気候ネットワークは、長期の大幅削減に向けて低炭素社会のビジョンを描き、さまざまな提案を行っています。

2050年までの中長期削減ビジョン~「2℃目標」を達成するために~

世界全体で「2℃目標」を達成するためには、世界全体で2050年50%削減、先進国が2050年に80~95%の削減が必要だとされています(IPCC 第4次評価報告書)。

気候ネットワークは、中長期の大幅削減に向けて低炭素社会のビジョンを描き、そのために必要なライフスタイルのあり方や政策を提案しています。目下の課題は、現状の政策や対策が、長期的な大幅削減に向かうための道筋につながっていないことです。

気候ネットワークでは、2050年までに80%以上を削減するビジョンを描き、その道筋を描くために必要な政策提言・キャンペーンを行なっています。

 

「めざせ!温暖化政策トップランナー」キャンペーン

気候ネットワークでは、2008年3月から2009年末までの期間を通じて、日本社会を低炭素・温暖化防止型に転換していくために、政治を動かし、市民の立場から温暖化防止・気候保護のための立法を実現していくことを目指して、国内でキャンペーンを行いました。

キャンペーンの背景

2008年からいよいよ京都議定書の第1約束期間が始まり、2050年には世界全体で半減以上、また、先進国は2020年に90年比で 25~40%の削減が必要ということを共通認識として、EU、アメリカ、オーストラリアで次々と具体的な温暖化政策が提案され、さらに、英国、ドイツ、米 国でなどでも中長期の排出削減目標を設定し、国内排出量取引など経済的仕組みを盛り込んだ気候保護のための国内立法が進んでいます。

一方、日本は自らの中長期目標を設定できず、温室効果ガスの排出はいまだに増加傾向(基準年13.8%増・2005年)を続け、このままでは第1約束期間の目標達成に全く届きそうもありません。

私たちは、この深刻な状況をこれ以上引き延ばすことなく、一刻も早く日本を温暖化防止型の社会に転換するために、改めて"市民の声と力"を結集する必要 があると考えています。とりわけ、すでに始まった第1約束期間の前半にあたる今、また、夏には洞爺湖サミットが開かれるという時期に、さらには、2009 年末に予定されている次期削減目標に関する国際合意がなされるまでの世界的に重要な期間に、日本の政治を世界の取組に先頭まで押し上げることがとても重要 だと考えています。

そこで、気候ネットワークでは、2009年末に予定されている次期削減目標に関する国際合意がなされるまでの間をターゲットに、日本の市民社会の力を結 集させ、日本の政治を動かし、実行性のある政策を導入することに最大限の力を注ぐために、全国的に「キャンペーン」を実施することを決意しました。

キャンペーンの目的

 キャンペーンでは、温室効果ガス排出の少ない持続的な日本社会を構築していくために、中長期にわたって温室効果ガスを大幅に削減する目標をしっか り設定すること、また、削減を確実に達成していくことができるよう温暖化政策を法制化し、早期実施に踏み出させることを目指します。そのために、市民の立 場から気候保護法(仮称)を提案し、その実現を目指します。

キャンペーンの概要

 キャンペーンは、まず、2008年7月に開催される洞爺湖サミットまでを一つの転機ととらえ、サミットに向けた政治的な動きをとらえたムーブメン トを作り、キャンペーンの柱となる中長期目標設定とそのための政策の基本的な方向性について基本的な合意形成を図ります。また、それ以降は、2009年末 に予定されている京都議定書第2約束期間となる国際的な次期枠組みに合意するまでの期間を通じて、具体的な政策実現のための議論の展開、やイベントの開催 など、市民参加型のキャンペーンを多面的に展開していく予定です。

キャンペーンの内容

 キャンペーンでは次のような活動を予定しています。またキャンペーン内容は随時更新し、発展・拡大していく予定です。個々の活動への参加方法はそれぞれの内容をご覧ください。

気候保護法提案~将来世代に安全な大気と生活を引き継ぐために~

気候ネットワークでは、日本の国としての低炭素社会への筋道を、中長期的な視点から、将来世代に安全な大気と生活を引き継ぐために、気候保護法案として提起し、その成立を求めることにしました。

現在の「地球温暖化対策推進法」に欠けている点を補足し、又は抜本的に改正し、名称も「気候保護法」と改めることを提案します。

気候保護法-第1次案

 本法案は第1次素案として提起し、今後、市民・NGO、議会関係者、事業者の皆様からの意見や討議を期待します。これがたたき台となり、よりよい姿となって気候保護を目的とする立法が早期に実現していくことを、心から希求するものです。

気候保護法-第1次案(2008/04/16)(PDF300KB)

地方議会の決議キャンペーン・・・市民・地域の声を届けるために

中長期の目標を掲げ、実効力のある政策の導入を要請する地方議会の決議のとりまとめを、地域の市民・NGOと協力しながら提案し支援します。地方議会の決議を通じて、G8サミット前、そしてそれ以降も引き続き、市民・地域の声を政府へ届けます。

日本の排出実態の把握・・・効果的な削減手段の手引きとして

日本の温室効果ガス排出の約9割を占めるのがエネルギー起源のCO2であり、事業者による排出が最大ですが、その内訳は必ずしも明らかではありません。そ こで、経年的な情報開示請求と開示情報の分析から日本の排出実態の解析を深め、日本の効果的な削減手段の検討に活用します。

実効性のある政策の提案・・・排出量取引制度・炭素税の実現のために

国民的な議論をもとに、大規模の排出事業所が削減するための確実な手法であるキャップ&トレード型の排出量取引制度や、全てのセクターで排出削減につながる炭素税の具体化を図り、実現を図ります。

シンポジウム・シリーズ

キャンペーンに関連するテーマで、随時、シンポジウムや会合などを開催し、公開で情報共有・議論の展開を進めていきます。