2016年5月26日から27日にかけて、三重県伊勢志摩にて、G7サミットが開催されました。サミットが日本で開催されたのは8年ぶりです。日、米、仏、独、英、伊、加の首脳が様々な課題について議論し、27日には首脳宣言が発表されました。

 

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気候変動・エネルギーが重要議題

今回のサミットの主要議題にはこれまでのサミットと同様、「気候変動・エネルギー」が位置づけられました。特に、今回のサミットは、2015年の気候変動に関するパリ協定の合意が実現してから初めて開催されるものです。また、「質の高いインフラ投資」も気候変動・エネルギーに関連する議題です。どのようにパリでの合意の実施を加速させるか、どれくらい野心的なメッセージを出せるかが注目されました。

G7サミットは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のもとで開催されるCOPのような、すべての国が参加するプロセスではありません。しかし、200ヶ国ほどある国々の中、たった7ヶ国のみで世界全体の温室効果ガス排出量の3割以上を占めていますし、G7の世界への政治的・経済的な影響力も小さくありません。このため、G7諸国には、その責任と能力に見合った革新的な取組が求められるのです。

 

G7伊勢志摩サミットに求められていたこと

気候ネットワークも参加する気候変動NGOネットワーク"Climate Action Network Japan(CAN-Japan)"は、G7伊勢志摩サミットに参加する首脳に向けて次の声明を発表しています。

G7首脳への気候変動に関するCAN-Japan声明 G7首脳は気候変動対策を強化し、化石燃料からの脱却を約束すべき(CAN-Japan・2016年4月19日)

  1. 可能な限り早く、あるいは遅くとも2020年までに、長期的な温室効果ガス低排出開発戦略を作成し、提出する
  2. できる限り早期にパリ協定を批准し、2020年までの早期発効を確保する
  3. 気候行動の実施を強化し、正式提出の前に約束草案(INDC)を更新する
  4. 2050年までにエネルギー部門を脱炭素化する
  5. 化石燃料(特に石炭)及び原子力からの脱却を加速する
  6. 再生可能エネルギーを100%へと増加させ、エネルギー効率を向上させる
  7. 2020年まで及びそれ以降も、資金支援を引き上げる

*声明の全文はこちらからご覧ください

温暖化対策・G7サミットの担当など様々なチャンネルを通じてこの声明を日本政府に届けました。

 

G7伊勢志摩サミット首脳宣言の評価

27日にG7伊勢志摩サミットは首脳宣言を発表して閉幕しました。

外務省ウェブサイト|G7伊勢志摩サミットの概要や首脳宣言など

気候ネットワークと3つの環境NGOは、発表された首脳宣言に対して、次の共同声明を発表しています。

【プレスリリース】 G7伊勢志摩サミット閉幕:気候変動・エネルギーに関するNGO共同声明 G7、人類の生存を脅かす気候変動に対処するリーダーシップを発揮できず(2016/5/27)

気候変動・エネルギーの分野は、G7伊勢志摩サミットの議題の一つに取り上げられていたが、会議全体の中での気候変動問題の位置づけは極めて低いものであった。人類にとって甚大な脅威であるこの問題に対するG7の対応として全く不十分なものである。とりわけ昨年のエルマウサミットでの本課題に対する政治的なモメンタムを引き継ぐとともに、歴史的な合意であるパリ協定の採択後のサミットとして、政治的なリーダーシップを発揮する重大な機会を逸することになってしまった。日本は、G7の中で唯一石炭火力を推進する国であり、気候変動問題及び持続可能なエネルギーへの転換に消極的な姿勢が、今回の気候変動・エネルギーの扱いを小さなものに留めてしまう結果になった。…

*声明の全文はこちらからもご覧いただけます

 

参考:G7環境相会合(富山)

また、G7伊勢志摩サミットに先立ち、2016年5月14日から15日にかけて富山県富山市で、G7環境大臣会合が開催されました。

環境省ウェブサイト|G7富山環境大臣会合の結果について

これについても、気候ネットワークは次の声明を発表しています。

【プレスリリース】G7サミット環境相会合閉幕 G7首脳は伊勢志摩で気候変動・エネルギーの意欲的な約束を(2016/5/16)