2019年12月2日から15日にかけて、スペインのマドリードで、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)が開催され、気候ネットワークのメンバーもオブザーバー参加しました。

 

COP25全体会プレナリーで声をあげるユース

COP25全体会プレナリーで声をあげるユース (c)Masayoshi Iyoda, Kiko Network 2019

 

今会合では、パリ協定の実施指針の未決着の論点(市場メカニズム等)の合意がめざされていましたが、6条市場メカニズムについては合意できず、先送りされました。また、パリ協定1.5℃目標のため、各国政府が温室効果ガス排出削減目標を引き上げ、2020年までに国連に再提出することも求められており、対策実施を強化するシグナルを発することも重要でしたが、これには十分踏み込めない結果に終わりました。グレタさんや世界中の750万もの人々が気候危機の解決を訴えて声をあげてきましたが、COP25の結果をうけて、「将来世代への裏切りだ」との抗議の声はますます大きくなるでしょう。

今年9月の国連気候行動サミットでは目標の引き上げや脱石炭が求められていたにもかかわらず、日本政府の気候変動対策は出遅れています。CO2排出量の大きな石炭火力発電を国内外で推進し続けていることには、COP25でも国際社会から厳しい批判が寄せられました。

今後、日本政府は気候科学に向き合い、目標の引き上げ、及び、脱石炭について、遅くともCOP26グラスゴー会議までに新たな方針決定ができるよう、速やかに政策強化のプロセスに着手する必要があります。

 

ペーパー「COP25マドリード会議の結果と評価」

ペーパー「COP25マドリード会議の結果と評価 日本は気候危機にどう立ち向かうのか」(2019年12月27日)

COP25マドリード会議を取り巻く情勢、交渉の内容や合意のポイントと評価、COP25における日本の気候政策・外交方針、今後の課題についてとりまとめたものです。

 

COP25マドリード会議閉幕プレスリリース

【プレスリリース】COP25、市場メカなどの合意を持ち越して閉幕 日本は自らの削減目標の引き上げと脱石炭の宿題へとりかかるべき(2019年12月15日)

 

会議場通信Kiko COP25/ CMP15/ CMA2

COP25マドリード会議に参加中の気候ネットワークのメンバーが、交渉の最新情報や現地の雰囲気をリアルにお伝えします。

会議場通信Kiko COP25/ CMP15/ CMA2 第4号(12月13日発行)

  • 霧が立ち込めるマドリード;COP25合意の行方は?
  • 小泉環境大臣、閣僚級会合でスピーチ;脱炭素化は「いつ?」「どうやって?」
  • 気候非常事態に関する閣僚級会合 グレタさんの静かな怒りも
  • 拡大する脱石炭国際連盟(PPCA) オランダでは脱石炭法も成立!
  • COP25マドリードから日本への宿題
    • 石炭政策を、速やかに見直しを
    • NDCの中身を充実させて、提出を
  • 各国の気候変動対策の成績ランキング;最下位グループの日本の評価は「とても低い」
  • 日本には2度めの化石賞;デンマークやIPCCには宝石賞

会議場通信Kiko COP25/ CMP15/ CMA2 第3号(12月10日発行)

  • 親愛なる大臣、お話しましょう (eco抄訳12/9)
  • COP25の生命線:行動引き上げのメッセージを出せるか?
  • OMG! 排出クレジットの取引で、世界全体の排出量が減る!?(eco抄訳12/6, 12/7)
  • Kikoクイズ!日本で急増している温室効果ガスはどれ?

会議場通信Kiko COP25/ CMP15/ CMA2 第2号(12月7日発行)

  • 各国の対立の溝、埋まらないままに交渉2週目へ
  • ステップアップ!国別約束(NDC)の引き上げは、人類の未来を左右する(eco抄訳)
  • 梶山経済産業大臣、化石賞の受賞、おめでとうございます
  • なぜ日本はこれほどまでに石炭に執着するのか?(eco抄訳)
  • 気候レース!安倍首相のメダルは、何色?
  • Final CALL? Sayonara COAL! ふたたび
  • グレタ・トゥーンベリさん、マドリードに到着
  • 日本はCOP25の隠れた主役? 多数のレポートに「日本」が登場
    • 国連環境計画(UNEP)排出ギャップ報告2019
    • 世界気候リスクインデックス2020
    • 石炭産業に投融資する世界の金融機関に関する最新調査報告書
  • 気候危機を訴え、50万人がマドリードを歩いた気候ストライキ

会議場通信Kiko COP25/ CMP15/ CMA2 第1号(12月3日発行)

  • 「危機感のCOP」マドリードCOP25会議、開幕
  • 6条のルール?パリ協定を台無しにしないために?
  • COP25で日本に求められること
  • Welcome to Madrid ようこそマドリードへ(12/2 eco抄訳)

 

 

 

 

 

 

日本政府、「本日の化石賞」を受賞

12/3梶山経済産業大臣の発言でCOP25第1号の化石賞を受賞

12月3日、COP25において、日本政府は、「気候変動対策にとって最悪な貢献をした国」に贈られる、不名誉な「本日の化石賞」を受賞しました。

受賞理由は、同日の閣議後記者会見において、梶山弘志経済産業大臣が、日本の石炭火力発電のフェーズアウトなどを勧告した国連環境計画(UNEP)の新報告書を受けて「石炭火力発電など化石燃料の発電所は選択肢として残していきたい」とコメントしたことに対して、世界の市民社会がCOP25の交渉に水を差すものとみて贈ったものです。

[Media Advisory]日本、COP25マドリード会議で「化石賞」受賞 梶山経産大臣の石炭火力発電推進発言で(2019年12月3日・CAN-Japan)

12/11小泉環境大臣の閣僚級会合でのスピーチで2度めの化石賞を受賞

12月11日(水)も、日本政府は不名誉な「本日の化石賞」を受賞しました。受賞の理由は、同日のCOP閣僚級会合においてスピーチを行った小泉進次郎環境大臣が、国際社会から求められている気候対策の強化、具体的には脱石炭及び温室効果ガス排出削減目標の引き上げの意思を示さなかったためです。

[Media Advisory] 日本、COP25マドリード会議で2度目の「化石賞」 小泉環境大臣、脱石炭も目標引き上げ意思も示さず、世界の要請にゼロ回答(2019/12/11)

 

COP25で日本がすべきこと

【プレスリリース】COP25 に向けて:今、日本がすべきは本腰を入れた気候政策強化だ(2019年11月22日)