今週開催されるG7において、日本政府は唯一、石炭火力発電所への支援を継続していることで孤立を深め、環境団体からの猛烈な圧力に直面している。

本日、6月7日、35の環境グループが組織するコアリション「No Coal Japan」と、日本・オーストラリア、ヨーロッパ・韓国・米国のそれぞれにおいて2030年の脱石炭を目指すキャンペーン「Beyond Coal」が協力して、イギリスのフィナンシャルタイムズ紙(アジア版)に、世界第 3 位の経済大国である日本に対し、石炭から脱却し、再生可能エネルギーへの投資を行うように呼びかける全面広告を掲載した。

G7の事前協議で日本は、国外への石炭支援を終わらせようとする各国の合意を度たび妨害し、2030年までに国内の石炭を全廃することに同意することを拒んできた。抜け穴のある石炭政策を維持しようとする日本の主張は、最終的なG7合意を台無しにしかねない危険性を有している。

気候ネットワークの国際ディレクターの平田仁子は、「日本は、G7諸国の中で唯一、いまだに国内で石炭火力発電所を建設し、国外の石炭火力に資金提供している国です。」と述べている。

日本は、2050年までにネットゼロを達成すると表明したにもかかわらず、現在でも6ギガワット(GW)相当の新規石炭火力発電所の建設を進めている。また、国外の石炭火力発電所への資金提供も止めずに、バングラデシュのマタバリ2石炭火力発電所およびインドネシアのインドラマユ石炭火力発電所の建設に向けたODA支援を積極的に検討している。本プレスリリースと同日、市民社会グループが、この2つの計画に対する支援検討を即中止し、国外の化石燃料ファイナンスを終了させるように求める共同声明を発出している。

日本は、最近発表された国際エネルギー機関 (IEA)のネットゼロへの道筋において、新規の化石燃料は不要との見解に対する反論を牽引してきた。この報告書でIEAは、豊かな国々はより早急に化石燃料のフェーズアウトを進め、発展途上国における公平な移行のための資金調達を支援する必要があると示している。日本の経済産業省(METI)の国際問題担当副局長は、日本政府は、石油、ガス、および石炭への投資を直ちに止めるつもりはないとした上で、IEAのシナリオは「日本政府の方針とは一致しない」と述べた。

ヨーロッパのBeyond Coal (Europe Beyond Coal)のキャンペーンディレクターであるカトリン・グッドマン(Kathrin Gutmann)は、「ヨーロッパやアメリカで既に見られるように、先進国では2030年までに石炭火力発電の段階的廃止(フェーズアウト)を完全に実現することに向けて動いています。日本も2030年のフェーズアウトを約束すれば、国際コミュニティにおける多くの気候変動問題を解決し、それに加えて日本が費やしている多くの時間とお金を無駄にせずにすむようになるでしょう。」「G7サミットは、菅義偉首相が他のG7諸国と肩を並べ、OECDにおける石炭の終焉を加速させるための機会とするべきでしょう」と述べている。

オーストラリアのBeyond Coal(Australia Beyond Coal)に参加するグリーンピース・オーストラリア・パシフィック.の最高経営責任者(CEO)であるディビッド・リッター(David Ritter)は、以下のように述べている。「日本で燃焼されている石炭の大部分はオーストラリアから輸入されています。そして石炭は、気候変動の最大の要因です。」

「日本と世界中の人たちは、2019-2020年に発生した山火事でオーストラリア各地が焼野原となり、人々や命が失われ、野生生物が壊滅的な被害を被ったことを恐怖とともに見ていたことでしょう。このような気候変動を引き起こす最大の原因は、石炭の燃焼です。人々と自然、野生生物をさらなる気候変動の影響から守るために、日本はオーストラリアの石炭への依存を断ち切り、2030年までに石炭から再生可能エネルギーの利用にシフトすることを約束すべきです。」

また、オイル・チェンジ・インターナショナルのシニア・キャンペーナーであるスザンヌ・ウォン(Susanne Wong)は、「日本の石炭中毒は、気候変動への取り組みを弱めています。日本は、インドラマユとマタバリ2への支援をやめ、国内外の石炭への支援を止める必要があります。」と述べている。

前述の気候ネットワークの平田仁子は、「今年、菅首相は、2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減、さらに50%の高みに向けて挑戦するという積極的な動きを表明しました。この移行は、雇用を創出し、国内の投資を促し、気候変動に関する国際社会における日本の評価を改善することにつながるでしょう。石炭への海外支援中止と国内石炭の全廃に踏み出さなければ、日本に対する信頼性は大きく損なわれてしまうでしょう。」と述べている。

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掲載リンク

Japan Beyond Coal 日本の石炭火力発電所を2030年までにゼロにしよう
No Coal Japan なぜ日本は石炭をやめなければならないのか

本プレスリリースに関する問い合わせ先

気候ネットワーク 平田仁子 khirata [at] kikonet.org

オイル・チェンジ・インターナショナル スザンヌ・ウォン(Susanne Wong) susanne [at] priceofoil.org