略の考え方を学びました。化石燃料は地球温暖化に深刻な影響を及ぼしています。気候変動の場合、金融機関から化石燃料産業(特に石炭産業)への投融資をやめさせることが急務です。
日本国内でも続々と石炭火力発電所の建設計画が増えていますが、日本が東南アジアやアフリカなどの発展途上国における石炭関連設備の建設に多額の融資をしていることにも留意すべきです。日本は、OECD加盟国の中で最大(2007年から2014年の8年間で約2兆円)の石炭支援国であることを考えれば、石炭へのダイベストメントにおいて日本の責任は重いのです。
プログラムの中では、ダイベストメントを進めるためのキャンペーンのステップを順々に考えていきました。
まずゴールを明確に意識した上で、意思決定者やキーアクターを洗い出し、そこで初めて起こる変化の仕組みを考えます。意思決定者や影響の伝わり方を考えた上で、何を起こせばどのような変化が起こせるかを段階的に考え、その変化を起こすためにできる行動の順番を考えるのです。
このキャンペーンのプロセスは面白いと思いました。目的を設定すると、その目的に向けてのプランとその行動を起こすための戦術や方法論に短絡的に飛びつきがちです。しかし、意思決定者やキーパーソンを分析し、何をすれば意思決定者を動かせるのか、Theory of Change(目標作り)とCritical Path(プラン)を段階的に考える手法は、色々な場面で応用ができるのではないでしょうか。
ワークショップで紹介された海外の事例では、それぞれの国の事情も異なる中での成功体験の裏に、地道な活動と行動することの大切さが伺えました。
さて、同じような方法が日本でも成功できるのでしょうか?成功例に勇気づけられても、同じやり方をすれば成功するという簡単なものではありません。いくつかのグループに分かれて日本社会の中の「見えない壁」について意見を出し合い、日本の大学や金融機関、地方自治体、年金・保険機構の資金運用についての調査結果を踏まえて、各グループが選択したターゲットに向けたメッセージの出し方・内容を考えてみました。
ダイベストメントに関するキャンペーンのプランやポスターの作案を通して改めて気づくのは、人に何かを伝えるためには、その時々の状況や相手によって、(発信者の)思いをいかに伝えるかが大切だということです。
日本人の物事に対する認識レベルや社会的背景、行動することへの抵抗、問題意識の差、関心の薄さ、社会構造(意思決定プロセス)の複雑さ活動資金不足…などなど課題は山積みですが、日本でキャンペーン展開ができないということはありません。
現に、安保法案反対運動では今だかつてないほど大勢の人が夜な夜な国会前に集合し、声をあげています。小さな活動が集まり、つながり、協調することで大きな流れを作ることができるのです。
日本も変わりつつあります。「ダイベストメント」という言葉が一般的になるには、まだ時間がかかるかもしれませんが、脱石炭に限らず、様々な行動につながっていくことを期待しています。
はじめまして、9月から気候ネットワークでインターンをしています、朝日遥子と申します。
私は現在、京都大学大学院の修士1年生です。大学院のカリキュラムとして3ヶ月間のインターン研修制度が設けられており、修論のテーマに関係した機関またはプログラムで働くことが義務付けられています。私は気候ネットワークにて国連気候変動交渉関連の業務を中心に、NGO業務について幅広く働いています。
さて、9月19日、20日に行われました、350.org Japan主催のNO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料作業からの投資撤廃(ダイベストメント)」に参加いたしました。2日間朝から夕方までダイベストメントについて、主にワークショップを通じて理解を深めるといったものでした。
まず、気候変動の現状や“ダイベストメント(DIVESTMENT)”について学びました。
気候変動の原因となる温室効果ガスは、化石燃料を燃やすことで排出されます。危険な気候変動を避けるために、科学者たちは、世界中に埋蔵が確認されている化石燃料資源(石油、石炭、天然ガス)の8割は地中に残しておく必要があるとしています。つまり、今まで依存できた化石燃料資源の使用をやめて、自然エネルギーへ急速に移行する必要があります。
そのために「投資撤退(ダイベストメント:Divestment)」という活動があります。これは 不道徳で非倫理的な取引に反対するための戦術の一つで、資産運用者に対し、特定の保有株式、債券、投資ファンドの売却を要求することです。
脱炭素社会を目指す市民団体や学生は、安全な気候をまもるため、そして持続可能な未来を実現するため、公的資金を運用している機関投資家や民間銀行などに対し、化石燃料産業への投資撤退を要求しています。この動きを「ダイベストメント」と呼んでいます。
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そもそも「ダイベストメント」は、1970-80年代に南アフリカのアパルトヘイト「人種隔離政策」に反対する国際的キャンペーンで活用された運動です。当時の大学生が、南アフリカ政府関連企業の保有株式、債券、投資ファンドの売却を要求し、経済的な側面から、人種差別に反対する国際社会からのプレッシャーをかけたのです。米国で始まったこの運動は、1989年には26州、90 都市の大学155校に広がり、アパルトヘイト撤廃の後押しになりました。
気候変動は、アパルトヘイトと同じように、人類にとって深刻な問題です。このため、アパルトヘイトと同じように、化石燃料産業からのダイベストメント運動も世界中に広がっているのです。
すでに、43か国において、430の機関・2040の個人が、2.6兆米ドルもの資産について、化石燃料のダイベストメントを確約しているそうです。
印象に残ったのは、海外におけるダイベストメントの成功事例が紹介された、ディスカッションでした(インターネット中継でした)。スウェーデン、イギリス、オランダで実際にダイベストメントを成功させた3つの事例について紹介していただきました。
中でも、スウェーデンの事例は大学を対象としたダイベストメントだったのですが、大学の委員会が開かれる時間帯に合わせてダイベストメントを訴えるデモを行う、1年半の署名活動をもとに、ダイベストメントを求めるオープンレター(公開書簡)を大学側へ提出する、メディアを利用するなどの活動を通して、大学の一部の資金に関してダイベストメントさせることに成功したというお話でした。私は大学院生なのでキャンペーン内容についてより身近に感じることができ、非常に刺激を受けたお話でした。
ダイベストメントに関する海外事例や実際の化石燃料への投融資額の調査結果をうけて、ダイベストメントのキャンペーンを企画するというワークショップを行いました。まずはキャンペーンにおけるGoalと対象(大学、地方自治体、銀行、保険、年金基金から一つ)を決め、その組織における最高意思決定者が誰なのかを考えました。そして最高意思決定者に影響を与えるキーパーソンやキャンペーン方法について各自で案を出し合い、一つのキャンペーンとして企画した案をグループごとで発表し合い、意見交換をしました。
ちなみに私たちのグループは“上智大学”を対象としたダイベストメントを企画しました。
このようなNGOのワークショップに参加するのは初めてだったのですが、参加されたみなさん率先して発言したり、他のNGOでの活動も積極的に参加していたりと、非常に意欲的で行動力のある方たちばかりだと感じました。みなさん、温暖化を解決したいという同じ目標に向かっているのですが、ワークショップを通じて、効果的なアプローチに対する考え方やキャンペーンにおける課題の着眼点の違いなどを垣間見ることができ、非常に興味深く刺激的なワークショップでした。
また、このワークショップを通じて、積極的に行動することが大事だと実感しました。確かに、温暖化問題にはその影響など不確実なこともあり、またキャンペーンにおいても実行可能性や実現可能性など不透明な部分も多々あるのですが、そこに少しでも可能性があるのならば私たちは行動しなければならないと実感しました。
そのため、私はこのダイベストメントについて、まずは情報を友人等に共有し、ダイベストメント活動に対して認知を高めたいと思います。また自分自身でダイベストメントについてより深く調べ、日本初のダイベストメント実現に向けて色々な活動に参加していきたいと思っております。
みなさんもぜひNGOの活動に少しでも興味を持っていただいて、調べたり参加したりしていただければ幸いです。まずは、10月10日に京都で開催されるシンポジウム「市民が進める温暖化防止」です。350.org Japanの古野さんも登壇されるので、ぜひみなさんシンポジウムに来てみてくださいね!
イベント:2015年10月10日(土)Climate Action Now!シンポジウム「市民が進める温暖化防止2015 ~パリ会議まで50日!~」[京都]
まず、350.orgは国際的環境団体で、気候変動問題に取り組むためアメリカで生まれました。この団体はオンラインツールを駆使して草の根に働きかけ、人々が気候変動問題に対して実際に行動を起こすためのキャンペーンを展開しています。この”350”とは、地球が従来の環境を維持するうえで上限となる大気中の二酸化炭素濃度(ppm)を示しており、多くのイベントを通じて、350.orgは気候変動へのアクションという目的で地域レベルでの新たなつながりを形成しています。