KIKO NETWORK
テーマ別情報 theme
国際交渉 COP4 声明「COP4を終えて」

1998年11月19日

COP4を終えて−京都議定書の早期発効に向けて−

気候ネットワ−ク
代表 浅岡美恵

 世界各地で深刻な気候異変が続くなか、気候変動の防止に向けて京都議定書を真に歴史的に意義あるものとするために、その抜け穴を塞いで早期に発効させ、実施に移すことが不可欠である。そのために、ブエノスアイレスで開かれたCOP4会合では、排出権取引などの柔軟性措置等、京都会議での積み残し課題についての合意形成のプロセスを大きく前進させる必要があった。

 しかし、2週間にわたった会合では、今年6月の準備会合での合意に従い森林等吸収源対策についての作業手順を合意した他は、実質的議論は遅々として進展をみなかった。14日未明になってようやくブエノスアイレス行動計画(Plan of Action)が採択されたものの、これは、13日の段階でも作業計画(Work Plan)と称されていたように、今後議論すべき論点項目の整理を行い、COP6における合意形成を目標とすることを決定したものに過ぎない。京都議定書の発効への方向性を辛うじて維持したものの、その発効への道のりは遠いといわなければならない。

 このようにCOP4での交渉が難航した最大の理由は、日本・アメリカ等のEUを除く対策に消極的な先進国グル−プがロシアとの排出権取引やクリ−ン開発メカニズムによる途上国での対策によって、国外で安価に目標達成できる市場メカニズムづくりを優先させ、途上国との公平や持続可能な発展についての視点を無視していること、加えてアメリカが途上国の排出抑制削減への参加を批准の条件と明示していることが途上国の強い反発を招いていることにある。
 日本は京都会議の議長国として途上国との調整役を担うことができなかったばかりか、先進国グル−プの一員としてアメリカの立場を擁護し、自らも京都議定書を批准する姿勢すら見せることができなかった。結局、COP4では最終日まで中身についての議論を進めることができなかった。

 このようなCOP4の経過を踏まえ、条約の目的達成のための最初の小さなステップに過ぎない京都議定書の早期発効に向けて、次のことを認識し、行動していくことが必要である。

(1) アメリカ、日本など先進国は、柔軟性措置等に頼ることなく京都議定書の目標を達成するために、国内削減対策を速やかに策定・実行し、早期批准をすること。

(2) 途上国の排出規制への参加問題の解決には、先進国に責任があることを認識し、誠実に国内での排出削減に取組むとともに、各国の自主性と尊厳を尊重し、南と北の公平と持続可能な発展を柱として、ODAの改革やあるべき技術移転とCDMについての南の国々の主張を理解するところから始めること。

(3) 条約の究極の目標にてらし、柔軟性措置について目標達成の抜け穴とならない制度の仕組みとル−ル作り、透明性・検証性の確保等監視措置および履行確保のための措置を設けること。
特にCDMについてのル−ルが合意される前の暫定的実施を認めず、まず公平で地球規模での排出削減に資するCDMの仕組みやル−ルを確立すること。

(4) 日本政府は、先進国グル−プの一員としてアメリカの支援にまわるのではなく、京都会議の議長国として、環境の視点からの合意形成に向けた調整の役割を果していくべきこと。

(5) 温暖化対策として原子力発電を推進しようとする産業界の動きが活発化しているが、原子力発電は持続可能な発展(Sustainable Development)に寄与せず温暖化対策の代替措置とはならないとの認識にたつこと。

HOME >> 活動紹介 >> 国際交渉 >> COP4


Copyright 2006 KIKO NETWORK. All Right Reserved.