気候ネットワークは、2019年6月11日、みずほフィナンシャルグループ(みずほ銀行)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友銀行)、三菱フィナンシャルグループ(三菱UFJ銀行)の3行に対し、『電源開発および宇部興産による石炭火力発電事業への融資に関するお願いとご質問』を送付しました。3行からの返信が揃いましたので、その結果をご報告します。

【質問書】3大銀行に電源開発および宇部興産による石炭火力発電事業への融資に関する質問書を送付(2019/06/11)

質問は、電源開発株式会社と宇部興産株式会社が、2019年4月24日に環境影響評価手続きを休止した西沖の山発電所(仮称)について、山口宇部パワー株式会社を通じて酸素吹石炭ガス複合発電(IGCC)の計画変更を検討していること等を受けて、各社が掲げる石炭ポリシーにおけるIGCCの位置づけなどを確認する目的で行いました。

各社の対応は下表の通りです。三菱UFJからIGCC関連について回答があったことを除いては、個別案件である、あるいは公開を前提にしているため回答を控えるという内容となっています。また、気候ネットワークが、石炭火力を考える東京湾の会と協力して実施した石炭火力発電所への融資ついての質問した際※には、面会に応じた銀行がありましたが、今回は残念ながら、メールあるいは書面でのみの対応となりました。

? みずほ 三菱UFJ 三井住友
質問に対する回答 ? △ 一部? ?
返信 ◯ 6/14 ◯ 7/8付 ◯ 6/12
面会 ? ? ?

みずほ

メールにて、「ご書簡の中でご質問を頂いておりますが、弊行と致しましては大変残念ながら、書簡末尾に「回答内容については公開される可能性がある」旨記載されておりますことから、ご回答は差控えさせて頂く他なく、何卒ご理解の程お願い致したく存じます。
猶、弊行は、ご融資にあたっては引続きエクエーター原則を遵守して参ります旨、申し添えさせて頂きます。」

三井住友

メールにて、「ご質問の件に関しては、個別の取引につき、回答は差し控えます。
なお弊行では、石炭火力発電所への新規融資は、国や地域を問わず超々臨界及びそれ以上の高効率の案件に融資を限定しております。
また、当社として新興国等のエネルギー不足解決に貢献し得るなどの観点から、適用日以前に支援意思表明したもの、もしくは日本国政府・国際開発機関などの支援が確認できる場合においては、上記の方針の例外として、慎重に対応を検討してまいります。」

三菱UFJ

郵送(7/8付)三菱UFJからの書簡_20190708にて、

質問1 (主旨)石炭ガス複合化発電(IGCC)をどう認識いるか
「『MUFG環境社会ポリシーフ ーム ク』において、温室効果ガス排出削減につながる先進的高効率発電技術や二酸化炭素回収・貯留技術(Carbondioxide Capture and Storage, CCS)などの採用を支持する旨、公表しております。IGCCは先進的高効率発電技術の一つと認識しています。」

質問2 (主旨)IGCCも原則新規融資禁止の対象となるのか
「『MUFG環境社会ポリシーフ ーム ク』において、新設の石炭火力発電所へのファイナンスは、原則として実行しない旨、公表しており、採用技術による区分は特段、設けておりません。但し、当該国のエネルギー政策・事情等を踏まえ、OECD公的輸出信用アレンジメントなどの国際的ガイドラインを参照し、他の実行可能な代替技術等を個別に検討した上で、ファイナンスを取り組む場合があります。

質問3 (主旨)事業者がコーポレートレートファイナンスで融資依頼をしてきたらどう判断するのか
「一般論として、赤道原則は、大規模な開発プロジェクト等への融資にあたり、プロジェクトを実施する事業者等が環境・社会に対して適切な配慮を行っているかを確認する為の民間金融機関の自主的な枠組みであり、資金確保の蓋然性を判断するものではありません。赤道原則の適用可否にかかわらず、MUFGは『MUFG環境社会ポリシーフ ーム ク』に従って、環境・社会配慮実施状況を確認の上、案件採り上げを判断しております。尚、誠に申し訳ありませんが、守秘義務の観点から、個別の案件に対する回答は差し控えさせていただきます。」

※参考URL

【報告】みずほ、三菱UFJ、三井住友、農林中金の回答及び対応について